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ロンディニアへ 

第二八話です

 翌日、イニシュラの職員に話し、カムラら一行はサウスアスチュートからブレミンゲハム行きの鉄道に乗り込む。


「カムラーっ!!ほら早く早くーっ!」


ラリアが急かし、カムラはその重い荷物袋を背負って付いていった。


「急がなくても発車までは後十五分近くある。そう急がずとも乗れるさ」


カムラはそう言うがラリアは少しばかり駆け足で車輌の中へ入っていく。カムラはラリアが持たぬ重い荷物を代わりに背負ってやるつもりでいた。それは所詮後にも持つ気が出る事はそれこそ、主に誓って在らねばと考えての行動だった。


「おーい、オー…」


いざ振り返ればオーダの姿は何処にも無い。どこかと思って周囲を見渡せば向こうから何やら駅員と話している。


(いや、待て。アレを如何して直ぐに駅員だと言えるのだろうか)


帰ってきたオーダはその手に四つのパンがあった。これを車内で食べようというのだ。昨今はどうやらこういったものも駅売員と呼ばれる人々が多く郊外の農村部での収穫された小麦をパンにし、駅前で販売されている訳である。オーダはそれを一人40セーレス、120セーレスで購入した訳である。カムラには特段これに言う文句は無かった。確かにこれからは車内で長く過ごす事となるであろう。何もしないというのは余りに辛すぎる。口寂しくては退屈、という話である。ラリアもカムラも同じように考えていた。とはいえ、車窓から見る景色というのもそれはそれで絶景であろう。これはカムラの嗜好の話でしかないのだが。


「パン買って食うのか」

「口寂しいの嫌じゃないですか。ここからロンディニアとなると相当乗りますからね」


カムラは成程と頷いて見せた。


「あ、ここで帰ってもいいんですよ?」

「そういかんな。ウチの栄えあるリーダーはオストプルーサをご所望だ」

「スクブス通らない道が私は欲しいんですけどね…」


***


 汽笛はなり、汽車は王都ロンディニアへ向けその丸い脚を回しだす。鉄路の境で車体は揺れ、それが風情を醸し出していた。カムラは早速パンをかじる。やはり硬い。だがほんのりした甘味はデザートの様である。


「中々甘いじゃないか。何使ってんだこれ」

「木の実とかでしょうか。甘いのもありますし。乾燥させ、砕き、小麦と一緒に練ってあげれば多分これの生地になるんじゃないでしょうか」

「ほほう。だが、生憎とここにそれが出来るやつは…」


ラリアはパンをガジガジと齧り乍らカムラを見た。頭を傾げる様は鼠か何かか。


「いないらしいな」


そう話していると車掌らしき男がカムラらの席にやってきた。


「切符を拝見させて貰えますか」


ラリアは慌てて切符を四枚出した。


「拝見しますね」


車掌はそれらを見るとふむ、と頷き、四枚を検札鋏で切った。


「確認しました。もし今後何かあれば添乗員に申しつけください。では」


車掌は去っていく。


「さてと、俺は寝るぞ」


トルンガがそう言った。


「寝るのかよもったいねぇ」

「俺はアンタらに言われてしぶしぶ来ただけだ。元は付き添う気なんか早々無かったんだぜ」


そのまま頭を窓際に託して目を瞑ってしまった。ラリアは折角なのにとも思ったが色々と無理を言って付き添わせた手前そう簡単に言えた事ではなかった。車窓はサウスアスチュートの街並みから離れていく。車速の上り幅に比例してその速さは明確であった

ラリアは車窓に釘付けとなった。アスチュートからサウスアスチュートというとそこまで大きく違いを彼女は感じ取れなかったが、いざ都市部から離れるとその文明格差とも呼称し得る景色の移り変わり具合がよく再認識できた。平地には数多くの煉瓦造りの家々が散見されるがその大半は農村であり、都市部に接する故に煉瓦造りになっただけの事であろう。ラリアの住むカリヨン村しかりであるが、アイヴァース自体その都市部と農村部の差は最早二世紀、否三世紀程の差と化しているに違いあるまい。でなければどこかしこにも都市部で見られる工場の煙が散見されるに違いないからである。それがない事が何よりの証明ではなかろうか。更に車窓が移り変わればその家々さえも減っていき、遂には自然のみが彼女の眼に飛び込んできた。生い茂る緑、流れる清流。緑に覆われた自然の景色である。もう一歩言及できるならばここはまだ開発の手が加わってはいない土地だとも言える。とはいえ周囲には冒険者の家も数多い。列車の運行に際して動物が列車の進行を止めてしまう事が無いようにである。マクロニュクスと言った動物やブリトン島の固有種であるブレードタイガー、更には鹿に熊、狼は線路上に飛び出す事が多々あり、事故によって一度止まると長く動けない。冒険者らはその為にも、野生動物を監視し、線路上に近づかない様にしているのである。とはいえ、汽車も線路上に動物がいると汽笛を鳴らし、そうでなくとも列車そのものに接近しない様に幾度となく汽笛を鳴らす。それは車内でさえ幾度とその音を聞く事があった故である。


「うるさー」


ラリアは思わずそう口にしたが。


読んで頂きありがとうございます!

ロンディニアへ向かう話となりましたね!話も大分大きくなってきました。実を言うと昨日は私用で何もしていなかったのと、いつもの感じで四〇〇〇字書いちゃったので話をぶつ切りの様にしていまいました、という言い訳をさせてください。また今夜お会いしましょう!では。

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