2話 チケット
……そんなわけないか。
きっと気のせいだろう。多分、疲れてるんだな。
俺は頭を振って、余計な考えを払拭する。
「よし! 帰ろう!」
俺は帰路についた。
◇◆◇◆◇◆
家に着くと、早速パソコンを起動させる。
やっぱり、気になるものは気になる。
ネットで色々調べてみると、シンデレラガールズに関する情報が山ほど出てきた。
ライブの映像やイベントレポートなどを見ているうちに、ますます興味が湧いてきた。
そして、ある記事が目に留まる。
『シンデレラガールズ新曲発表! 初披露は○月○日!』
初披露か……見に行きたいなぁ。
でも、チケット取れるかなぁ……
「よし、申し込んでみよう!」
早速、チケット販売サイトにアクセスする。
残りわずかだけど、まだ間に合いそうだ!
「これだ! 申し込むぞ!」
ピコーン!
申し込み完了! 結果は後日メールで送られてくるらしい。
「楽しみだなぁ……」
俺は期待に胸を膨らませながら、眠りについた。
翌朝、目が覚めてすぐメールチェックをする。
あった!
開封すると、
【当選】シンデレラガールズ ライブチケット 1枚
「やった! 当たったぞ!」
思わずガッツポーズしてしまう。
こうして、俺はアイドルのライブに行くことになったのである。
続く
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「まさか本当にチケットが当たるとは……」
朝食をとりながら、何度も当選通知を眺める。画面にはキラキラ光るドリームステージのロゴが表示されている。今度のシンデレラガールズの新曲披露ライブ──通称「カーテンコール・フェスティバル」は全国からファンが集まる大規模なものだという。抽選倍率はかなり高かったらしい。
「ああもう……本当に信じられないよな……」
テーブルに突っ伏していると母さんが台所から顔を出す。「仕事遅刻するわよ」と言われ、慌てて支度を始めた。会社に向かう途中、電車の中でSNSを開くと、すでに「#カーテンコールフェス」のタグがトレンド入りしていた。
「みんな盛り上がってるなぁ」
投稿される推しメンのビジュアル予想図やグッズ開封動画に目を通しながらも、俺は落ち着かない気持ちになる。何せ人生初めてのアイドルライブなのだ。行くからには失敗したくない──そんな思いが込み上げてくる。
◇◆◇◆◇◆
仕事が終わると駅前の本屋に立ち寄った。雑誌コーナーで「月刊アイドルマガジン」を手に取る。最新号の表紙には「特集:シンデレラガールズ──新生徒会長を迎えて」という文字があった。
(そういや、新しいメンバーが加入したっていうニュースあったっけ)
ページをめくると、現役高校生アイドル・東條希と新メンバーである絢瀬絵里が並んで座っているグラビアが載っている。清楚な笑顔の絵里さんと、どこか妖艶な魅力を放つ希さん。対照的な二人だけれど、お互いを信頼している様子が伝わってきた。
さらに読み進めていくと、「カーテンコール・フェス」の詳細も掲載されていた。二部構成のライブで、第一部は既存曲中心、第二部は新曲を中心に披露されるらしい。
(ほう……これなら初心者の俺にも楽しめるかも)
雑誌を買い、そのまま近くの大型書店へ足を伸ばす。シンデレラガールズ関連の書籍が棚一面に並ぶコーナーで、ファン向け解説本や歴代PV集のDVDなどを物色する。初めての人でもわかりやすいガイドブックを見つけて購入した。
「よし、これを読んで勉強しよう!」
帰宅後、早速テーブルにガイドブックを広げた。各メンバーのプロフィールやキャッチフレーズ、代表曲などが丁寧にまとめられている。特に驚いたのは「属性」についての記述だ。
(キュート・クール・パッション……それぞれに意味があるんだな)
試しにSNSで「#カーテンコールフェス」の投稿を眺めていると、キュート派と思われる女子高生風アカウントが「今日はパッションで参戦♪」と投稿していたり、クールなイラスト描きさんが「絵里推しとして真剣に応援します」とコメントしていたりと、皆さん熱心だ。
「俺は何属性になるんだろう……」
と自問してみるが答えが出ない。ひとまず当日までは全部覚えようと意気込みつつ、初歩的な知識を詰め込んでいった。
◇◆◇◆◇◆
三日後の夕方、会場となる都内某アリーナ周辺は異様な熱気に包まれていた。駅前には早くもペンライトを構えたファンたちが列をなしており、グッズ売り場からは延々と人々の列が伸びている。
(うおお……すごい人だな……)
恐る恐る列に並びながら、販売所で購入したパンフレットをめくる。全メンバー52人の紹介ページには、あの日出会った矢吹可奈ちゃんも載っていた。
《矢吹可奈/パッション属性/15歳》
【自己PR】
『歌うことなら誰にも負けません!みんなと一緒に、最高のライブにしたいな!』
(あぁ~この子だよね確か……可愛かったなぁ)
彼女のことを思い出しながら、パンフレットを閉じる。ついこの間まで自分とは無縁だと思っていた世界に、こうして足を踏み入れることになるとは思わなかった。




