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ため息をついて、波のように襲ってきた怒涛の出来事をなんとか整頓する。けれど、正直まだ理解は追いついていない。身体は重労働でクタクタだし、頭が考えるのを拒否している。あの男が大階段の前で宣言した後、運び込まれた家具や荷物を客間に移動させなければならなかったからだ。
「ったく、もういきなりなんなのよ……!無理よ、一緒に住むだなんて……!」
じゃがいもの皮を剥きながら呟き、怒りに任せ乱切りにする。怒りながらでもその手際はいいのは、長年使用人として培ってきた賜物だ。あんなに働いた後でも休みなく夕食の準備をするなんて、使用人の鑑でしょ。
玉ねぎも切ると、ツンと鼻の奥が痛み涙が滲み出て来た。私は先ほど優二郎様に聞いた話を思い出してゆく。
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「ご落胤……?」
「ああ。つまり咬介は、憂介の父……先代の妾の子だ」
絶望的な言葉を聞きながらあの男の姿を思い出す。
今は亡き先代と同じ紅水晶の瞳、生き写しのような風貌、そして憂介様の含みを持たせた発言からそうだろうとは予測していたが、いざはっきりと告げられるまでは考えたくなかった。
粗野で乱暴なあの男───九頭 咬介は、先代が正妻でない女性との間に作った子供……。今は母方の姓である九頭を名乗っており、ずっと行方不明だったらしいが白夜会があるこのタイミングで、こうして憂介様の前に現れたという。目的は勿論、次期後継者として紅獅子財閥を乗っ取るため───。
優二郎様自身もその存在は知ってはいたけれど、会うのは十年以上ぶりとのこと。紅獅子の血筋を持っている為無下にもできず、共に住むことに関しては、優二郎様も元老院派の者に先ほど言われたばかりで寝耳に水だったという。
曰く、海外に長らく滞在していたが、帰国して正式に住む家を見つけるまで、この屋敷を仮住まいにする。……とのことらしい。
だというのに、あの男は、私たちの前で啖呵を切った後、椅子にふんぞり返って煙草を吸ったまま動こうともしなかった。それだけでなく、不躾にも一番いい部屋へ案内しろとのたまったのだ。
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「ったく、横暴すぎんのよっ!」
地団駄を踏むように自身の部屋───小さいが私専用に作られた部屋に戻る。屋敷内の片隅にあり、中はベッドと鏡台が置かれているだけの質素なものだが、こうして使用人にも部屋が与えられていることは、とてもありがたいことだと思う。
ベッドに身を投げると荷物運びでくたくたになった体を休める。結局、終始動かないままふんぞり返ったあの男の代わりに、私と憂介様が二人がかりで荷物と家具を運び入れた。どうして私たちがそんなことしなくちゃいけないのよ。というか、持ってきた他の連中も、どうせなら最後までやっていきなさいよ!




