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その日、疲れ切った精神の中、夢をみた。
写真の女の人が赤子を抱いてあやしている。夢だからか色はなく、声も篭っておりうまく聞こえない。だが女性は優しく赤子に微笑みかけ、赤子も楽しそうに声を上げて笑っていた。
───幸せな夢だ。私は近寄り、会釈する。すると女性は赤子を見せてくれ、私も覗き込んだ。その赤子は、つぶらな瞳をこちらに向ける。紅く、燃えるような瞳───。
コツン、と扉を叩く音がして目が覚めた。まだ朝陽が登りきっていないような早朝に、誰だろうか。上着を羽織り部屋の鍵を開け、辺りを見渡すも、そこには誰もいない。代わりに、足元に袋が置いてあった。
なんだろう、と中身を確認すると、それは新しいメイド服である黒のワンピースと、真白なエプロンだった。
夕食の折に私が困っていたのを見て、憂介が用意してくれたんだろうか。燃やしてしまって途方に暮れていたものだからありがたい。すると丁度、廊下奥から憂介が歩いてきた。
「おはよう美夜。早いね」
「憂介こそ。もう体調は大丈夫なの?」
「ああ、おかげさまで。心配かけたね」
憂介は私の手にある服に目をやる。
「あ、ありがとうこれ。私の新しい仕事着、用意してくれたのね。助かったわ」
すると憂介は不思議そうに顔を傾け、
「え?僕じゃないよ?」
「ええ、それじゃあ、優二郎様かな───」
ワンピースをよく見ると、驚くほど丈が短い。それに立体的でフリルも付いている。確実に脚を晒してしまうような服だ。
「な……なによこれぇ!破廉恥よ!」
顔を赤くして慌てて袋に戻す。憂介はえー、勿体無い、なんて笑っている。誰が本当にこんなこと……と言ってハッとした。
厳しい優二郎様がこんな服用意するわけないし、だとすると、他にはあの男しかいない。でも、わざわざ私にこんな優しさを向けるだろうか。昨日のやりとりで、ヤツも私に情が湧いた……?
「ちょっとエッチだけど、僕は美夜がこのメイド服着てるところ、見てみたいなぁ」
能天気に笑う憂介に、顔を赤らめて何言ってんの!と叫んだ。ああ、きっとアイツも、私を辱めて笑ってやろうって魂胆なんだろう。
「〜ッ、咬介の奴!!絶対!!こんなの着ないんだからッ!!」
私は怒り心頭に発し、乱暴に袋ごと服を床に落とした。




