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乱闘の後

第四六話です

 その日のレーベンスボルンは一時休業となった。カムラは店長から渡された回復薬を貰い、安静にしていたが、だがカムラはそれをよしとしていなかった。ともなればカムラの次なる行動は自ずとわかる事でもあった。今のカムラにとっては仲間にもこの話をするべきだ、との考えに捕らわれていた。

そうして立ち上がるカムラを見てシニッカは呼びかけた。


「どうされました…!?座っていてください!ただでさえ怪我をされているのですよ!」

「いや、ここに長居をすれば迷惑でしょう。自分には仲間もいます。先ずは事の次第を伝えなくては。怪我人である以前に自分はパーティーの一員ですから。ここからは自分の領分でしょう」


カムラはそのまま未だ痛む脇腹を抑えつつ店の外に足を踏み出すがその時、丁度衛兵が騒ぎを聞きつけ入ってきた。


「い、一体何を…」


そこにいたのは痣だらけのカムラと血まみれの店内。エルフの少女と40代インキュバスの店主。勘違いしない筈も無く。


「カムラっ!貴様伯爵閣下の顔に泥を塗るつもりか!」


と険しい顔と共に剣を抜いた。だがシニッカは彼らを制止した。


「ま、待ってください!カムラさんはお店を守ってくれたんです!」


その言葉に衛兵が顔を見合わせた。


「え?」


カムラも思わず


「え?」


***


 レーベンスボルンにオーダ、ラリアが着いたのはその後である。カムラの様相は最早さておき、店内の心配の方が二人には勝った。


「こりゃ派手にやったねカムラ」

「そりゃどうも」


ラリアはカムラの胸部を確認し、回復魔法をかけた。この程度なら医師の助けは不要との判断であろうか。


「カムラ」


オーダの顔はひどく恐ろしいとカムラは察した。無論カムラはそう言われるとわかっていた。これは不味かったと。公共の場では不味いと今になって我に帰っている。とはいえ彼の性分はこうであり、そも冒険者にはこの様な人間は往々にして存在した。


「すまなかっ」

「やったのは誰です」


だがオーダの怒りは相手の冒険者に向いていた。カムラは唯一失念していた事があった。彼女もまた冒険者である。それも五年も長くやってきたのは彼女であった。


「復讐戦か」

「当然。サウスアスチュートでは滅多にありませんが三年前に一度だけ。よく覚えています」

「へぇ」


ラリアはそう答えたがオーダの表情は硬い。明確な怒りを伴っている。


「だが矢張り明日にここを発とう。そも今回の旅の目的はバフォメトの革だ」

「仲間が傷つけられました」

「それでキレる役は俺の専売特許。専用なのさ」


カムラはそう言ってオーダを収めた。


(珍しい。カムラが怒らないなんて。では私も剣を収めるべきでしょうか。ですがこれで終わるのでしょうか…)


オーダは怒りを抑えるが、一方でラリアはシニッカに興味を抱いていた。


「貴方はエルフだ!」

「え、えぇ」

「カムラの事手当してくれたんでしょう?ありがとう!」


そう言ってラリアはシニッカの手を握る。シニッカは赤くして照れた。


「どうしたの?顔赤いよ?」

「照れてんだよ」


カムラが代わりに解説する。


「あ、あー」

「…シニッカさんは年齢はいくつで?」


唐突にオーダは聞いた。その見た目からラリアと変わらないと考えたのかも知れない。


「じゅ、十四歳です…」


カムラにとってこれは驚きでもあり、納得もあった。どうもエルフは13歳程度で元服となるらしく、そもそも大人と子供の境がないサピエンスとはそこも違うが、其の上家から出て自立するのだと言う。それ故に彼女はこうして働きに来ていたのだ。


「十四か!?成程ね、これはこれで理解できた」

「そうですか?私が?」

「嗚呼。ラリアよりも子供っぽいもの」

「お、なら私は大人かな」

「なわけないだろ年相応だよ」

「なら及第点だね」

「上を目指せ上を」

「人間出来るところからなのさ、少年」

「お前俺よか年下じゃねぇか」


カムラとラリアのささやかな言い合いが始まったのをオーダは止めた。その後シニッカに別れを告げ、離れる事になったのだが、シニッカ自身がそうもいかない。


「あの、その」

「はい?」


シニッカが何とか話始めた。


「いつ来られますか」

「いつってうーん。どうかな」


ラリアが言いよどむがオーダは代わりに答えた。


「そうですね、私たちは再び旅に赴かなければなりませんから。でも、帰路でもしかしたら立ち寄るかもしれない。その時またお会いしましょう?」

「はい!」


オーダの切り返しは実に曖昧で、良く言えば希望を、悪く言えば来ない場合の保険も賭けた言葉であった。この場を過ぎる方便の側面もあったのかも知れない。レーベンスボルンの店が見えなくなった後でカムラは思わず言わざるを得なかった。


「すげぇ曖昧な答え」

「あら、カムラも偶にこんな事言いませんでした?言ってなかったらこれからはこう答えるんですよ?」


カムラはそれに曖昧な返事で答えたが、ラリアは第三者として今の答え方の事を言うのだと記憶した。


読んで頂きありがとうございます!

少し遅れてしまいました!申し訳ございません!なので文章の校正もしていません!本当にすいません!

読んで頂いた方、是非評価、ブックマーク、感想のほどしていただけると励みになりますので、良かったらしていただけると嬉しいです!でも読んで頂いただけでも嬉しいので、また見かけたら読んでいってください!

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