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サラリーマン、銀河を行く ~底辺から花形部署へ成り上がれ  作者: 無海 シロー


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セキュリティ大作戦 21-7

 7.終わりなき戦い



 この先もこのような攻撃や襲撃は続くのだろう。

 うんざりする。

 気持ちがめげて萎えそうになるが、これもフィオーレにとっては予測の範疇なのかもしれない。どんな状況にあってもフィオーレはTDFメンバーを鼓舞していたし、気を配っている。

 彼女はノアの一件もそうだが、すべてを明かしてくれるわけではない。

 時には全く誰にも伝えない事象すらあるのではないか? こちらが気付いていたとしても沈黙させられるし、実はと言われた話だって数知れず存在していた。

 パビリオンにおいてサイバー空間からの侵入者との攻防は産業博覧会が終わるまで続く。

 それが終わったとしても、今度はTDF本体への攻撃は終わりがなかった。

 TDFの有用性を認識してくれるのはありがたいが、心が休まらないのも事実である。

 フィオーレがそれらの事実を告げないのは、安心安全に仕事を続けて欲しかったからと思いたい。決して完璧をメンバーにも求めていたわけではないと。

 彼女には余程の自信があったわけであるのだから、どんな状況下であっても完璧にやり遂げるだろう。

 フィオーレがシンシマやノルディックに信頼されていて『お母ん』と呼ばれる所以である。

 彼女への恐怖心を覚えつつもオリエナ自身、TDFは安心して仕事が出来る環境であったと思えるのである。現在であっても最強のメンバーがそろっていた。

 それだけ個性的であっても頼れる人材が揃っている。これはのちに思い浮かべても奇跡のような時間だったと言えよう。

 それだけ凄い面子が揃っていたのである。


「なあ」オリエナはフィオーレに訊ねる。「どれだけこの状況を利用していたんだ?」

 今回の件では甘ちゃんだったテーセの飛躍を促していたようにも思えてくる。

 だから、彼女は直接手を出してこなかったのではないか?

「訊きたいのかしら?」

 妖艶な笑みにあたしは腰が引けてしまう。

「当然だろう。あたしらがどれだけ利用されたか気になる」

「ノルディックもディも気にしてないわよ」

「あたしが気になるんだよ。もっと早く救い出すことも出来たんじゃないか?」

 トラウマにならないレベルで。

「そうかもしれないわね。でもね。それだけでは自分を守るという意味も、何を気を付けなければならいのか知りえなかったかもしれないわ」

「お灸をすえられたようなものか?」

 オリエナはゾッとしてしまう。どこまで冷徹に判断しているのだろうか?

 完全に任せてしまっても大丈夫なのかと……。

「全てにおいてよ」

 静かに、それでいて事も無げに彼女は言っていた。

「全部かよ」

「当然でしょう。どんな状況にあっても、私はそれを利用してでも完璧を求めるわ」

「相変わらずだな」

「そうかしら?」フィオーの妖艶な笑みは崩れない。

「利用されただけなのは、それが分かってしまえば全体への不協和音にならないのかよ」

「黙らせる手段は考えていますよ」オリエナが強く言っても、彼女は動じていない。「使えるものはすべて利用します」

「分かった。分かった」オリエナは降参した様に両手を上げる。「あたしじゃ及びもつかないよ」

 すべてを見透かされているようで、その視線が怖かった。

 裏の裏側、さらに自分自身気が付かないような内面まで知られてしまっているような気分だ。心をミキサーでグチャグチャされてしまいそうだった。

 触らぬ神に祟り無しだろう。

「分かれば、よろしい」

 その笑みは屈託の無いものにも見えてしまう。

 こんな微笑みも出来たんだ……。

 天使とも聖母とも違う。慈愛や神々しさとはあまりにも遠いが、自然な笑顔だった。

 部長のパーンが笑みを浮かべる年相応の他愛のないものと同レベルであったのかもしれない。



  〈21話了 22話に続く〉





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