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第37話 インフルエンサー絶対成功メソッド

「1、2の3で、ボカァーン! 愛の爆弾チャンネルの〜シャクレですっ!」


「メガネですっ」


「今日はリュウに秘密で動画回しています!」


「それはどうしてですか、シャクレさん!」


「それはこの検証をするためです……」


「検証……?」


「リュウ、タイムトラベラー説〜!!」


◆◆◆


「……みたいな感じで一年前くらいに動画を撮ってたんです。シャクレとの悪ふざけで、タイプCのUSBメモリを持ってるからタイムトラベラーなんじゃないかって」


 メガネさんは神妙な面持ちで話す。内容はくだらない動画投稿者の話なのに、僕らがその話を真剣に聞くのは何だか滑稽にも思える。


「で、リュウの作業部屋にこっそり忍び込んだんですけど……」


◆◆◆


「ありました〜! これです!」


「年季が入ってますねぇ〜!」


「ん? 何か書いてあります。インフルエンサー絶対成功メソッド? なんだこれ?」


「リュウのやつ、変な名前つけやがって!」


「あははは!」


ガチャ


「あれ、2人とも何やってるんですか?」


 シャクレとメガネが2人で笑っていると、そこにリュウが帰ってくる。2人は早速リュウをからかうのだった。


「おい、タイムトラベラーリュウ! このインフルエンサー絶対成功メソッドって何だよ! 変なネーミングセンスしちゃってー!」


 そう言ってシャクレがUSBメモリを手にしてひらひらとリュウに見せつける。それを見たリュウは表情を一変させて、顔を真っ赤にしながらUSBメモリをシャクレから奪うのだった。


「なにやってんだよ!! 2人とも!」


「おい、なにマジになって……」


「出てけ!! 勝手に触るなよ!」


「おい、リュウ落ち着いて……」


「うるさい! やっていいことと悪いことがあるだろ。その動画も消して下さい。すぐに!!」


◆◆◆


「それは確かに怪しいなぁ」


「それからシャクレと俺の間で、この事には触れちゃいけないみたいな空気になったんです。でもずっと気になっていて」


「インフルエンサー絶対成功メソッドって書かれたUSBメモリねぇ」


 僕も今の話を聞いてリュウが怪しいと思った。なんとかそのUSBメモリを手に入れることができないか……。


「メガネさん、リュウを呼び出してみてくれへんか?」


「無理です」


「は? なんでや?」


「詳しくは言えないですけど……。リュウは今警察のお世話になっちゃってて……」


「は? え?!」


「俺も愛の爆弾をもう抜けたんで」


 そう言って遠い目をするメガネさん。僕はリュウの迷惑行為がこちらでも発揮されたのだろうか、などと邪推していた。


「すいません。インフルエンサーにも色々あるということで……。でも、話していてわかったことがあります」


「わかったことってなんや?」


「10年前のツリー点灯式事件。そこに行けば全部わかると思うんです。シャクレとリュウが会ったのもそこが初めてらしいので」


 メガネさんは理路整然と話し始めた。リュウがツリー点灯式事件の様子を撮影していて、声をかけたところから知り合いになったという話があるらしい。


「おそらくその時に何かUSBメモリを手に入れたんでしょう。それを拾ったのか、未来から来た誰かに貰ったのか、それはわからないですけど」


「おい、メガネさん。お前探偵ちゃうんやから、探偵みたいに話すなや。それはオレの仕事や」


「別に俺が話したっていいでしょう! だから、10年前のツリー点灯式事件の日に行って、リュウを見張っていれば何かわかるはずです」


 確かにそうだ。そうすれば、今の世界になってしまった原因がわかるかもしれない。でも……。僕はメガネさんに疑問に思ったことを尋ねてみた。


「……。でも、メガネさんはそれでいいんですか? そうしたらまた歴史が変わって、愛の爆弾が……」


「でも、そっちの世界では愛の爆弾は元気にやってるんでしょう?」


「まぁそうですけど……」


「こっちではもう崩壊しているようなものです。俺は愛の爆弾を……昔みたいな愛の爆弾を取り戻したい……」


 メガネさんは体にグッと力を入れて、こちらに向き直った。その目はキラキラとしていて、決意に満ちていた。


「だから協力させて下さい!」


「よし、善は急げや! 早速絵から過去に行くで!!」


「よし、行きましょう!」


「あ、ちょっと待ってください」


「タテノ、折角盛り上がってきたところなのに何やねん……」


「一つだけやり残したことが……」


 このタイムスリップが最後になるかもしれない。僕はその前にひとつ、ケジメをつけなきゃ行けないと思った。そう、あかねちゃん。最後にあかねちゃんに会って伝えたいことがある。

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