表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ダラダラ高校生のVRMMOプレイ録  作者: 乙川せつ
前章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

37/65

第37話 俺と僕の英雄譚

「…………」


 勝ちたい、とは思う。


 最悪俺だけ連れていかれるならまだいい。


 だが、それはないだろう。


 魔導士とは家の血が最も深く関わってくる。強さも、密度も。


 だからアメリカは家族を攫おうとするだろうし、彼女もその命令に従うはずだ。


 今のこの状況……真正面から戦えることが、一番いい場面だ。


「つっても、勝てるかな」


 さっきはあんな啖呵を切ったが、俺に勝つ自信はない。


 相手は軍人。


 戦闘のエキスパートだ。片や俺はただの魔導士候補生。

 魔法が殲滅級にランク分けされていても、俺自身はそこまで強くない。


 ……強くならないと。


 ――――――彼女は恐らく、戦場の英雄だ。


「英雄、か」


 かつて、俺が憧れた英雄。


 アニメの中の主人公、小説の中の魔法使い、漫画の中のヒーロー。


 そして、神話の英雄。


 誰であろうと、平等に光を与える希望になりたかった。

 その理由は忘れてしまったが。


 どうしても、なりたいと思った。


 でも、それは打ち砕かれた。


 この世界で英雄になるのは、酷く難しいことだったからだ。


 彼女は人を殺して英雄になった。だが、それは俺がなりたい英雄じゃない。


 彼女は俺が見た、もう一つの可能性だ。


 なら、俺はそれを打ち砕こう。


「Alice、力を貸してくれるか」


 ≫YESマスター。


「ありがとな。……ダンジョンに行こう」


 ≫ゲートを展開します。到着地点は第十階層スタート地点です。


「これで、最後だ」


 ◇◇◇


「…………昔、同級生に言われたことがあるんだ」


 ≫?


「『努力したって天才には勝てないんだ、なら、努力する意味なんてない。ただ負けて傷つくだけなんだ』って」


 ≫……それは。


「分かってる。それが側面的でしかないことは。分かってたんだ、その時も。

 でも……でもさ。ソイツの顔が凄く必死で、認めてもらいたそうで、俺はソイツの言葉を肯定した。

『確かに、努力したって勝てる保証はない』ってさ。でも、その後に否定したよ」


 ≫……。


「努力しなくちゃ、誰にだって負ける……上からだけどね」


 ≫マスター、私は貴方をサポートします。たとえ死ぬときでも、私は貴方の側にいます。それを、お忘れなく。


「ああ、ありがとな」


 そうだ、俺はいつだって一人じゃない。


 頼れる相棒たちがいるんだ。


「ブラッド」


『ぎぃ?』


「お前は俺のこと、助けてくれるか?」


『ぷぎーっ!』


 もう一人の相棒は肯定するように吠え、俺に抱き着いた。


「おっとと、落ち着け。……さんきゅ」



 ……近頃、夢を見る。


 まったく知らない、懐かしく感じる人に会う夢。


 白い髪で、碧い瞳の誰か。


 もちろんそんな人は知らないし、夢から覚めれば風景もあやふやだ。


 ただ、その人だけは忘れられない。


 ずっと記憶の片隅にいて、ふとした時に思い出す。


 彼は誰なんだろう、それをずっと考える。それでも答えが出ることはなかった。


「Alice、ここのモンスターとボスの名前は」


 ≫現在出現しているのはオーク、ゴブリン、コボルトです。最後のボスモンスターは《ジ・エレメンタル・オーガ》。

 五大精霊を操る鬼の魔剣士で、近中で隙のない強さを発揮します。


「エレメンタル……精霊か。魔剣士って言ったな、ソイツ。

 魔力と剣技の混合技……中々勉強になりそうだ」


『キシャシャ』


『ぶぅ』


『がうっ』


 そんなことを考えている中、三匹のモンスターが出現した。


 ゴブリン、オーク、コボルトが一匹ずつ。それぞれが鉄の武器を装備しており、上層のモンスターよりずっと強そうだ。


 だが。


「………ブラッド」


『ぷぎ!』


「――――――喰っていいぞ」


 上の階層のモンスターたちと戦ってきた俺の相棒は、それ以上に強くなった。

 戦った数が違うということだ。


『ぷぎぃいいいいい!!!!』


『シャ……⁉』


 そして、三匹のモンスターは灰となって消えていく。

 あまりの早さに俺も呆れたが、相棒は満足そうだ。ドロップした魔石を美味しそうに食べている。


 どんだけ歯が丈夫なんだ。


「…………さて、行くか」


 最後のボス戦だ。

もしよかったら感想やレビューを頂けると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ