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応接間に通し、紅茶を淹れ差し出す。お構いなく、と言いつつも横柄に座り、遠慮なしに茶と菓子を平らげた。第一印象ではお淑やかな大和撫子のイメージだったが、存外飾らない女性なのかもしれない。
「あの……先ほども言いましたが、憂介……様は今出掛けてまして……。いつお戻りになるかわからないんです」
「ええ、今日は紅獅子財閥の会合があるんだもの。留守なのは知ってたわ。だから来たの。私は貴女に用があるのよ、美夜さん」
挑戦的な視線を受け、戸惑う。突然のことにどうしたらいいか分からないでいる私に、まぁお座んなさいなと言い放つと、珠代さんは口を開く。
「───翡翠の乙女」
唐突に言われ、思わずはい?と返した。珠代さんは軽蔑するような───、憐れむような、鋭い目つきでこちらを一瞥すると、物語を語るようにして続ける。
「紅獅子一族を誑かす、呪いの存在よね。星の祝福を使って紅獅子歴代当主を籠絡し乗っ取ろうとするなんて、寄生虫と一緒よ」
美しい貌とは裏腹に、毒を持った言葉で牽制する。初めて話すような相手に恐ろしいほどの悪意を向けられ、私は何が起きたのか分からずただただ困惑した。
「あ、あの……仰ってることがよく……」
「あら頭だけじゃなくて耳も悪いの?こんなの囲ってるから紅獅子は衰退していくんだわ。稀代の闘神と名高かった先代の跡取り息子が、たった二人しかいないんだもの。これも、呪いで彼らを蝕む貴女のせいなのよ」
そう言い切ると、立ち上がって私を見下しながら言い放った。
「本当に邪魔な女。今すぐ消して、金輪際姿を見せられなくしてやる。この……忌み女が。───あなたに星の祝福の正体を教えてあげる。翡翠の乙女っていうのはね───……」




