スクブス入市
第三六話です
スクブスはサッカバスの首都である。サッカバス伯国は1577年までは魔王国の属国であったが、独立した事で、主権国家となり、以降はどの同盟も組まない中立国となった。主要民族はサキュバス、インキュバスであり、一般的には水商売として有名ではあるが、元々サキュバス、インキュバス自体は独立性の高い民族で知られており、国土に見合わぬ戦力を有する。国民皆兵の原則を持ち、有事の際は国民すべてが戦力になる事を義務付けられている。
「ここがスクブスか…。大分涼しいな」
するとオーダはどこからともなく手帳を取り出し、何やら書きこんだ。
「あ、何か書いてる。えーと何々、『サッカバスは全体的に標高が高く、冬は寒いですが夏は涼しいんですよ』?」
「へ~」
そんな事実に皆が関心を隠せない。
「オー…じゃなかった。エウロパの嬢ちゃんはどうする?」
「エウロペ、な」
「あ、そうだったそうだった」
トルンガが修正し、再度聞くと、オーダは指でギルドを指さした。
「よし、んじゃそこに行くか」
スクブスの街は珍しくも日中は人だかりが少ない。アイヴァースは基本は昼の街。良く言えば歓楽街が少なく、付く明かりは家か、それか工場である。それ故に、早朝とはいえ今から家に帰るであろう人々を見るのは中々に新鮮であったのだ。煉瓦造りの家々、建物群と、アスチュートには無かった角灯があった。未来的乍ら、ロンディニア、アスチュート、ブレミンゲハムはどれも既に電灯である事を考えれば、不思議にも風情なるものを感じる。角灯さえ見るのは村民であった二人にはなんとも珍しいにも関わらずである。ゆく先々で見る建物から人、殊に女性が出ていき、店仕舞いをしている。明朝にも関わらずである。それはこのスクブスがいつを目的とした街なのかを間接的にも教えてくれる事だろう。一行とすれ違う女性の恰好からもそれは理解った。
そして当然にもラリアはそんな女性らの恰好にまじまじと目を配らざるを得なかった。
「ラリア、どこ見てんだ」
カムラはその目の先になんとなく察しつつもラリアに聞いた。
「見てあの女の人、胸元見え見えだよ」
なんと容赦のない発言であろうか。この言にはカムラは思わずラリアの頭をひっ叩いた。
「口を慎め!向こうが怒ったら面倒だろ!」
「それはそうだけど…」
「…気持ちはわかるから。宿に行ってから話そう、な?」
「そっかぁ」
カムラは頭を抱えた。
「本当にわかってんのかぁ…?」
***
流石のギルドは人が多く見られた。理由としてはここスクブスから冒険者の聖地とも言えようユーバーレステシュタットへ出る空中船が出るのである。主要産業はそれとして、純粋に北征と地中海側、東征との交通の便が純粋に便利な位置にあるスクブスは数多くの空中船が来る事でも知られており、空中船の建造ではリバプール造船商会が軍用から民生までを建造するが、また、ヴィーラントギルドもこのスクブスの利益で財を作っている。
「俺が見てくる。これでもルーン語はわかるからな」
トルンガはそう言った。
「助かる。エウロペは今話せそうにないし」
「お前らも学べばいいんだがなぁ」
「嫌よ、だって難しいじゃん。シチリア文字と違い過ぎだし。ブリトン文字使ってる人もいるんだよ?ね、カムラ」
ラリアはカムラに聞く。カムラは上の空である。
「ん?あ、あぁそうだな。てか急に話題を振るな」
「カムラ、ブリトン文字使うのか?成程、特徴的な訛りだと思ってたんだが。東洋人みたいな顔なのになぁ。使ってる奴なんてストラスクレイドに住んでる奴くらいだろ?」
と、トルンガは言ったがラリアは頭を振った。ストラスクレイドは地味に広く、アイヴァース連合王国の構成国の中で二番目に領土が広く、その影響範囲もかなり広いのである。
「それがね、ストラスクレイドかなり広いから使う人多いんだよ」
「な、成程…。長くアイヴァースには住んできたがそれは知らなかった…。十年ロンディニアで腕を磨き、十二年、アスチュートで売ってきたが…」
「トルンガって何歳なんだ」
トルンガはそんな事聞くもんじゃない、と言おうともしたが、自身が男である遠慮はいらないとも思った。
「今年で47だ」
「「あ、あ~」」
「あ、ってなんだ。あ、って」
「結構歳いってるなって」
「聞いといて失礼だな、やれやれ、話すんじゃなかったぜ」
すると列が進み始めた。トルンガはなにやら歳に合点がいった少年少女を落ち着かせ、列へと進む。
「わかったわかった。あとで話してやっから」
列に入るトルンガ。列は誰しもその向こうのカウンターに向かっていった。大半の人々は誰しもユーバーレステシュタットに向かう故である。だが、一行の行き先は異なる。
「次の方どうぞ」
「行き先がポーラブルクなんだが。あるか?」
「ポーラブルク行きですか?そうするとですね…」
「
職員が席を離れ、奧で何か物音を立てて探しているのが聞こえた。
「はい、お待たせしました」
「手間をかけさせた」
「いえ、仕事ですから。ですがお気遣いありがとうございます。それでですね、ポーラブルク行きなのですが、本日はポーラブルク支部が代休日でして、本日は営業していないんですよ。えぇ、本日はかなりこういったご案内をさせていただく事が多くてですね。ポーラブルク支部は一昨日も臨時営業していた為に、明日も営業していないんですよ」
「何かあったのか」
「いえ、先週はポーラブルク支部の20周年記念日でしてそれで感謝祭をしていまして」
「それでか」
「申し訳ございません」
「いや、いいんだ、ありがとう」
トルンガはそのまま二人の元に戻っていった。当然二人は驚く。
「えぇー!!」
「それは不味いな旅費が足りん。まぁ元々ここで一泊する予定ではあったにせよ、そうか、明後日もか」
カムラは頭を抱えた。計画の変更をせねばならない故である
読んで頂きありがとうございます!
スクブスで何かしらイベント起こしたいと思っていたんですよ、だからやっとここまで来れて良かった…。では、また。




