第30話 従える者と慕うモノ
「……仲間になりたいだぁ⁉」
んなドラ〇エじゃないんだから……って、なんと古いタイトルを出してるんだ俺は。
他にもあるでしょうがモンスターキャッチャーとかプレミアムハンターとか。
……いや、ドラ〇エの方が素晴らしいな。
「ってそんなことはどうでもいいだろ俺……」
問題は、レッドボアが……モンスターがテイム出来るって事。
「……ここはNFと同じダンジョンじゃないのか?
あのゲームのシステムにはモンスターが仲間になるなんてもの無かったはずだけど……まあ、現実とゲームを一緒に考えたらダメか」
普通の使い方と逆な気がするけどまあいい。
「……仲間に……」
『……ぎぃ』
「うぐっ」
なんて純粋な眼でこっちを見てくるんだ!
さっきまで殺そうとしてきてたよね君⁉ もう少し躊躇とかさ!
……言葉分かるのかなコイツ。
「あー、俺の仲間になりたい……んだよな?」
『ギぃ!』
「通じてる……な。どうすっかなぁこれ」
≫ユニークスキル:《従える者》を獲得しました。
配下とした者の能力を借り受けることが可能になります。自由に召喚することも可能です。
「召喚……力を借り受けるだって?
感覚共有に近いものなのかな……無属性魔法を応用すれば出来ないこともなさそうだけど……って今はこっちか」
……ええい、なるようになるさ!
「YES!」
≫レッドボアが配下となりました。スキル:超嗅覚、スキル:猪突猛進を獲得しました。
レッドボアに名前を付けますか?
「……YES」
名前か。
ペットなんて飼ったこともなかったからな、名付けなんて分からん。
適当……はダメだよな。
何かいい名前は……そうだ。
「【ブラッド】……お前の名前はブラッドだ」
『ガゥ!』
≫個体名:ブラッドを登録しました。召喚条件を達成しました。
「わ、ちょ、おっと……」
いきなり抱き着かれて体勢を崩してしまった。
まあ、こういうのも良いよな。
「つーか、さっきから頭に流れてくるこの言葉は何だ?
声でもないし……直接文字が理解させられてるみたいだ……」
≫黙秘
「はぁ?」
≫黙秘
「……じゃあ、ここはどこだ?」
≫カルディア迷宮第一層。地球ではありません
「地球ではない……? じゃあやっぱり別次元の空間なのか」
魔法を超えた現象――――俺はどうしてここに呼ばれたのだろう。
路地裏に呼ばれた時と今聞こえる言葉は違う気がする。
「じゃあ……アンタのことは何て呼べばいい?」
≫……………………
「また黙秘かよ?」
≫……………………
「はあ、じゃあこっちで勝手に呼ばせてもら」
≫【Alice】
「………アリス?」
そう聞くとあの……ゲーム友達のアリスを思い出す。
だが絶対に関係ないと言える。
あのアリスはこんな無機質な会話はしないし、何より結構ありきたりな名前だからな。
何かの要因で被ることもあるだろ。
「……じゃあAlice……さん?
俺はここで何をすればいい? どうすれば家に帰れる?」
≫第一層ボス、《グレイコボルト・ダークナイト》を倒すことで帰還ゲートが開かれます。
まずは探索してステータスを上げてください。
「グレイコボルト…ダークパラディンだって? アークナイトでも、パラディンでもなく?」
少しゲームとは違うんだな。
ああ、そういえばブラッドみたいなモンスターも見たことが無いか。
「一層も普通はコボルトとかゴブリンが湧く筈だしな……少しどころじゃないかも」
道順とかはゲームと同じなんだよな……ボス部屋はもう少し先か。
まったく、魔法が当たり前の世界で魔法以上の未知に出会うとは。




