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第7章 再会 ~その6~

 編集が下手で今回は短くなりました。

「だが断る!」


 いくら好条件でも、ゆりあにだって都合というものがある。

 今は蒼家から離れるわけにはいかない事情があるのだ。


「それ使い方あっているのか……?」


 ずれたツッコミをする悠斗だった。


「お兄ちゃんこそ、戦うの止めてよ!」


 不満気にゆりあは頬を膨らませて、丸い顔をさらに丸くする。


「そしたら、俺はどうやって食っていけばいいんだ?」

「蒼家においでよ。私は次期当主だからお兄ちゃん1人面倒見るくらい、どうとでもなるよ」


 何の気なしに放たれたゆりあの言葉で、悠斗は口に持っていきかけたマグカップを寸前で止めた。


「蒼会長……、いや蒼茉夏生徒会長を差し置いて、ゆりあが次期当主……?」


 黒服のSPが護衛していたことには合点がいったが、実の妹が蒼家の次期当主という点については悠斗は信じられなかった。

 わざわざ血の繋がりのない人間を当主にする意図がわからない。


「嘘じゃないよ!」


 よほど顔に出ていたのか、ゆりあが口を尖らせて悠斗をじろりと上目遣いで睨む。


「そんなに強いんだ」

「まあね! だからお兄ちゃん、蒼家においでよ」


 嬉しそうに告げるゆりあの提案だが、即座に答えたのは悠斗ではなかった。


「そんなの駄目です!」


 わざわざこちらの席までやってきて、バンっとテーブルを叩いたのは織姫だった。

 汐莉はニタニタと面白そうに、愛李は複雑な顔でこちらを見ている。2人とも悠斗が蒼家にいっても、さほど現状に変化がないから口を出さない。


 しかし織姫は違った。

 ずっと傍にいてくれた義理の兄が蒼家に行ってしまったら、自分と疎遠になってしまう。


 そんな漠たる不安が織姫の胸中を占めていった。

 汐莉や織姫のように友人として接してもらえるか、自信がないのだ。


「お兄様は、紅家にとって大事な人なんです!」


 悠斗を取られたくない一心で、織姫は刺さるような声を出してしまう。


「だったら、ちゃんとお兄ちゃんのこと守ってよ!」


 しかし、ゆりあは気圧されることなく、ぴしゃりと言い放った。

 痛いところを突かれた織姫は口をぱくぱくさせるばかりで、何も言い返せない。


「名前が同じだから、紅悠斗のことは気になって調べたの。そしたら韓国や台湾で戦ってるし、日本でも江東の虎に命を狙われてる……」


 淡々とゆりあは述懐する。

 だが次の瞬間、感情を爆発させた。


「蒼家に来てくれたら、私は絶対お兄ちゃんをそんな危険な目に合わせたりしない!」


 大事な人なら、どうして危険に晒したりするのか?

 ゆりあは全く理解できなかったし、しようとも思わない。

 その気迫に抗しえず、織姫は唇を噛んで俯いてしまう。


「だが断る!」


 まず悠斗はゆりあに顔を向けた。


「恐らく俺が蒼家に入ったら、ゆりあの立場が悪くなる」


 次いで織姫の方を見遣る。


「それに俺は紅家に恩も、愛着もあるしな」

「お兄様……」


 織姫の表情には安堵の気持ちが滲んでいた。


「そっか、じゃあ仕方ないね。私も蒼家を抜ける気ないし」

「そういう事だ。だけど、ゆりあ。何かあったら遠慮なく言えよ?」

「うん、お兄ちゃんもね」


 互いの事情を考慮し、それぞれの選択を認め合った2人は紅悠斗と蒼ゆりあではなく、井崎兄妹としての時間を過ごすのだった。

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