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ダラダラ高校生のVRMMOプレイ録  作者: 乙川せつ
前章

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第41話 報酬と選択

「人間以上の何かになっちまった……俺、姿はなにも変わってないんだよな?」


 ≫はい。マスターは相変わらず美しいです。


 髪型は変わって欲しかったかな、あと眼つきとか。


「……って、自分で思うかよ」


 ≫はい?


「なんでもねぇ」


 さて、これからどうしようか。

 

 当初の目標だったダンジョンは攻略した。そしてシルヴィアとの決戦まで少し時間がある。

 あと一週間程度だろうか、それだけの間鍛えればかなり強くなれるとは思うんだが、肝心のボスがいなくなるとなぁ……。


 もう少しゆっくり攻略するべきだったろうか。


「なあAlice、他にいい訓練とか特訓する場所あるか?」


 ≫………クエストを受託しました。


「は? なんだって?」


 依頼?


 それって冒険者みたいなカンジで?


 誰から?


 何故に?


 そんな疑問が頭の中で飛び交うが、無駄だと理解する。

 この場所で常識なんか役に立たない。


「それで?」


 ≫クエストの名前は『エルフの森にて』。森に暮らす妖精族、エルフと交流するのです。


「え……エルフ?」


 エルフって、あのエルフ?


 森の中で暮らし、木と水を愛し、弓と魔法に長けた超長寿種族。ファンタジーの代表キャラにして異世界の顔。


 耳の長い美男美女ばかりが揃い、いつまでもその若さを保つと言われているあの⁉


 指輪の伝承より来たれり妖精が、実在すると⁉


「ふぁンンたじぃいいいいいいいい……ファンタジぃいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい~~~~~~~~っっっ‼」


 ≫………マスター?


「お、おっほん! え、えー。エルフというはいったいどこにいるのかねAlice君」


 ≫エルフは次元に暮らしています。いわゆる異世界ですね。


 お、おぉー。異世界……素晴らしい。マーベラス……マーベラス!


 イッツ、アメイジング!


「世界が異なるというのに、そう気安く行けるものなのか?」


 ふと思い浮かべた当然の疑問。そんな簡単なら、今までの魔導士たちだって別世界を観測しそこに移動できると思うのだが。


 無論、そんな話は聞いたことがない。


 でなければ、魔法の時代である現代にもエルフやドワーフと言った異世界族が暮らしているはずだ。


 ≫可能です。このダンジョンも別次元ですが、移動は出来ているでしょう?

  ここと同じようにゲートを開き、そこに転移するだけです。


「なるほどね……」


 確かに、ここまで現実離れした世界を見せつけられれば納得は出来る。


 というか、自然に流してたけど異世界って本当にあるんだな。マルチバースというやつなのだろうか、複数世界?

 世界がブドウ状に形成されているっていう理論もあったよな。面白いとは思ったけど、まさか自分が似たような事象に直面するとは。


 エルフに関してもそうだ。今まで、そういう種族は妄想の産物だと思っていたが本当に存在すると聞くと少し怖い。

 まあ、そこはダンジョンに関しても同じなのだが。


「その依頼……依頼ってなんだよ」


 ≫この依頼とは、世界の境界線から漏れ出た『願い』の言葉です。故に、その人物がマスターに助けを求めている、ということです。


「なるほどね……それは無視できないな」


 ≫受注しますか?


「ああ、もちろんだ」


 ちゃんと学校ほんぎょうもやらないといけないが、人助けの為だ。仕方ないだろう。


 〖頼む〗


 何故だろう、父の言葉が蘇る。もう二度と会えない、憧れのヒーロー。

 俺が『英雄』に憧れた、一番の理由。


 だが俺はその夢を、その人生を諦めた。


 戦いは嫌いだが競争は嫌いじゃない。そういう曖昧な境界線に、俺は立っている。


 でも、助けを待っている人がいるのなら。『僕』は手を差し伸べたい。



 開かれるのは、真っ白なゲート。


「これが……異世界への門」


 ≫戻るのに時間がかかるかもしれません、よろしいですか?


「ああ、明日は土曜だからな」


 ≫了解しました。


 最悪月曜の朝までなら大丈夫だろ、家族もゲームしてると思うはずだ。

 部屋の中にあるゲートさえ見つからなければ。


「じゃ、いきますか」


 その白い円に触れ、中へと進む。この先には何があるのだろうか。


 希望か。


 絶望か。


 夢か。


 現実か。


 明日か。


 今日か。


「…………………………」


 数秒後、目に光が差し込む。

 外の日光だ。


 そして鼻には、青く柔らかな匂い。木の匂い、水の匂い。


 土の匂い。


「…………ここは……」


 そこは地球では久しく見ない、大自然の広がる森林だった。

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