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第20話 男は行く

 はてなさんは一通り話すと、「そろそろクリスマスショーの時間だ」と言って去って行った。


「……デイちゃん。僕……過去のテーマパークに行くのやめようと思います」


「タテノくん、私も話聞いててやめた方がいいと思ったわ。この写真もせっかく撮って貰ったけど、捨てようと思うわ。歴史が変わると怖いし……」


 はてなさんは気づいてなかったようだが、彼がタイムスリップについて語れば語るほど、僕とデイちゃんは自らがした行いに恐怖するのみだった。タイムスリップ怖い。ちょっとしたことで歴史が変わってしまう。もししたとしても何もしちゃいけない。そのまま帰ってくるべきなのだ。


「い、今のところ何も変わってないです……よね?」


「た、たぶん……。もしかしたら変わってるけど、それに気づいてないとか……?」


 僕とデイちゃんは辺りをキョロキョロと見回す。いつもの何の変哲もないパークに見える。変わってないよな、歴史。


◆◆◆


——デイちゃん達、何の話してるんだ?


 リュウはテラス席で休憩していた。相変わらずチャンネルの動画は伸びない。カメラを買い直して出費も嵩んだせいで、赤字続きだ。


——シャクレさんもメガネさんも何もわかってない


 俺が折角“インフルエンサー絶対成功メソッド”を買ったのに。結局毎日投稿も何もしないという結論になった。俺だってこれで何かが変わるなんて思っているわけじゃなかった。でも、何もしなければ今のままだ。何かすることで成功への道が見えることがあるかもしれない。


「僕……過去のテーマパークに行くのやめようと思います」


——過去に行く、だぁ?


 スタッフの男が何やら話している。過去に行く、そんなことができたらどれだけいいだろう。俺がもし過去に行けたなら、動画チャンネルを作って動画投稿をいち早く始める。インフルエンサーの活動を始めてから、あと少し早く始めていれば……と何回後悔したかわからない。


 同じような動画内容、同じようなクオリティにも関わらず、少し先に始めた動画チャンネル達の方が再生回数も注目度も登録者数も桁違いなのだ。正直、愛の爆弾チャンネルも10年前に始めていれば、サボちゃんや陰の船団チャンネルに劣らないチャンネルになっていたはずだ。それほど始める時期というのは大事なんだ。今はライバルが溢れすぎている。もっと少ない時期に始められてたら……。


——やばい!


 デイちゃんと話しているスタッフの男がキョロキョロと辺りを見回し始める。あいつは前に俺が迷惑行為をした時にいたスタッフだ。あっちが覚えているか知らないが、見つからないに越したことはない。


「じゃあ、デイちゃん。僕は仕事に戻りますね。この話は秘密にしましょう」


「ええ」


 スタッフの男が去っていく。先ほどの話が気になった俺は男の後ろをつけていくのだった。

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