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今度は旅?

第二七話です

 大きな苦難も去り、イニシュラにも帰還した。大きな金も入ったとなれば、家が欲しくなるが、北区東区の復興が未だ成らぬならば、新居も得れない。また洞窟への移動が現在禁止され、仕事もできなかった。大きなパーティーではその分裕福にやれたが、少なくともイニシュラにいるような冒険者にとっては益々自拠点の購入等遠のく。参加した冒険者は大半何かしらの怪我を負う故、その費用まで負担すると、実質的な利益は少しの緩利のみしか齎さなかったのである。


「カムラの武器も買わなきゃねー」

「そうだな…つーかそれが一番デケェ。この短剣も無理させたのはそれとして、アムールの剣も折っちまった…」


カムラは折れた剣を見る。村を出る際の片刃の剣は完全に折れていた。そう壊れるものでもないが、腐ったように刃を崩れている。


「どっかで切り替える予定だったんでしょ?」

「つっても折れたのはキチィ。補填するたってまた新しく買わねば…それに防具もかなりガタ来たし、買うものが多い、本当に多い」


カムラは頭を抱える。治療費に加え武器までもとは流石に大きな出費である。


「軽鎧まで壊れてたら困り果てていましたが…幸か不幸か着用せず。不幸中の幸いというところでしょうか」

「全く、と言いたいが額で見れば充分不幸だ」

「今回亡くなられた方もいますが、そうですね。時として生き残った故に問題が生まれる。これはどうしようもない事です。故人の不幸と生人の不幸は天秤には測れません。時にどちらかの不幸の方がその個人にとっては寧ろまだマシと言える時も往々にしてある。でしょう?」


オーダの言葉に二人は納得せざるを得ない。正論か、はたまた個人の意見かはさておき、少なくともここ三人にはこれが正しく聞こえたのだ。

翌日、剣を買いに出かけた三人であるが、当分トルンガの店は開けない為に、南部の街に来ていた。今のここは北区の代わりとして多くの人がおり、なにより現在サウスアスチュートが全体の半分しか使えない事から考えるとこれは仕方ない事とも言えた。南部の武器屋の一つに鍛冶ギルドの一つがある。多くの人が集い、鍛冶屋と冒険者が直接対面していた。そこに、なんとトルンガがいた。


「あれ、アンタ…」

「あんときの若僧か。成程な。アンタが。どうだ、役に立ったか」


カムラはそれを聞くと手を打った。


「あ、ならやって欲しい事が」

「言わなくてもわかる。なに、自分の作品が活躍すれば嬉しいもんさ」


そう言うトルンガの顔には初見時とは違う笑顔があった。


「役に立った。あれがなきゃ最後の一押しは無理だったし、短剣にもエンチャントは出来なかった」

「…しまった」

「え?」


トルンガは素材箱から顔を上げる。


「バフォメトの革が無い、すまんな」

「マジか」

「あれを取り扱う奴らはそういないからな」

「わかった。それはいいや。因みに武器は作れるか?」


カムラが聞くがトルンガは首を振る。


「無理だ。防具なら作るんだが」

「そうか…。なぁ」

「なんだ」

「バフォメトとやらを狩ってきたら、それで作ってくれるか?」

「良い発想だが…勧めんな」

「なんで」

「東征にしかいないからだ。何故十字軍が嫌ったか?それは東征にいたからだ。会わなければそもそも噂は生まれない。この島から征州は大陸側だぞ。金はどうする」


トルンガはそう畳みかけた。


「代替手段は無いんだろ?」

「否定はせんな」

「なら行かざるを得んだろうさ」


カムラがここまで言って、ラリアとオーダは察した。


「カムラさん」

「カムラ」

「ん?」


確信犯ではあってもカムラは敢えて知らないというフリを見せる。あまりにも分かり易い嘘である。


「冗談を話し合っているので?」

「なぁに言ってんだオーダ。俺がこんな時に冗談言うわけないだろぅ!」

「本気も本気さ!」

「な、何年かけるおつもりですか!?」


オーダの意見は最もである。征州はかなり広い。バフォメトの生息地まではなんと1600km近い距離を移動せねばならないのである。これは数字以上に困難を極める。国境の問題、超過の問題等々、余りにも長い時間が必要ではないか。


「鉄道は通ってない…あ、わかった」


そして、ラリアは思いついた、ついてしまった。


「ロンディニアから船で移動して、んでハールダムに行き、アントウェルペンから出る空中船でサッカバスに行き、スクブスから出るダーダルスのポーラブルク行き空中船に乗れば…いいんじゃない?」

「さっすがラリア!その通り!」

「な、なんでこんな時は思いついちゃうんですかぁ?」

「そりゃラリアの十八番が空想旅行だからで…ぐはっ」


ラリアの電撃がカムラに浴びせられる。


「んじゃ、行こう!」


トルンガはそれに対し溜息交じりに言った。


「そうかい。だが、俺は待ってやらんぞ」


然し、これには既にラリアは対策を講じていた。


「いや、来るよ」

「誰が」

「ん」


ラリアはトルンガを指さした。至極当然の様に。


「俺も、行くのか…」

「そりゃそうじゃん!私あったまいい~!」


結局、オーダは折れ、ラリアの案に乗る事になった。だが、結局剣が無い。

そこで、鍛冶屋ギルドでカムラが買ったのはロングソードであった。扱いやすく、またカムラの戦闘と相性が良かった為である。ロングソードは通常の鋼鉄製ではあったが、更には、バグの爪から作ったナイフも更に持った。鎌の様な形状だが、刃の突起は鋸の様に引き裂き、痛みを与え、其の上木を切るのに丁度良かった。寧ろカムラは木の皮を割いて薪に使えると考えたのである。

読んで頂きありがとうございます!

新しい展開に出来ました!達成感があったり、なんだったり。

読んで頂いた方、是非評価のほどしていただけると励みになりますので、良かったらしていただけると嬉しいです!でも読んで頂いただけでも嬉しいので、また見かけたら読んでいってください!

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