第23話
審理は、午後も続いた。
午前より空が明るく、窓枠の影が、証言席の机に斜めに掛かっていた。証人が入れ替わる間にも影は少しずつ移り、朝には紙の端へ届いていた線が、やがて机の脚まで下りていった。
過去の依頼人たちは、それぞれに、自分が聞いた言葉を述べた。
初めの頃に仕事を頼んだ者は、アイスベルクも同じ手法を使うと聞いただけだった。別の者は、同じ事件を扱った経験があるという説明を、協力して働いた経験だと受け取っていた。もう少し後の依頼人には、おそらく同じ判断をするだろうという話がされていた。
いずれも、依頼した仕事は終わっていた。
ヴァンフリートは、その結果を争わなかった。代訴官も、実際に行われた仕事や正確な実務の紹介を、それだけで詐欺と扱おうとはしなかった。
母の遺した家を兄と分けた女が呼ばれると、リューベックは顔を上げた。
「私は、女史が御自分で確かめてくださったのかと伺いました」
「返事は」
「ええ、と」
女はそう答えてから、少しためらった。
「ただ、家の件は、きちんと済ませていただいています」
「そのことも記録する」
裁定官が言った。
女は頭を下げた。その顔を、リューベックは席へ戻るまで見ていた。
次に立った仕立屋の女主人は、確認費の請求書を前に置いた。
「この三枚は、アイスベルク女史へお支払いするものと説明されました。私の件を、特に確かめていただく費用だと」
「金は誰に渡しましたか」
「リューベック卿へ。ほかの支払いと一緒に」
女主人は、襟元を指で直した。
「お店は今も続けられています。それは、この方に仕事をしていただいたからです。ただ、この三枚については、別の方にも見ていただけるのだと思って、お支払いしました」
リューベックの代言人は、女主人が仕事の結果に不満を持っていなかったことを確かめた。彼女は、それにははっきり頷いた。
ヴァンフリートは席を立った。
「この三枚を請求される時、女史には見せないが、仕事はうまく済ませてやると言われていたら、同じ費用として払ったか」
「いいえ」
女主人は、今度はためらわなかった。
「それなら、何を確かめていただくためのお金なのか分かりません」
リューベックが机の上へ手を置いた。
指は開かれていたが、やがてゆっくり閉じた。
依頼が続くにつれて、説明されるシグルーンの役割は大きくなっていた。しかし、その間に彼女との連絡が増えたことを示すものはなかった。
代訴官は、それでも、口頭の協力が次第に深まった可能性を確かめた。シグルーンの帳簿に記載がないというだけで、秘密の仕事がなかったとは決められない。
その問いに、リューベックは頷いた。
「まさに、その通りです。正式な書面がないというだけで、行われた仕事まで否定するのは無理があります」
ヴァンフリートは、彼の方を見た。
「行われた仕事は、誰も否定してない」
「それなら――」
「お前がやった仕事だろう」
リューベックは口を閉じた。
「銀器も戻した。家も分けた。あの店も残した。そこへ、こいつが何をしたのかを聞いてる」
シグルーンの方へ顎を向けたが、ヴァンフリートは彼女を見なかった。
「お前の仕事が本当にあったからって、こいつの仕事まで生えてくるわけじゃない」




