第17話
シグルーンが依頼人との確認を求め、短い休廷になった。
ヨハンナは彼女の差し出した紙を読み、時折、小さく頷いていた。ルイトポルトは少し離れて立ったまま、窓の方を見ていた。
ヴェンツェルが、ようやく口を開いた。
「私に、別の男との婚礼衣装を買わせる気だったのか」
「お前が払うと言えば、店も断らなかったろうな」
「言うものか。自分の婚礼にさえ、あれほど値切ったのに」
アエミリアが控えを揃えながら、顔を伏せた。
「何がおかしい」
「いいえ」
「笑っているだろう」
「ヴェンツェル様の注文の方には、値段を下げるよう求めた手紙が、何通も付いていましたので」
「正当な交渉だ。見習うといい」
「俺への報酬で復習するなよ」
ヴァンフリートが言った。
ヴェンツェルは聞こえなかった顔をして、帽子の埃を払った。
再開の声が掛かると、シグルーンが立った。
「追加の証拠はありません」
声は静かで、開廷の時と同じようによく通った。
ヴァンフリートは、否認の返書と、その後の面会の日付を示した。
ヴェンツェルは関係を否定し、確かめる相手を伝えていた。
ペグニッツ家は実際に確かめ、兄妹も直接説明を受けている。
「最初に疑ったことを責めてるんじゃない。調べた後で、何をしたかを問うてる」
彼は二人を見た。
「知らなかったから書いたんじゃない。知っていることを外して書いた。その始末を、俺の依頼人の金でつけようとするな」
シグルーンは反論しなかった。
双方にそれ以上の申し立てがないことを確かめると、裁定官は審理を閉じた。
待つ間、窓の外で鐘が鳴った。
人々はそちらへ顔を向けず、音だけが壁を通って、机の上の紙や、膝へ置かれた手の間へ降りてきた。
ヴェンツェルは帽子を直すのをやめていた。
裁定官が書面から目を上げた時、彼の背がわずかに伸びた。
「婚約の解消を認めます。ただし、ヴェンツェル・フォン・ルクセンベルクの不貞による有責の破談とは認めません」
続いて、夜間の訪問と支払いが診療と救援に沿っていること、少年の同居が正式な雇用によることが述べられた。母親との男女関係も、少年との血縁も、それを裏づける証拠はない。
ペグニッツ家は、通知を出す前にこれらの事情を調べ、兄妹自身も説明を受けていた。それにもかかわらず、支援の理由を省いた資料を用い、不貞を事実として費用を求めた。
「ペグニッツ家側の請求は、すべて退けます」
ヴェンツェルの指が、帽子の縁から離れた。
彼が求めていた共同の婚礼準備の精算と、ペグニッツ家の求めに応じて立て替えた費用は、同家側の負担となった。
返却できる品物や返金分を差し引いた明細が示され、虚偽の請求に応じるために必要となった手続の費用も加えられた。
最後に、訂正が命じられた。
不貞を理由とした通知の送付先へは、同じく書面で訂正する。
公に述べたことは、公に撤回する。
母親と少年の氏名、住居を新たに明かしてはならない。
裁定官が、新しい縁談の相手へ伝えた破談理由にも触れると、ヨハンナの顔が上がった。
「先方にも、ですか」
「不実による解消だと伝えたことを、御自身が認めています」
裁定官は答えた。
「その理由が認められなかったことも、伝えてください」
ヨハンナは何も言わず、手元へ目を戻した。
シグルーンが、訂正を届ける先の欄に筆を入れた。ヨハンナはその手の動きを見ていたが、止めようとはしなかった。




