第31話 強者の斬撃
「やっぱりコレだよな」
記憶通りに迷宮を進んでいると鋼の大扉を発見した。
かつてガイアと共に見つけ、その中のボスと戦い……一方的にやられた場所。
仕返しは済んだがな。
「多分ここのボスもゲームと異なるだろうが……まあ、開けてみないと分からないのか?」
Aliceが言うにはグレイコボルト・ダークパラディンって名前らしい。
黒い聖騎士だって?
はっ、矛盾し過ぎてて笑えるな。
かつて聖騎士だった者が闇に堕ち――――みたいなバックボーンでもありそうな名前じゃないか。
「まあ、こんな状況でもなけりゃ話を聞きたいんだが……家に帰りたいんでな、速攻で終わらせよう」
扉に触れると、自動でゆっくりと開いていく。
ほーっ、こりゃ便利だな。
「いくぞブラッド、初めてのボス戦だ」
意気揚々と吠える相棒にそう言いながら、俺も一歩を踏み出す。
今の俺はレベル1……になるのだろうか。
モンスターを一匹も殺していないからな、経験値も入っていないだろう。
俺にレベルという概念があるかも怪しいが。
「術式起動」
――――――術式命令、魔力刀剣展開。
――――――術式命令、身体強化。
「準備完了……さっさと来い!」
『ガゥ!』
『――――――シャァ…………………………』
「『⁉』」
蛇――――――⁉
グレイコボルト・ダークナイトとかじゃないのか!
まさかAliceの罠――――いや、違う⁉
「マジかよ」
蛇の上に跨る大きな犬の巨人。
そいつこそ、闇の聖騎士。
「ダークパラディン………!」
『来たか、強き者よ』
「……………」
喋ったぞコイツ。
やばい一周回って冷静になってきた。落ち着いて、落ち着いて……。
モンスターって喋るのか。
いやブラッドも友愛行動みたいなの見せてたしな。
「驚いてる場合じゃねぇか……! おい、ボス!
俺はお前を倒しに来た―――――冥途の土産で聞いていきな、俺の名は」
こんな状況でも、こんな状況だからこそ。
俺は俺であるのだという証明を。
「緒方玲真だ!」
『オガタ……妙な名だ。異邦か……良い、来るがいい。我と戦え!』
「言われなくても!」
『ぶるるるーーーっ‼』
魔力は充分、そして気合も満タン!
これ以上ないくらいのコンディションを保ってるぜ。
「魔力衝撃波……!」
まずは小手調べだ。
この一撃をどう受けるかで強さも大体わかるだろう。
『……フン!』
「はぁ⁉」
剣で払いやがった。
しかも片手に握った剣で。分かったことはただ一つ、滅茶苦茶強い。
「勝てっかなこれ……」
いや、勝つんだ。
家に帰ろう。
『次はこちらの番だ……ハァ‼』
「……⁉」
剣の風圧を飛ばした⁉
しかも、なんだこの威力――――――吹き飛ばされる!
「ぉおおおーーっ⁉」
『【無塵】』




