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ポーゼンの港

第五〇話です

戦闘も終わり、ラリアもその意識を取り戻した。カムラがいないがどこへ行ったのか。目の前のオーダに意を決し聞く。


「オーダ」

「はい?」

「カムラは?」

「甲板に。どうやら結局船内の片づけを手伝っているようですね。トルンガは船医に鼓膜を。破損した装備の補修を手伝っているとか」


それを聞いてラリアは下を向く。こういう時何かしなくてどうするのか。魔法を覚えてただ見ていろと神は私に言うのか。いや、言われてたまるか。誰も納得出来よう筈がない。何より、カムラに任せてしまっている。


「私にやる事はあるのかな」


だがオーダは少し困った顔をした。言われなくとも察するに容易い。無理だ、と暗に言うのだ。


「身体強化魔法でも…これは重いですし。貴方の身体では持ち上げるが精一杯だと思います」


オーダはどうか。持っている。力仕事が出来ているではないのか。ラリアは言わなかったがそうも思った。


「私は持てますから。それでも軽い。私も男性ほどの力を出せるわけではないのです。…勿論稀にそういう方はいますが」


その時、ラリアにうってつけの仕事が舞い込んできた。


「船体の気密設備を直せる人はいるか!?」

「いえ、詳しくは…」

「魔力が足りてる方を…」

「私です!」


ラリアは勢いよく手を挙げた。その後は風魔法が使えるという事で常時の障壁を作る事になったがラリアにはそのノウハウは無かった事がわかった。その為に予備のオリハルコンを設置し、そこに魔力を通した。ラリアに直接接続し、ラリアの設定した風魔法によって気密は守られる事となった。幸運にもラリアの魔力量は船の設備を補うに余りあったのである。これは十分に驚くべき事実であったが、それを押しとどめてラリアは作業を続けた。

その翌日に、船は予定よりやや外れてポーゼンに到着した。無論ヴィーラント帝国領ではあったが事情によって例外的にその地に足を付ける事を許されたのである。


***


 ポーゼンはヴィーラント皇帝の直轄領である。これはポーゼン公爵をヴィーラント皇帝が兼務しているからである。こうもなるとあまりサッカバス伯令嬢として名は有名ではないオーダは例によって姿を隠す必要は無かった。それ故に久々に堂々姿を見せていた。


「Halt!」


兵士が呼びかける。


「Zu welcher Einheit gehörst du? 」

「Sukkubus」


オーダが答えた。だが衛兵は更に続ける。


「Wir sind im Bilde」

「Ja」

「Nur diese vier dürfen den Hafen verlassen」


これはかなり厳しい決断にあったが、そもそもなんの話も無く緊急で来た船に対しての判断としては全く正しく、寧ろ穏当であったとも言えた。四人だけでも通れるのだ。それだけでも充分であろう。


「Danke」


衛兵に向き直ったオーダがそう言い、衛兵から離れる。


「だ、そうです」


側から聞く船員も先の会話は当然聞いていた。それ故に肩を落とす。


「そうですか…」


ラリアからみて、船員は何やら残念そうである。何を言っているのか全く二人はわからなかったがトルンガは分かったようであった。


「どうにか理解してもらえないのか?」

「流石にどうにもなりません。どうにかしたいというのは私とて同じですが」

「そうか」


トルンガはそう言うとそこから離れた。カムラを見るとカムラもさぁ、とジェスチャーを見せる。カムラからしても何を言っているのかさっぱりであった。アウス系言語はカムラも得意ではなかった。サッカバスにはアイヴァース語が話せるものはかなり多そうであったが、一転してここはそうでは無さそうである。

すると更に衛兵が質問してきた。


「Wohin wollt ihr?」


これにオーダが答えた。


「In den Schwarzwald」


最初から向かっていたルートを話した。


「Dann wollt ihr also nach Dardalus?」

「Ja. Gibt es irgendeine Möglichkeit?」


衛兵はその別手段の答えを持っているわけではなかったが。だがダーダルスに行くという点で疑問はあった。


「Auch dieses Land steht unter der Herrschaft des Grafen von Preußen. So bedarf es wohl keines Grenzübertritts. Oder habt Ihr mit Dardalus etwas zu schaffen?」

「Mit Herzog von Polaw.」

「Dann wartet hier eine Weile.」


衛兵がそう言った為に一行はそこで待機する事にしたがオーダはその間に事情を二人に説明した。それでどうやら二人は理解したようだが、更にオーダと衛兵が話し出した為に更にわからなくなってしまった。  


「トルンガはよくわかったな」

「うちの国でも偶にアウス語を話す奴がいるんだよ」

「ほぇ~」


ラリアは口を半開きで返事を返した。

読んで頂きありがとうございます!

遂に話も進み、次からはポラール!バフォメトとやら、どんなモンスターなんでしょう?

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