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異文化交流

第六一話です

オーダもラリアも傷を負い、一方でカムラはさしたる傷を負うには至らなかった。その遠距離攻撃を行うという輩は何者か、とは思わなくもなかったが、カムラとて他人の心配よりも敵を優先するほどに冷徹過ぎた男でも無かった。曲がりなりにも一門の人間である事は失っていなかったのである。

そんな彼の姿にトルンガは無力であった己を責めた。もし己に少しでもの力があれば、若しくは。ラリア曰く、トルンガに落ち度は非ず、自分が無理を言って連れてきたのであるからトルンガも亦、自身を責めるべからず、と、こう言った。だがトルンガはそれほどまでに単純化できる男ではなかった。


「もっとやれてれば、な」


そんなふとして漏れた言葉にカムラは反応した。


「そんな事ないさ。それにトルンガがいなかったらラリアを置いてけぼりにしていた。元はと言えばあのキメラのせいで防具が壊れたのがいけない」


責任をキメラに押し付けるカムラにトルンガは思わず苦笑した。確かにそれもそうである。無論道具はいつか壊れる。それ故に苦しい責任転嫁であったが、そう考えた方が心も軽くなるというものなのだろうとトルンガは思った。


「成程、それもそうか。いい発想だな」

「は?あ、成程ね。まさか。本心だとも。事実だろう?」

「俺から言わせればそも、お前が喧嘩売ったのが悪い」


今回この様にして失敗したのはカムラが正当防衛とはいえウリヤノフの仲間に大怪我を負わせのが原因でもある。一般人ならばウリヤノフの仲間に委縮し、有り金を投げ捨てて逃げるのが普通である。それを先制攻撃で抑える等は前代未聞。ある意味で冒険者らしく、問題児を絵に描いている。小さく済ませてしまおうという発想はないのかと言われそうな話であったが、それは元より誰しもが諦めるところ。カムラが黙って頭を縦に振る筈がない。一体いつからそんな性格なのか、トルンガには気になって仕方がなかった。


「カムラはいつからそんな性格なんだ?」

「え?」


思いきって聞くのも悪手ではないとトルンガは考えた。


「この性格?前からだが?」

「売られた喧嘩を買うってところだよ」

「…小さい頃からずっと、かな。というか村にいた時も幾度か熊に襲われたし」

「それでそんな性格になるか?」

「なるなる。ラリアもそういう気があるだろ?」


カムラはそう答えた。これは当たり前だ、とそう語った。


「俺だって村育ちだがそうはならなかったんだけどなぁ」


二人が会話していると、ドアを叩く音が聞こえた。


「はい、どうしました?」


出てきたのは久治郎であった。


『失礼して、よろしいか』


***


 久治郎は丁度武器を片づけてきたという。その服装はやはり征州のどこでも見られない奇怪な服装であった。動きにくそうな恰好、布を織り込んで着込んだような服である。また頭もよく見れば結ってある。女性しかしないものである筈なのだが。その上腰には短剣が差してあった。


『失礼致す』


トルンガはあいも変わらず言葉がわからない。故にカムラに聞いた。


「今なんて?」

「失礼するってさ。ここに座るんだ」

「そうか。よろしくヒサジロウ」


トルンガはそう話しかけた。なるべく、分かり易く。久治郎もこれに頭を下げて返した。


『久治郎が差しているその武器は短刀か』

『如何にも。…貸す事は出来ませぬぞ、刀は武士の命にござり申す』

『ちょっとだけだから』


カムラは久治郎に頭を地面につけて願い出た。


『ここは東洋じゃないんだ、この際堅苦しいのは無しで!』


カムラは強く頭を擦りつけた。


『待たれよ、そこまで堅苦しい事ならず、この場に於いては苦しからず!』

『ホントか、じゃあ見せてくれ。ほら、俺の短剣貸すから』


こうして二人は互いの武器を交換した。カムラは短刀を受け取るとゆっくりと抜いた。白銀の刀身が見え、やや反り、片刃と焼き入れの模様がいかんとも言い難い美しさを持つ。征州の剣とは異なり、その鍔も柄を囲む様な形状であった。


「これがヒサジロウの短剣か。サーベル、騎兵剣みたいだな」

「サーベルを使うのは珍しいとも聞くが」

「まさか!西エルフ王国の武器はサーベルだし、バイエルン王国軍もサーベルを使い始めたと聞く。ユカル帝国もサーベルじゃないか」

「成程、わかったぞ、どこもかしこも馬の産地、か!」

「その通りだ」


カムラはその話に直ぐに合点がいった。確かにそうかもしれない。


『久治郎、アンタの使う剣も見せて欲しい。刀か。ここだけの話、その種別はわかる。刃を下にしてはいたが打刀だろう?』

『如何にも。貴殿の明察に狂い無し。某の私物以外も確かにあり申す。然し、ここに持て来得ず。ここは殿中にござる』

『なら外か』


カムラはトルンガに向き直るとその手を引いた。


「暗い感じは嫌だろう?リフレッシュしないか?」

「武器でか?」

「あぁ、そうだとも。俺は嫌だね、この暗い感じ」

「ごもっともだな。そうするか」


カムラは久治郎の案内で彼の武具を見せてもらう事にした。この空気を浄化する薬になればと思えばの事だった。

読んで頂きありがとうございます!

題名の発想が減ってきた様な…もう何話で題名つけてもいいでしょうか…いやそもそも4000ずつ…だと大変なんです…

読んで頂いた方、是非評価、ブックマーク、感想のほどしていただけると励みになりますので、良かったらしていただけると嬉しいです!でも読んで頂いただけでも嬉しいので、また見かけたら読んでいってください!

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