表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ダラダラ高校生のVRMMOプレイ録  作者: 乙川せつ
前章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

54/65

第54話 双魔天

『さぁさぁ大波乱の今大会、第二試合もさっそくいっちゃいましょう‼』


「簡単に言ってくれるねぇ」


「まあまあ」


 シルヴィア・グランベルクとの戦いは二回戦。つまり、ここで勝つことが最低条件。

 一回戦での負けは、全ての終わり。


『さぁ選手入場! またもや二年生、しかも双子の登場だぁ!』


 覚悟満タン準備完了。


 さあ、やろうか。


「うっし」


 己を鼓舞し、気合いを入れる。

 そのまま魔力を一定量放出し、気休めに敵を威圧。


 まあ、この程度でビビってくれる相手ではないか。


『緒方玲真、緒方優也コンビ! 対するは我らが生徒会長――――――』


 宙に浮くモニターに、その人がいた。


 映っている彼女は黒い髪、そして黄色の眼。この学校の頂点に位置する生徒にして、対軍級魔導士でもある生徒会長――――――。


『水崎百合香‼』


「みんなー、応援よろしくねー!」


 無邪気な子供のような仕草に多くの男子生徒が悶絶している。


 多分、教室でも似たような状況なんだろうな。


「女性を倒すのは気が引けるんだけど……」


「今更引けるような状況でもないだろ。さ、構えろ」


『第二試合――――――開始!』


 速攻。術式発現を確認。


 体内の魔力回路正常動作。血管を通じて血液の循環正常。

 脳を正常に働かせるためには酸素が必要不可欠。魔導士は呼吸を何よりも重要視する。


 イメージするための器官は他にないのだから。


「術式・起動」


 血管、神経、魔力回路。そして身体を構成する全ての組織。

 それらに意識を通し、完全に制御する。


 魔法を発動させるためにはコンディションも重要だ。自分が『これだ!』と思う形に近付け、内側から世界を改変していく。


「自分が変わらなければ、か………」


「兄さん?」


「俺、嫌いなんだよ。この言葉」


 吐露する想いは、どうでもいいちっぽけな話。

 子供みたいな言葉。


「自分を変えられない者に世界を変えるなんて出来ない……ってさ。

 でも、それって違うだろ。自分は、自分じゃないか」


「まったく、今が試合中だってこと忘れてない? ……でも、言いたいことはわかるよ」


 やっぱり、双子だからな。

 見た目は似てなくても、結局想うことは一緒だ。


「変えてしまったら、それは俺じゃ無くなっちまう。俺は俺のまま、世界を変えてやる。――――――これは、その第一歩だ」


『さーさぁ! 水崎選手は氷魔法を使って高速移動している! これは地面を凍らせてその上を滑っているのか⁉』


 ≫マスター、対象が射程圏内に接近中。残り三百M。


「よぉし、撃ちますか」


「あ、一応僕が先に足を止めとくよ。合図したらでお願い」


「………うす」


「じゃ、行ってくる」


 ◇◇◇


 僕は、僕が嫌いだ。

 僕は兄さんのように強くない。強くあれない。


 弱い。弱いままだ。


 あの時も、妹が殺された時も……僕は動けなかった。


 戦えなかった。時が経った今でも後悔が拭えない。


 多分これからもずっと、僕は弱いままだ。


 ――――――でも、兄さんと……母さんだけは、僕が守る。


『おに――ちゃん……わた、し……もう……だめ……だから……おか、さんと……れ、いまお兄ちゃんを……まもって、あげて……おね、がい……わた、しの……最後の、お願い……わがまま……聞いてくれる?』


 僕は、あの言葉に応え続ける。


 答えて、応えて。


「すいませんね会長……ここからは、封鎖させてもらいます」


「あら、緒方君。向かいに来てくれたのね……あらあら……すっごいギラギラした眼……貴方、そんな顔出来たのね」


 兄さんが言っていた。

 学校側にもスパイ、もしくは協力者がいるかもしれないって。

 生徒側の頂点である彼女は、何かを知っているかもしれない。


 情報は、多ければ多いほどいい。


「会長。貴女は、誰の味方ですか?」


「誰……そう。もう知ってるのね―――私達が貴方たち兄弟を売ったこと」


「…………どうしてっ。どうしてだよっ……答えろ、水崎百合香!」


「どうして、ですって? そんなの決まっているでしょう。勝てないからよ」


 そんなことだろうとは、思っていた。


「あんな化け物相手に、どう戦えっていうのよ! ……でも、そうね。本心では貴方たちを見捨てたくない。……だけど」


「もういい」


「緒方君……?」


「もういいと言っているんだ。……ガッカリしたよ、貴女は高潔で、正しさを持っている女性だと想っていた―――でも、貴女より椎名さんの方が何倍も清く美しい!」


「…………そう。そうかもしれない……彼女はいつも真面目で、見捨てることが出来ない子だった……だけど、私はそうは成れない。

 貴方たちを犠牲にして、この学校を守る!」


 どうせ、差し出さなければ学校を破壊するとでも言われたんだろう。

 もしくは生徒を殺すとか。


 ……正直、どうでもいい。


 どうしてだろう。口調が荒くなる。

 兄さんをトレースしているようだ。でも、僕は僕だ。

 

「じゃあ、かかってこい――――氷結の魔導士!」


「ええ、いくわよ。双魔の魔導士!」




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ