7-4
咬介の部屋のドアをノックし開けると、そのまま後ろ手で閉めた。広い部屋の中は元々置かれていた調度品やベッドがあり、豪華な長椅子に腰掛けている。
私の姿を舐めるように上から下まで見て、クックと満足そうに笑う。
前でボタンを閉めるタイプの黒のワンピースに白のエプロン。シンプルでクラシカルだが以前と違い、白い脚が剥き出しで伸びておりスカートのフリルを強調させている。それでも毅然に立ち、次の命令を待つ。咬介は無慈悲にも言い放つ。
「胸のボタン開けろ」
怯みそうになるも自身を奮い立たせ、震える指で一つ一つボタンを開けていく。全身が心臓になったように煩い。襟元はそのままで、二番目以降のボタンは開けられて白い肌が薄桃色のキャミソールと共に露出した。
「相変わらず貧相な肉体だな。全然そそられねぇ」
キッと睨み返すも何も言えず、言いなりになったまま待つ。すると煙を吐きながら、
「俺がその気になるよう誘ってみせろ。上手く出来たら、お前の言うとおりにしてやる」
下卑た申し出に、顔を真っ赤にし歯噛みしながら拒絶しようとするも、新しい玩具をみつけた悪童のように笑いながら私の行動を待つ。震える手をもう一方の手で押さえるものの、緊張と恥ずかしさで頭が爆発しそうだ。
「……そ、れは……憂介を裏切ることは……出来な……」
「じゃああの野郎がどうなってもいいんだな?お前はアイツを見捨てるってことでいいな?」
立ち上がり、隣を素通りして出て行こうとする咬介の背中に追い縋る。
「ま、待って……!する、するから……!!」
「早くしろ」
鼻を啜り涙を拭うと、震える手でスカートを掴みながら、
「お、願い……しま……、何でもします。憂介を、助けてください……」
噛み締めた唇は切れ、血が流れた。ぎゅっと瞑る目から大粒の涙がこぼれ落ちる。その様子にようやく満足したのか、咬介はベッドに押し倒すと嗜虐心たっぷりに言った。
「フン。及第点だな」
持っていた煙草を強引にベッドの淵に押し付け火を消した。




