↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/69

満を持して冒険 下

第十三話です。今回は戦闘ありません。

 そこから先はカムラとラリアの知らない世界となっていった。幾多も分岐の分かれる道。流石に迷う冒険者も多いのか、木で誂えられた標識がそこらにある。然し一部は腐り果て、倒れていた。

壁面にはアオコウリョウゴケ呼ばれる別種が多く生えていた。名の通り青い光を発する。


「幻想的…」

「アオコウリョウゴケですね。見た目はいいですが、一方で光量も減って視界も悪くなります。第四層はある程度視えますが、第二層の第二区はやはり暗い。マクロニュクス等に気をつける必要は常にあると思ってください」

「わかった」


周囲はアオコウリョウゴケによる美しくも、頼りない光が満ちている。余りにも頼りない光はラリアにはそう見る事のない幻想的な景色を与えたが、カムラにとって、先の判別し辛い、非常に危険な光とも思えた。

更に先を進む一行であったが、空気に湿気を感じたカムラは周囲を見渡す。そして己の足音の変化に気がついた。地を踏む己の足音に硬さではない、土よりも柔いものを踏む音を聞いた。足から伝わる感触さえ柔い。ふと足下に目を向けると、苔が生えていた。光らないその苔は魔力によって成長する事のない、苔であった。


「植物、それもただの、か」

「何が気になるのさカムラ」

「この近くに水があるんじゃないか?」


洞窟内での湿気は、即ちその空間の空気循環が通常よりも悪い事を示すが、それは更に言えば、水源の蒸発による水分が苔を生み、そして近くに水がある事を示していた。また、カムラは口にこそしなかったが、こうして三人が体調不良を訴えず、進み、尚且つ苔が通常通り生えた事はこの先の水源に毒性が無い事も同時に示した。無論その場合は彼等は進む事さえ困難だったであろう。


「成程!んじゃ水分補給してく?」

「そうですね。一度休むにも丁度良いかもしれません」

「それなら寄ってこー!」


一行は水源で小休憩を挟む事となった。カムラはボトルに水を詰め、その水が問題無いかを試すべく、近辺にいたスモールワームの首元を掴むと、水を飲ませ、様子を見た。何分痛む様子も見られない為、再度水を汲むと口に注ぐ。


「んー。何も分からんな。まぁ、これで死んだらその時はその時だ」

「魔法で浄化はできるよ?」

「もっといい方法あるだろうに。まぁ簡単ならそれでもいいか」


カムラはボトルに水を汲むと蓋を閉めた。


「あれ?もっと飲まないの?」

「余計多く飲めば腹痛めるだろ?戦闘に支障が出る。お前も一口だけにしておけ。多少辛かろうが、仕方ない」

「カムラさんは戦いに関してよくご存知ですね。どこかで?」

「…ん?あぁ。まぁ、ちょっとな。ただ独学だよ。大半は」

「そう…ですか」


オーダは飲む寸前まで持ってきていたボトルの口を抑え、蓋を閉じた。


「なぁオーダ。こっから先に行くのもいいが、時間は大丈夫なのか?あと一層降りた辺りで寝る場所が欲しいだろ?」

「大丈夫かどうかで言えば、全く違いますが。携帯寝袋がありますから。第四層まで降りた辺りで冒険者が一同に眠る中間地点があります。さして広くもないですが、それでも面積は2㎢はありますよ」

「な…相当大きいな。一体何でだ?」

「それは私にもわかりかねます」

「流石そこまではか」

「じゃあ、そこまでは行こうって事ね?」

「そうです」


オーダが立ち上がったのを見て、カムラとラリアも立ち上がる。再び洞窟の前進は再開された。

カムラは周囲を用意した手帳に書き込む。様子や、その仕組み。先程立ち寄った水源の場所。これはカムラにとっては次来る時の重要な材料であった。

一方のラリアはこの三人を引き入れる中心にあって、歩調軽く、歩みを進めていた。


「っていうか、前回は全然思わなかったけど、案外冒険者に会わないもんだね」

「洞窟外での依頼も多いですし」

「そうなの?」

「新大陸の方へ行く方々もそうですが、モンスターの数が減ったとはいえ、それは小物の話。バグに関しても競争するモンスターが減った、という話を聞きますがそれ故、増えつつあるようです。バグは雑食ですから、木の皮さえも食べますし、当然土や鉱石まで食い尽くします。あまり多いと土壌が荒れますから、それもあってか、駆除以来が絶えないのです」

「私達の村じゃ聞かなかったけど?」

「どの村でしょう?」

「カリヨン」

「あぁ。あの辺りでしたら確かに。あの近辺は熊が多いです」

「ヒグマの事?偶に食べるよ」

「ええ。それです。バグの鎌は鋭いですが、同時に脆弱でもあります。ヒグマの様な大型モンスターには外骨格ごと破壊される事もしばしばあります」

「へぇ…」


ラリアがふと前を見るとカムラは遥か先にいた。その顔は明らかに怒りを伴っている。


「おい!二人とも!遅いっ!早くしろ、もぅ」

「あ、はいはい」

「あ、そうだ。それともう一つ」


オーダはラリアを呼び止めた。


「ガリアの辺りでは何やら大きな狼を見たとかで騒ぎになっています。それもあるかもしれません」


どこか。ラリアは聞く。オーダはその場所はジェヴォーダンだと、答えた。

ここまで読んで頂きありがとうございます

ギリギリ間に合いました。これなら昨日今日のを合わせた方が良かったかもしれません。

ここからは投稿ペースを戻して二日に一本程度となります。宜しくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。