第23話
王宮からクレーフェ家へ送られたものと、王妃宮から王宮の内務へ出された申し入れには、同じ趣旨が記されていた。
ヨストは閲覧を認められた記録の中でそれを確かめ、出された日付も照合した。
エスネエーレの処遇について、家の受取りだけで話が膨らんだのではなかった。
もう一つ、同じ頃の王妃宮の動きが分かった。
当時の元老院議員の家に、ラディスラフを次の王太子として支持するよう求めた書状が残っていた。
ヨストが昔の知人を通して問い合わせると、家の者が、関係する一通だけならと見せてくれた。
ジークムントの死を悼む言葉の後に、後継を早く定める必要があると続いていた。
日付は、事件の当日だった。
「その日のうちに、ですか」
アエミリアは言った。
ヨストは頷いた。
「父王は病床にあった。日々の政務を担う王太子が急に亡くなれば、次を考えなければならない」
「早いことだけでは、おかしくないんですね」
「流石は国母様様だ」
ヴァンフリートは、書状を読み終えて返した。
「葬式の支度と跡継ぎの支度を一緒にしても、それだけで人殺しにはならん」
見せてくれた家の者が、彼を見た。
「言い方はともかく、そのとおりです」
「言い方の方は、料金に入ってない」
アエミリアは、写した日付の下へ、差出人と宛先を書き添えた。
王妃がラディスラフを後継に推したことは、それ自体では不自然でなかった。
けれど、同じ数日の間に、そのラディスラフを愛していた女は、暗殺の共謀者として極刑を求められていた。
「ラディスラフ殿下が疑われるとは、考えなかったのでしょうか」
帰りの道で、アエミリアは尋ねた。
雪を掃いた歩道の両脇に、泥の混じった白い塊が寄せられていた。馬車を避けて歩くたび、外套の裾がその近くへ触れた。
「殿下を王にするためにしたことだと書けば、殿下も何か御存じだったのではないかと、言われそうです」
「それを、どう扱ったかだ」
ヴァンフリートは答えた。
ヨストが、外套の内へ手を入れた。そこには、もう一通の返事があった。
「当時、王妃宮で取り次ぎをしていた者に会える。今見せてもらった書状を届ける手配も、その男がした」
「本人は、何と言ってる」
「自分がしたことなら、話せると」
「立派だな。自分がしたことだけ覚えてない奴を、今週は何人も見た」
アエミリアが顔を上げると、ヨストは先に返した。
「会ってから、その口を利け」
ヴァンフリートは何も言わず、靴の先で邪魔な雪を崩した。




