第24話
金の話になると、リューベックは、シグルーンの取り分を現金で渡したと述べた。
裁定官が、渡したという額と時期、場所を確かめた。書記がその供述を書き終えるまで、ヴァンフリートは待った。
「今回預かった六百枚の中から、渡したんだな」
「そうです」
「受け渡しを見た者は」
「二人だけでした」
代訴官は、金を受領した後の出納について、保全された記録を開いた。
最初に証言席へ立ったのは、事務所の大家だった。厚い肩掛けを外し、椅子の背へ慎重に掛けてから、持ってきた帳簿を開いた。
滞っていた家賃が支払われた日と、金額を答える。リューベック側に残る控えを示されると、自分の帳簿の同じ日へ指を置いた。
「これです。こちらにも、受け取った分を引いてあります」
彼女は証言を終えると、肩掛けを取った。席へ戻る途中、リューベックへ頭を下げかけ、その動きを途中でやめた。
貸金の返済を受けた男は、家賃の証言をした女より長く、書面を確かめた。
利息と元金のどちらへ充てたかを問われると、自分の帳簿を引き寄せて説明した。払われた金のことには細かく、払った男の顔を見ようとはしなかった。
事務所で使う紙や備品の代金についても、受け取った側の記録が照合された。以前の案件で不足していた金を埋めた支払いも、その相手と受領の日が確かめられた。
紙の上の金額は、相手方の名前を伴って戻ってきた。
「別の依頼の報酬も入っています」
リューベックが言った。
「それを区別せず、すべて清算金から支払ったように扱うのは、不正確です」
アエミリアは、机の上の紙を一枚抜いた。
ヴァンフリートへ渡す前に、対応する受領記録の頁を開く。彼はそこへ目を落とし、代訴官も手元の同じ記録を確かめた。
「その報酬も調べてある」
ヴァンフリートが言った。
リューベックの挙げた入金は、別の支払いへ充てられていた。受領した側の記録にも、同じ日付と額が残っている。
もとから手元にあった金と、その後に得た報酬を区別し、同じ支払いを二度数えないよう照合しても、清算金から出た金は六百枚に達した。
リューベック自身の債務や事務所の支払いに使われた金だった。
シグルーンへ渡したという額を、そこへ加えることはできなかった。
「帳簿にない受け渡しだったと申し上げているでしょう」
「だから、帳簿の外も調べた。今ここへ来て、自分が受け取ったと話した連中の金は、どこから出た」
リューベックは口を開きかけた。
ヴァンフリートは続けなかった。問いを重ねず、その返事を待った。
後ろで誰かが咳をし、抑えた咳がもう一度続いた。
「資金を、一時的に融通した部分はあります」
リューベックは言った。
「後の報酬で戻すつもりでした。事務所を維持できなくなれば、依頼人の仕事そのものが止まってしまう」
「その話は、お前が清算金を使った理由だ」
ヴァンフリートの声は変わらなかった。
「こいつへ渡した話は、どこへ行った」
リューベックの代言人が、傍らで何かを低く言った。
彼は聞いていたが、返事をしなかった。机の上へ戻した手が、先ほど水の杯を置いた輪染みの上に重なった。
代訴官はシグルーンへも質問した。
金銭を受領していないという答えに続いて、彼女の受任記録と報酬の記録、それを扱っていたエルナの証言が確かめられた。そこに記載がないことだけで、隠された現金の受け渡しまで否定できるわけではなかった。
しかし、渡したというリューベックの話は、当人が挙げた収入と、実際に確認された支払いの両方に食い違っていた。
裁定官は、その食い違いを彼に説明させようとした。
リューベックは、もう一度、将来の報酬で埋める予定だったと答えた。




