鏡色した世の中を~ケイコとイスズとミヅキと俺と~
今日は東へ明日は西へ 足の向くまま気の向くままに 向かう先に望むのは 美味い食い物旨い酒 行きつく先に求むのは 口を開いた地獄の釜を さっさと来てくれ死神よ とっととこの首持って行け。そんな信条で日々を生きる内、齢65にしてこの道50年を迎えることになった俺――鏡追いのティークは、とある仕事を終わらせた帰り道に風変わりな娘と出会う。感傷が疼いたということもあり、なにくれとお節介を焼くことにしたのだが――その出会いを皮切りとするように、周囲で様々な騒動が起こり始め、そのことごとくが過去を想起させると来たものだ。結局のところ、世の中というやつがどこまでもままならないものなのだとは、嫌というほどに思い知らされ続けてきたこと。なれば諦めとて手慣れたもの。首尾よく逝ければ儲け物。おとなしく付き合うとしようか。これは――そんな俺にとっての転機となったとある日々の出来事
薄曇りのある日
実にいろいろあったのだろうと、今更ながらに俺は思っている
2019/08/08 20:00
1日目
好奇心に殺されるなら、それはそれで結構なこと
2019/08/08 21:00
何とかなる……と願いたいものだ
2019/08/08 21:00
言葉というやつのありがたみを、痛いほどに思い知らされた
2019/08/08 21:00
にしても……何者なのだろうかな、このお嬢ちゃんは
2019/08/08 21:12
このお嬢ちゃんに言葉を教えようと思って、な
2019/08/08 21:13
考えてみれば、おとぎ話の定番とよく似ている
2019/08/08 21:14
2日目
お前こそ約束は守れよ、家出娘
2019/08/09 20:00
こいつら、本当に蛇なのか?
2019/08/10 20:00
俺に出来る限りを尽くす。そこも変えるつもりは毛頭無い
2019/08/11 20:00
本当に、素直で気の良いお嬢ちゃんだ
2019/08/12 20:00
ゆえに、鏡追い
2019/08/13 20:00
存外に活発な性分なのかもしれぬな、このお嬢ちゃんは
2019/08/14 20:00
これさえなければとっくに死ねていたのだろうがな……
2019/08/15 20:00
子供が必要以上に気にすることではないさ
2019/08/16 20:00
遠い日々・順調な時は何で順調だったのかも考えておくべき、か
2019/08/17 20:00
遠い日々・お前とふたりで、これからもいろいろな馬鹿をやっていきたい
2019/08/18 20:00
それはマズいだろう!?人としても男としても
2019/08/19 20:00
遠い日々・ありがとう
2019/08/20 20:00
3日目
その味は心が決める、か
2019/08/21 20:00
俺がケイコお嬢ちゃんに抱いてしまった妙な感情の正体はきっとそれに違いない
2019/08/22 20:00
まあ、これは大人の楽しみというやつだ
2019/08/23 20:00
今日1日は、俺にとってもいい休息になっていたらしかった
2019/08/24 20:00
少し出かけて来る。いい子にしていてくれよ?
2019/08/25 20:00
結局は、俺が甘いだけなのだろうが……
2019/08/26 20:00
まるで、物語に出て来る“魔法”ではないか
2019/08/27 20:00
4日目
お嬢ちゃんに別れを告げる日が来ることは確定している
2019/08/28 20:00
せめて飯を食い終えてからにするべきだったか……
2019/08/29 20:00
アイツとの思い出は誰にも触れさせたくないから
2019/08/30 20:00
自業自得ではあるのだろうが……勘弁してくれと言いたい
2019/08/31 20:00
5日目
死んじまったら……旨い酒は飲めないからな
2019/09/01 20:00
少しばかり飯の味が落ちるような話だ
2019/09/02 20:00
気付いてやれなかったことは俺の落ち度だが、それはこれから行動で償うとしようか
2019/09/03 20:00
時代の流れというのは、こういうものなのか
2019/09/04 20:00
異世界の……転生と転移だったか?
2019/09/05 20:00
嫌な予感なぞ外れてくれた方がありがたいに決まっている
2019/09/06 20:00
俺の古傷を疼かせやがる頼み事だった
2019/09/07 20:00
中々に面白い奴めと、そう思えてしまった
2019/09/08 20:00
まんまとしてやられたわけだ
2019/09/09 20:00
そんなこんなで、俺は生涯でふたり目となる弟子を迎えることになった
2019/09/10 20:00
あまりにも成長の無い俺自身に対してだった
2019/09/11 20:00
俺がケイコお嬢ちゃんにしてやれることは、すでにそう多くはない……ということか
2019/09/12 20:00
まったくもって嫌らしいことこの上ない傷だと俺は思う
2019/09/13 20:00
その最初がこれというのもいかがなものだろうか
2019/09/14 20:00
あらためて……この先もよろしく頼むぞ、ミヅキ
2019/09/15 20:00
少なくとも、あまりにもできすぎた偶然の一致よりはあり得そうな話
2019/09/16 20:00
差し当たりの行き先としてはちょうどいい
2019/09/17 20:00
これも、アイツが俺にくれたものなのだろうかな……
2019/09/18 20:00
6日目
どんな形であれ、アイツとの縁を感じられるというのは悪くない
2019/09/19 20:00
だがそれでも構うまい。悪い気分ではないのだから。
2019/09/20 20:00
物語に出てくる”魔法”としてはかなりの有名どころだ
2019/09/21 20:00
雪解け水のように澄み切った声で、穏やかに微笑みながらに目の前に立つ女が告げてくれやがったのは――
2019/09/22 20:00
今夜は早めに寝ようか、少し前まではそんなことを思っていたわけだが、そこはすでに諦めた
2019/09/23 20:00
ならばあらためて、よろしく頼むぞ、イスズ
2019/09/24 20:00
俺と共にあった日々は……お前が望んだようなものだったのか?
2019/09/25 20:00
そうかい。それは許せぬな
2019/09/26 20:00
そのあたりは、知りたくなかったぞ……
2019/09/27 20:00
俺が選んだのは適当な口実での逃げ
2019/09/28 20:00
やりたい放題もここに極まれり、といったところだろう
2019/09/29 20:00
そうやって川に留まるうち、なにが起きた?
2019/09/30 20:00
勝手に罪の意識を抱くような無粋は……してくれるな
2019/10/01 20:00
7日目
長い月日で心身に染みついたソレは、おいそれとは消えてくれないらしかった
2019/10/02 20:00
この時の俺は――そんな呑気なことを考えていた
2019/10/03 20:00
そんな表情、お前さんには似合わぬのだがな
2019/10/04 20:00
恨むなとは言わぬ。許せとも思わぬ
2019/10/05 20:00
それこそが、数日前からつきまとっていた嫌な感覚の正体だった
2019/10/06 20:00
ふざけるんじゃねえぞ……
2019/10/07 20:00
幸いにも、ソレに節穴はふたつある
2019/10/08 20:00
黒髪の娘が狂笑と共に口にしたのは、淀みのないアネイカ言語だった
2019/10/09 20:00
お前さんの名は?
2019/10/10 20:00
それでも万策尽きてはいないと思いたい
2019/10/11 20:00
あの日のケイトと同じような体験をすることになろうとはな
2019/10/12 20:00
静かに、穏やかに繰り返すその様は、遠い日のケイトと重なって
2019/10/13 20:00
そして――ケイコ救出への具体的な道筋だった
2019/10/14 20:00
あとは任せおくといい
2019/10/15 20:00
気取った言い回しをするならばそれは――
2019/10/16 20:00
イスズもミヅキも俺も、そんな顔をさせるために身体を張ったわけではないのだがな
2019/10/17 20:00
本当にどこまでも、害にしかならぬ奴だったということか
2019/10/18 20:00
この3人と共にあの世へ逝けるのであれば、それはそれで悪くないことだろうからな
2019/10/19 20:00
続きは、また明日にでもやればいいのだから
2019/10/20 20:00
叶うことならば、俺もその傍らに身を置きたかったが
2019/10/21 20:00
おはよう
2019/10/22 20:00
27日目。あるいは、薄曇りのある日
あの世に行き、生まれ変わりを迎えるその時まで、忘れることはないだろう
2019/10/23 20:00
鏡色した世の中を
2019/10/24 20:00
異世界言語集
2019/10/24 20:00