女同士のなぜ
お互いの髪のことを褒め合って、楽しそうに話している美沙と雨宮 凛の二人を、微笑ましく俺は見つめながらも…。
…どこか一方で。
どうして女同士って、いつもお互いのことを褒め合うんだろうか…などと、考えていた。
…。
俺がそう思っている今まさにこの瞬間も、美沙が今度は雨宮 凛の着けているクリーム色のエプロンがとても良く似合っている、などと褒めていて…。
…美沙のその言葉に、雨宮 凛は恥ずかしそうに首を左右に小さく振りながらも…やはりどこか嬉しそうにしている。
…。
…女って、変な生き物だよなぁ…。
男の俺には、永遠に解けない謎の一環に触れながらも
でもまぁ、二人とも楽しそうだから…いっか。
…などと、俺がお気楽に思っている、そんな中、突然…
ボ~ン…。
ボ~ン…。
ボ~ン…。
ボ~ン…。
ボ~ン…。
ボ~ン…。
…柱に掛かっている振り子付きの古びた時計から、そんな音が六回…リビングルーム全体に、鳴り響いた。
その音に、座布団の上でヒクヒクと痙攣している摸も含めて…俺達全員が、会話や動きを止めて、その柱時計のほうを見上げてみれば…。
柱時計の時計盤の針は、十八時丁度を指し示している。
「…おお、もうこんな時間じゃったか」
時計盤を見つめながら、じいさんがそう口を開き…。
…その言葉を受けるようにして美沙が
「長居してしまって、すみません。今回の件については…お話し頂いて本当にありがとうございました。明日学校で、依田先生にしっかりと伝えますので…」
じいさんと雨宮 凛の顔を交互に見ながら、そう言う。
じいさんはそんな美沙に、どこか寂しげに
「いやいや、こんな老いぼれの長話に最後まで付き合うてもろうて…本当にすまんかったのぅ…。それでも…じゃ、今まで誰にも話せんかった、我が家の抱える事情をお主達に聞いてもらったことで、何というか…心の整理が出来たような…気がするわい、それに…」
そう言って自分の隣りに座っている雨宮 凛の顔をチラリ…と見てから
「もちろんわし自身もじゃが、何よりも凛が…楽しい時を過ごせたようじゃし、本当に…本当に良かったわい」
じいさんのその言葉に雨宮 凛はニコッと微笑んで、俺達三人に向かって小さく頷き…。
それを確認するかのように…じいさんも小さく頷きながら、そのまま続けて
「くれぐれも…くれぐれも依田先生に、感謝の気持ちを伝えてもらえると助かるのぅ…」
そう言うと、俺達三人に向かって深々と頭を下げた。
じいさんの隣りでは、やはり雨宮 凛がじいさんと同じように、深々と俺達三人に向かって頭を下げて…いた。




