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第19話 ばっくとぅざふゅーちゃー

「……ということがあって」


「大丈夫、それ?」


「え?」


「ビッグボス、タテノくんのこと好きになっちゃったんじゃない?」


「いや、それはないですよ!」


 過去のパークから帰ってきた僕は、デイちゃんの元へと写真を届けにやってきていた。その間も僕はマエダさんとのことが頭から離れなくなっていた。涙を流すマエダさん……。ビッグボスはあの事を覚えているのだろうか。あれがタテノだって知ったらどう思うんだろう。


 デイちゃんはそんな僕の様子が気になったらしく、昨日何があったのかを執拗に追撃をしてくるのだった。観念した僕は誰にも言わないでくださいよと念を押して、マエダさんとのことをデイちゃんに明かしたのだった。


「いやぁ、私がビッグボスだったらタテノくんに惚れちゃってるなぁ」


——いやぁ、ないない


 マエダさんが僕に惚れているなんてことあるはずない。僕らの関係はそんな感じじゃないのだ。なんというか同僚、友達、親友? そんなこと言ったらビッグボスに怒られちゃいそうだけど。


「何の話ですか? それ?」


「え?」


「さっきから過去がどうのって、“バックトゥザ・フューチャー”の話ですか?」


 その人は「映画の話になると私うるさいですよ」と言って、僕たちの話に割り込んできた。この人は“はてなさん”という最近常連になってくれたお客様だ。ゾンビナイトのオールナイトイベントをきっかけに通ってくれるようになったらしい。はてなさんに「あの時はありがとうございます」とお礼を言われた時は嬉しかった。何でも僕のおかげで楽しめて、パークに通うようになったのだと言う。そんな大袈裟なことをした覚えはなかったが、その日は嬉しくてニヤニヤが止まらなかった。


「はてなさんがタイムスリップ出来たらどうする?」


 はてなさんが“バックトゥザ・フューチャー”愛を語るのを遮って、デイちゃんが質問する。はてなさんは苦虫を噛み潰したような顔で答えた。


「いやー私は怖くてごめんだなぁ。タイムスリップして、歴史変わっちゃったりしたら怖いじゃないですか?」


「え?」


「それこそBTTFバックトゥザ・フューチャーみたいに歴史が変わったら怖いからね」


——歴史が変わる?


「まぁ、タイムスリップはロマンですよねー」


 そう言ってはてなさんは笑っていた。僕は気になって質問してみる。


「そんな簡単に歴史って変わるんですか?」


「まぁ、バタフライエフェクトじゃないですけど、何が影響して歴史が変わるかわかんないですし……」


「ちょっとしたことじゃ変わらないですよね?」


「いやぁ、それがわからないんですよ! ちょっとしたことで変わるかもしれないから、タイムスリップ物は考察が止まらないんです。例えばBTTFでは……」


 はてなさんはそう言って嬉々としてタイムスリップ物のロマンについて語り始めた。


——僕らがやったことくらいじゃ歴史なんて変わらないよな……?


 はてなさんの長々としたタイムスリップ考察話を聞きながら、タテノくんは少し焦り始めていた。過去のテーマパークでマエダさんと少し話したくらいで、歴史なんて変わらないよな?


 タテノくんはまだ気づいていない。ビッグボスに貰ったポケットの中のメモ書きの文字が薄くなってきていることに。

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