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翡翠の乙女と双頭の紅獅子  作者: 棗健
悪魔の提案
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27/78

7-4

咬介の部屋のドアをノックし開けると、そのまま後ろ手で閉めた。広い部屋の中は元々置かれていた調度品やベッドがあり、豪華な長椅子に腰掛けている。


私の姿を舐めるように上から下まで見て、クックと満足そうに笑う。

前でボタンを閉めるタイプの黒のワンピースに白のエプロン。シンプルでクラシカルだが以前と違い、白い脚が剥き出しで伸びておりスカートのフリルを強調させている。それでも毅然に立ち、次の命令を待つ。咬介は無慈悲にも言い放つ。


「胸のボタン開けろ」


怯みそうになるも自身を奮い立たせ、震える指で一つ一つボタンを開けていく。全身が心臓になったように煩い。襟元はそのままで、二番目以降のボタンは開けられて白い肌が薄桃色のキャミソールと共に露出した。


「相変わらず貧相な肉体だな。全然そそられねぇ」


キッと睨み返すも何も言えず、言いなりになったまま待つ。すると煙を吐きながら、


「俺がその気になるよう誘ってみせろ。上手く出来たら、お前の言うとおりにしてやる」


下卑た申し出に、顔を真っ赤にし歯噛みしながら拒絶しようとするも、新しい玩具をみつけた悪童のように笑いながら私の行動を待つ。震える手をもう一方の手で押さえるものの、緊張と恥ずかしさで頭が爆発しそうだ。


「……そ、れは……憂介を裏切ることは……出来な……」


「じゃああの野郎がどうなってもいいんだな?お前はアイツを見捨てるってことでいいな?」

立ち上がり、隣を素通りして出て行こうとする咬介の背中に追い縋る。


「ま、待って……!する、するから……!!」

「早くしろ」


鼻を啜り涙を拭うと、震える手でスカートを掴みながら、


「お、願い……しま……、何でもします。憂介を、助けてください……」


噛み締めた唇は切れ、血が流れた。ぎゅっと瞑る目から大粒の涙がこぼれ落ちる。その様子にようやく満足したのか、咬介はベッドに押し倒すと嗜虐心たっぷりに言った。


「フン。及第点だな」


持っていた煙草を強引にベッドの淵に押し付け火を消した。

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