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第41話

 扉の外では、ヴァンフリートが廊下の窓へ寄りかかっていた。


 アエミリアは長椅子に座り、冷えきった茶を両手で持っている。誰も口をつけなかったらしく、表面には窓枠の影が黒く浮かんでいた。


 シグルーンが扉を開けると、ヴァンフリートが顔を向けた。


「終わったか」


「依頼人との相談内容を、あなたへ報告する義務はございません」


「知ってる。家族は扉の向こうの会話まで相続したがるからな。俺は相続放棄してる」


 リーゼロッテが部屋から出た。


「兄様」


「何だ」


「午後、オットフリート様へ、わたくしからお伝えします。同席していただけますか」


「ああ」


「ただし、わたくしが話し終えるまで、何も仰らないでください」


 ヴァンフリートは妹を見た。


「父上の職権濫用より、実現の難しい命令だな」


「でしたら、廊下でお待ちください」


 シグルーンが言った。


「分かった。黙る。人間は順序を守るだけで、品性まであるように見えるらしい」


「先生には、効き目が薄いかと」


 アエミリアが言った。


「お前は俺の助手だろ。少しは希望を持て」


「証拠のない希望は、先生がお嫌いでしょう?」


 ヴァンフリートは返事をしなかった。


 リーゼロッテの口元が、笑うより先に静かになった。


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