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北風と太陽(342文字)

 あるところに、一人の旅人がおりました。

 それを、北風と太陽が見ていました。


「おい太陽。一つ勝負しないか。どちらがあの旅人の着込むコートを脱がせられるかという、勝負だ」

「ははは、いいだろう。いいだろう」


 太陽はからからと笑いながら言いました。

 そして、カッと輝いたかと思うと、地表を一瞬、熱く照らしました。

 すると、どうでしょう。


「あっ」


 北風はそれだけ言ったかと思えば、ふっと消えてしまいました。

 旅人の方は、なんだと空を見上げますが、どうにもなりませんでした。一瞬、暑くなっただけですもの。コートを脱ぐのには及びませんでした。

 太陽はなおも、おおらかに言うのでした。


「風がどう生まれるかを知らんのか。少し照って気圧を変えれば、このとおり。なのに私に勝負を挑んでくるなんて、思い上がりめ」、と……。


※隔日投稿だとこのサイズのショートショートを公開しにくいことに気づきましたので、これからは隔日+α(不定期)という形でやっていこうと思います。

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