第36話 Wizard war -魔術師の戦い-
「…………正気か?」
――――――ウィザード・ウォー。
それは世界で最も熱い競技。
文字通り魔導士たちが正面からぶつかり合い、勝敗を競う。
魔導士の強さの指標でもあり、模擬戦争ともいうべき魔の戦い。
「俺に、勝つつもりか?」
この学校では一年に一度、希望者だけが参加する大会が開かれる。
一大行事でもあるそれは多くの選手が青春の名のもとに魔法を紡ぐ武の祭典。
《スクール・ウィザード・ウォー》。
「はい、私は貴方に勝つ。
それは決まっていることです。魔法を使った戦いなら、誰にも負けない」
「……俺は、誰にも奪われないぞ」
軍隊の兵士が堂々とターゲットのクラスに潜入してきた以上、学校側は信用できない。
魔導高の教師が敵だというのなら、俺はなりふり構わず戦う。
俺だけのためじゃない。
優也や慎司、沙耶さんたちみんなの為に。……そのためなら。
「俺の魔法、知ってるんだろ」
「………はい。殲滅級の魔法兵器、それが貴方の…魔導士としての正体」
「やっぱり、学校側にもスパイがいるんだな。生徒にはその情報は公開されていない。
お前は、それでも俺に立ち向かうのか。国防級魔導士」
「…………」
Aliceが解析したことで分かった事実。
シルヴィア・グランベルクという人間は、兵器だ。
アメリカ軍の最高戦力。
最強の切り札を投入してくるとは、俺も予想していなかった。
前にも工作員が来たことはあったが、それは暗殺専門の魔導士だったはずだ。
俺は初めて、全開を使うことになるだろう。
「なぁ、シルヴィア」
「何ですか?」
さぁ、覚悟を問おう。
俺の魔法、その制約を外すため。
俺の魔法、その前に立つだけの資格があるのか。
それを確かめるため。
「この世から消える覚悟は、出来ているんだろうな」
「…………」
「それが出来ていないなら、俺の前から消えてくれ」
力を振るうことなく終わるのが一番なんだ。平穏が、一番なんだ。
別に、力を誇示したいわけじゃない。
俺はダラダラ過ごしたいだけなんだ。
「そんなもの、軍人となった時から出来ています」
「…………そうか」
確かに、覚悟もなしに来るわけないか。
俺の魔法を知っているなら尚更。
なら。
「なら、お望み通り正面から戦ってやる。
俺は手加減しないし、負けるつもりもないからな」
俺の覚悟も整った。
お前がそうやって立ち上がるのなら、俺は真正面から、真上から叩き潰そう。
「かかってこい」
そして少女が去り、俺は一人になった。
――――――で。
「はぁ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~っ」
俺は一人で悶絶していた。
「何であんなこと言っちゃったかなぁ、俺。
相手はマジモンの軍人なのにさぁ。カッコつけすぎたよね絶対!」
アニメの見過ぎだと、自分を恥ずかしく思う。
いや、見ることはいいと思う。でもそれを実際にやったら、ねぇ?
「Aliceがいないと何も分からなかったのに、ドヤ顔でさぁ」
≫マスター、決まってましたよ。
「うわぁあああああああ~~~~~~~~~~~~っ!!!!」




