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朝

第四四話です

 カムラが邸に戻ると兵士達に呼び止められた。


「何をしていた。遅い。朝食の時間はとっくに始まっているぞ」

「え、終わってますか?」

「馬鹿者!始まったばかりと言うとるんだ!早くいかんか!」


そう言われ、カムラは慌てて邸に入っていった。

朝食場についたカムラだが、彼を出迎えたのは何時から待っていたかもわからないオーダとラリアであった。


「遅いですよ」

「どこに行ってたのさカムラ」


カムラは事の次第を説明した。オーダは溜息を吐いてしまう。


「あのですねカムラ。貴方は洞窟でもそうですが一人で行動し過ぎです。私達の事を時たま忘れているんじゃありません?そうであったなら、それはそれでどういうつもりかと問いただしたくもなります」


そう言われてカムラは弱ってしまう。問いただすのだけは結構だと思う故である。


「トルンガは?」


カムラは二人の周辺を見渡すがトルンガの姿が見当たらなかった。一体何処へ行ったというのだろうか。


「彼ならカムラは大丈夫だと先に向かってしまいましたよ」


成程、とカムラは思った。確かにトルンガならそうするだろう。納得がいく。寧ろこれはある意味で信頼とも称し得るかもしれない。


「そうか、無関心だなトルンガも」

「それはそっくりそのままカムラに返します」


全くの正論だった。無論カムラが他人に無関心というわけではないのは二人の承知するところであるが、行動としては無関心と見分けのつかないものばかりである。どうしてこれが無関心ではないと言えるだろうか。少なくとも人の感情には無頓着に違いないと感じざるを得ない。


「お母様はお客様だからこそカムラに強く言わないのです。これが身内であったならばお怒りになっていたでしょうに」

「やった事がある口だなぁ?」

「それは…そうですが。ですが!それも小さい頃の話です」

「今もそうじゃないの?」

「ら、ラリアは私の味方でしたでしょう!?茶化さないでください」

「ごめんって」


これはこれでラリアが悪いが、オーダが言えた口ではないのは事実である。寧ろ一時間のみ姿をくらましたのと7年にも渡り姿を暗ましていたのだと後者の方が悪質である。


***


「おぉ、戻ってきたか」


 開口一番、トルンガははなから心配は無かったとでも言うかの様だった。


「実家の様な安心感だな」

「ここが?」

「お前が」


トルンガの動きが止まった。数秒して、カムラを鼻で笑った。


「男まで口説いてどうすんだお前さんは」


若干小馬鹿にしたような、否間違いなくしているトルンガの態度が鼻に突き、カムラはトルンガの食いかけのパンを奪うと口にほおりこんだ。


「な、きたねぇ!二つの意味で汚ねぇ!」

「むふぁついたからたひょ(ムカついたからだよ)」

「そして何を言ってるのかさっぱりだ!」


中々に鋭い切り返しをするトルンガにカムラはついつい面白くなる。その後自身の席の食事をとっていると当然、昼食の話になった。お抱えの料理人が昼食の話を始めて、カムラは少しだけ、と遮った。


「すいません。ありがとうございます。それでですね、自分は昼いらなくなりました」

「はい?」

「いえ、少し店の前で争ったのでその罪滅ぼしと昨晩行けなかった店に立ち寄る事にしたんです」


料理人はその理由には納得した様であった。


「それなら仕方ありませんね。いえ、いいんですよ。どんな理由であれそういって街にお金を落として貰えれば皆喜びますし。何より、誠実ですし」

「カムラがそれでいいなら…」

「ごめん三人とも。自分の分しか約束してないんだわ」


その瞬間三人の顔が変わる。


「あのなぁお前」

「何も言わんでくれ…」

「気が利かんというか、なんというか」


トルンガは更に落ち込んでいた。


「そこで予約してりゃ、俺もちょっとは羽伸ばせるんだぜ?」

「あ、あー。ランチだけらしいぞ」

「ならいいや」

「切り替え早っ!」


トルンガはあっさりと引き下がった。恐らくは人生で一度や二度しかないハーレムを楽しみたかったのだろうか。どうもトルンガは昨晩は兵士の装備に目移りしていたようで、その防具に職人としての興味が惹かれ、周りに目移りしなかった様だ。それを今更になって後悔しているのである。カムラにとってはそんな事知った事ではないと切り捨てたかった。


***


 昼。カムラは約束通りレーベンスボルンに向かう。名前は


「シニッカ=アイラクシネンだったか。ハーフエルフ、というよりかただのエルフか。フィン人の文化も取り入れたかもしれんのだなぁ」


街は賑わい、どこもかしこも人が行き交う。カムラはその中でレーベンスボルンを見かけた。この近辺は一転し娼館街故に人は先程と比べれば少ない。だがレーベンスボルンには人がある一定はいた。


「すいません」


店頭のインキュバスに声をかける。


「はい、どうしました」

「シニッカ=アイラクシネンさんわかります?」

「え、えぇ。はい。ここの従業員ですね?」

「はい、確か?それで、その人にこの時間ならいいと」

「でしたらこのままお上がりください」


カムラは緊張感をもって入っていった。

読んで頂きありがとうございます!

トルンガはやっぱり真面目なままの方がいいんでしょうか?

というかそうですね、オーダの方が長く家出、いや、家出中ですからね。どっちの方が酷いんだか…

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