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夜の森Ⅲ

第五七話です

 森にまで入ってきた三人であったが、目前の敵への対処に姿勢を変えたもののその苦戦は一向に改善される兆しを見せなかった。ラリアの暗視魔法でも敵の位置は掴み取り難く、周囲との一体化を行う装備を身に着けている事は明らかであった。恐らくはその格好も背景に溶け込む服装になっている事だろう更に付け加えればオーダも薄々は敵は一人だけと察しつつあった。人間相手の戦闘というのもオーダにさえそう多くこなした経験はない。あまつさえラリアには一度たりとも無かった。更に気がかりなのはカムラ。あの時こそ大丈夫と言ったが実際そうかどうかは彼女とて完全には信頼していないというのが本音であった。


(この状況で動けるのは私だけでしょうか…。敵はやはり見えません。複数いるというのはやはり違う…!?)


銃声が響く。オーダはこれに反応し木の背後に身を寄せる。その木に銃弾は命中し、木の表面が抉れる高い音が響いた。オーダは次の動きを待つ。少し体を出すと直様、弾が飛翔した。その火を見逃さずに、オーダは矢を放った。ただの矢ではなかった。落ち葉に閃光魔法の術式を通した魔石の粉末を振りかけ、六秒後に閃光が炸裂する様に細工していた。オーダが施し、狙い、放つのに四秒。そして飛翔に二秒。充分であった。眩い閃光が闇夜に炸裂した。だが、複数を映すかに思えたその光はたった一人を、一挺のみを持った一人を映し出していた。黒い服に身を包んだ男であろう者が一人。持っている銃は一見してただの銃であった。オーダはこの事実に驚きつつも相手を威圧した。


「誰か!?」

「仕事だよ!」

「同業か?それとも賊の類か!動くな、この弩は次に貴様の頭を貫くであろう!」


オーダは啖呵を切るが男に反応はない。その間にラリアは石に術式を施すと閃光魔法によってその姿を長時間捉えようと試みた。男は腰に手をやった。オーダも反応して弓を放つが金属音と共に男のローブに阻まれる。そのローブはチェーンアーマーによって作られていたのである。男は手に持つ銃のトリガー付近を掴んだ。よく見ればその銃は不自然にも出っ張りがあった。それを掴むと用心金ごと捻子が回り、用心金が下に下がった。銃身の付け根に丸い穴が開いた。そこに弾、火薬を入れると再び締め直す。火皿に火薬を入れ、蓋をした。


(な、今、何を…!)


オーダは呆気に取られていた。見た事もない機構、知らない銃器。弾は先から込めるものではないのか。考える間はなかった。三人の驚愕を男は待たなかったからである。放たれた次発にオーダは咄嗟に避けるが間に合わず、彼女の角を掠った。男が持っていたのはそれだけでは無かった。腰から抜いたのはホイールロック式ピストルであった。ラリアにこれを向け、牽制する。そのまま身を隠すと伏せながら再装填をした。オーダも装填するが男の方が速かった。再び放たれた次発は姿を見せたオーダの胸元を掠り、続けて放ったピストルはラリアへ向けて。腰部端に命中してしまった。ラリアは身体を隠すが既にかなり失血している。回復魔法で再生しつつあるものの、血を抑えられる程度にしか過ぎないかもしれない。


***


 カムラは突如として迫るその騎士相手に苦戦を強いられていた。無言の下に剣を振う騎士。カムラは何とか防ぐも刃は打合い、その大きく、重みを伴う剣を相手に他の動きを取る事は不可能であった。足の一本、腕の一本、離しただけで潰されうる。挙句に一挙手一投足に隙は無く、彼にとっては最も苦手とする相手が目の前にいる事を示していた。キメラもその類なれどあの時は味方も多い。今はどうか。語るべくもない。その身一つで戦わねばならない。後方から銃声も耳に入った。どうも敵はこれだけではないようであった。



「卑怯者め、その姿でありながら一人ではないらしい!」


騎士は剣を更に押し込む。カムラは今とばかりに剣を傾け、方向を逸らした。出来た隙は見逃せない。カムラはその頭部に渾身の回し蹴りを叩きこむと、三歩後退し、その兜の隙間に突きを入れた。騎士は頭を動かす。そのわずかな動きで剣先は兜に防がれ、更にカムラの身体が騎士と接近しすぎた結果、その膝蹴りを思い切り食らってしまった。宙に浮いた身体へ目掛け横一文字に振われた斬撃を剣で受け止めた。だが、その身体は吹き飛ばされてしまう。


(盾が原因なら盾を捨てさせるか!)


再び突貫するカムラは突きの姿勢を取った。剣先に集中させつつ、盾を奪い取る算段であったが、なんと騎士からその盾を投げつけてきた。カムラは咄嗟に身構えるが盾はカムラの直上を寸前で横切り、正面から来たのは唐竹割にせんとする剣の振り下ろしであった。カムラはこれを逸らし、柄の底で打撃を試みるも左腕の肘撃がこれを受け止め、片手での逆袈裟斬りがカムラの軽鎧を斬り裂き、更にそこからもう片方の刃を用いての斬りつけ。両手に持っての横払いが立て続けにカムラを襲う。カムラは袈裟斬りを受け止め逸らし、更に逆に袈裟斬りを狙うも手首で返したその剣に弾かれ、片刃での斬りつけ、左袈裟斬りがカムラへの返答とも言うべき攻撃であった。



読んで頂きありがとうございます!

中々戦闘シーンだけになりましたね。別にボス戦じゃないんですけど.…。風邪も治り気味でテンション高いのかも。どんな結末が四人を待つのでしょうか!

読んで頂いた方、是非評価、ブックマーク、感想のほどしていただけると励みになりますので、良かったらしていただけると嬉しいです!でも読んで頂いただけでも嬉しいので、また見かけたら読んでいってください!

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