17-1
「……どうしよう。どこへ行ったんだ……美夜……」
憂介は顔を青くし、部屋の中を徘徊している。俺は苛立ちで何本目かもわからない煙草を吸いながら、ソファに腰掛け前方を睨む。
───勝手に居なくなるなと言ったはずだ。───
心の中で美夜に対する怒りと不満が渦巻く。剣妖に斬られた跡は傷として残ってしまってはいるが、問題なく動けるまでに回復している。これも美夜の力のおかげなのだが、肝心の美夜は俺たちの生命を蝕むことを恐れ、何処かへ消えてしまった。
───翡翠の乙女は生命力を周りから奪う。だが獅子の眼を持つ者はその力を、受け取りはしても奪われることはない───。
そう何度も説明してやったのに、美夜は聞こえていないようでこの先誰にも迷惑をかけることなく一人で生きていくことを選んだようだ。───俺の了承も得ずに。
居ても立っても居られずとにかく外へ捜しに出ようとする憂介に、俺は何処に行ったか当てはあるのかと問う。すると、憂介は意を決したように述べた。
「───咬介。僕から君へ最後の宣戦布告だ。今から僕は、美夜を迎えに行く。一つだけ思いつく場所があるんだ。正直言って確証もないし、美夜はそこにいないかもしれない。それでも僕が彼女を見つけられて、連れ戻すことができたなら───」
ぐっ、と拳を固く握り、
「そのときは、僕が彼女をもらう。勿論、見つけ出せたのが君だった場合は、僕は君たち二人から大人しく身を引こう。そしてそのときは、紅獅子財閥も君の好きにしていい」
そう言うと俺の横を通り過ぎ、憂介は屋敷を出ていった。




