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───美夜さんへ
こうして手紙をしたため思いを綴ることをお許しください。
先日はお見舞いに来てくださり、本当にありがとうございました。弱り切ったお恥ずかしい姿を見せてしまい恐縮ですが、私は貴女に会えて本当に嬉しかった。あなたに出逢えて良かった。そしてそれは、咬介も同じです。
貴女が咬介と示し合わせて私に会いに来てくれたこと、そして本当は二人はそのような仲ではないのに私に気遣って優しい嘘を貫いてくれたこと、感謝致します。
咬介は優しい子ですから、ずっと孤独を貫き一人で生きようとしていることに私が怒っていることも、
私がそんな咬介を心配して志半ばに逝くことに苦しんでいたことも、
そしてそれを解消させ、私を安心させるために貴女を連れて来たことも、全て分かっていました。
私の我儘に突き合わせてしまい、本当に申し訳ありませんでした。
ですが、貴女を見つめる咬介の視線と表情を見て、全て私の思い違いだと気づきました。
咬介は、大切な存在だから貴女を私に会わせてくれたんだと。
これから共に進む相手として、心預け信じ合える女性だから連れて来てくれたんだと。
一目で分かりました。貴女は、咬介の凍てついた心を解かし、共に歩いてくれる女性です。
そして私の思い違いでなければ、貴女も咬介と共にこの未来を生きることを望んでいるように感じました。
どうか、この先貴女と咬介が、共に心のままに選択し最良の未来を築けますように。
いつもどこかで人を想いやるが故に、自分の幸せを手放してしまう咬介を、
自分の傷を隠して人を送り出してしまうあの子を、私の代わりに抱きしめてあげて欲しい。
何もかも自分本位に希望を託してしまい申し訳ありません。
どうか、先が短い私に代わり、何卒頼みます。
紫苑
「あ……ああ……」
震える手で手紙を読みながら、涙が溢れて止まらなかった。紫苑さんは、私たちが恋人同士でないことに気づいていた。気づいていながら、それでもその先の未来を感じ取って何も言及せず、任せようとしてくれていたんだ。
咬介のことを想い、最後まで心配して、そして私に託してくれた───……。
私に、何ができるだろう。不誠実に咬介と憂介の間で揺れ動いている、この私に。




