第40話 昇華(レベルアップ)
「閃光の鋭斬」
飛ぶ斬撃。ただの風圧とも言えないが、今俺の繰り出せる最高の技だ。
〝火花〟を収斂し、『剣』の魔法で風圧に「斬る」と言う属性を付与。
それを強化した肉体で放ち、『熱の斬撃』へと昇華させた。
猪突猛進の効果はアクションの補正と超強化。それによって、本来出来ない筈の必殺技を放てた。俺にはまだ過ぎた技なのだ。
魔力で構築された剣だからこそ出来た一撃で、ただの鉄剣なら一度の使用で崩壊してしまうだろう。
俺の魔法が近接、特に刀剣に特化していたことも相まって使えた。ほかの魔導士が使えば制御など出来たものではない筈。
「……………………できた」
とは言っても、俺とて半信半疑だったのは事実だ。
いくらAliceが優れた相方とはいえ、いきなり「魔法に聞け」とか言われたら……ねぇ。
「ったく、Alice。少しは説明してくれよな」
≫申し訳ありません、マスター。しかしマスターの成長にはこれが一番だったと考えます。
「成長、か。……ありがとな」
これで、大きな武器を得た。
オーガの肉体は崩壊し、直撃した上半身は消え去っている。
影も形もないとはこのことだ。残った魔石はブラッドが美味しく頂いています。
「そういえば、魔石って何なんだ?」
ゲームみたいって普通に流してたけど、よくよく考えれば謎だ。何故生物の死骸から石がドロップするのだろうか。
≫魔石とはモンスターの死後生成される物質で、残っていた全魔力と生命力が圧縮されたものです。
「へーっ……ってことは、それを食べるブラッドも結構凄い?」
≫個体名:ブラッドは現在、マスターの七倍程の魔力を有しております。その総量は恐らく、地球上最高でしょう。
「………………ま、マジで?」
『ぷぎぃ?』
「自覚はないのね、なるほど」
使役してる側である俺の方が少ないのかよ、それって本当に使役できてる?
……ダイジョブ?
「ま、いっか。……いてて」
逝ったあばら骨が痛む。軋むとかじゃなく、完全に折れたなコレ。
後悔はないが。
≫……………………『レベルアップ』を確認。
「えっ?」
≫全ステータスに強化が入ります。最低値及び最大値が底上げされます。
「はっ?」
≫魔力の最大量上昇、筋力・敏捷の上昇。耐久・技量の上昇……確認完了。
「…………………………何事?」
≫レベルアップです。
「……レベルアップって、あのレベルアップ? ゲームとかで経験値が手に入ったらなるやつ……」
≫そのレベルアップです。
「そう言われても、何も変わった様子はないぞ。強くなった実感なんて皆無だ」
≫レベルアップとは、成長のことです。ゲームのように経験値によって強化されるのではなく、マスターが長い時間をかけてその強さに至ったのです。
長い時間?
俺、戦いだしたの最近だよ?
「長くって、そんな時間……」
≫マスターが生きてきた、17年の時間です。
「……17年……その時間の結果、俺のレベルはいくつなんだ?」
≫――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――…………。
「え、どうした?」
Aliceが珍しく返答に困っている。いったいどうしたのだろうか……。
まさか、物凄く高くて言えないとか⁉
チートか、チートなのか⁉
いったいどれほどの――――――。
≫2です。
「へっ?」
……2?
「つー? つぅ?」
≫はい、2です。
「…………………………うっそだろぉーーーーー⁉」
うそでしょ……マジかよ。ショックだ、凄いショック。
「俺、そんな弱かったのかよぉ……」
≫ち、違います!
「はい?」
泣き崩れそうになる俺を慰めるようにAliceの声が響く。
いいんですよどうせ俺はよわいんですよーだ。
≫レベル1とは人間を表します。故にマスターは、人間を一段階超越したのです。
「…………………………人間を超越⁉」
ついに人外になっちまった!
オーマイガー!
≫神に一歩近付いた、ということです。
「………………オーマイゴッド……」




