第3話 クエスト!
「オーク七体の討伐……いいねぇ、それ受けます!」
「分かりました。それではオークの肉を回収して来て下さい、それで成功を判断いたします」
「おっしゃ! じゃあ行きますか!」
……とは言っても。
「どっちだ~門は?」
チュートリアルの光がないのでまったく分からん。メニューにマップは無い……訳ではない。
ただ、一度歩いたことがある場所しか表示されないらしい。それってダンジョンで使う形式じゃないのかなぁ……。
見たことがない場所を地図もなしに歩くことは難しい、それは現実と変わらない。
「ぁ……」
「…………あれ?」
今、誰かとぶつかった気がしたんだけど――――――。
……気のせいか。
「お、あったあった」
「兄ちゃん冒険者か? 頑張れよ!」
「おっす!」
なんて優しい門番さんなんだ……NPC相手にジーンときたぜ。
さあ、行こうか。壮大な冒険の始まりだぜ!
「…………」
オークって、どこにいるんでしょうか。
「見た感じ兎やらが跳ねる草原なんだよなぁ……お、怪しい森みっけ」
門から少し離れたところにある薄暗い森。《魔酔いの森》……メチャクチャ怪しい地名じゃないか。
こりゃ当たりだなと、息を殺しながら森に侵入する。
「確かにこれは迷いの森だな、方向感覚が狂う感覚がある………来た方向を覚えておかないと」
ま、マップに記録されてるから大丈夫か。
……ガサッ。
「⁉……いきなりお出ましか、オーク!」
定番の人豚モンスター。イメージ通りの姿だが、血濡れた棍棒が気になる。
(先に誰かを殺したのか……? 表現リアル過ぎるだろ)
このゲーム、ニューワールド・ファンタズムのキャッチコピーは『この世界に偽物なんて存在しない』
――――そのままの意味で、リアリティを追及しているらしい。
ベータテスト版の評判も中々良かったようで、軒並み高評価だった。
皆口をそろえて、『現実みたい』と書いていたよ。
「――――――フーっ……」
呼吸を整え、剣を構える。自由度の高いゲームだから、双剣でも片方だけで装備できる。ホントに現実で動いてるような感覚、そして緊張感。
「…………はっ」
アサシンの名に恥じない静かな闇討ち。モンスター相手にはやってもいいだろう。
「あら、倒せてないのか」
『グファ……』
流石に敏捷特化のステータスでは致命一撃で殺せないのか……。なら、倒れるまでやるのみだな。
「うらぁァ‼」
心臓に一突き。……これでも死なないか。
設定上、モンスター―――魔物は、この世界での悪役。人間を蹂躙した魔王が生み出したという魔族の子孫であり常人では勝てない存在。
だから《プレイヤー》や稀に生まれる強者《NPC》以外はモンスターを極度に恐れるらしい。あの門番の兄ちゃんもかなりのエリートのようだ。
「だから、レベル一じゃ結構苦戦するのな……」
(思考を深めろ……――よし、決まった)
「せいッ!」
『グボ⁉』
その豊かな腹部を蹴飛ばして――――――。
「そんなゆっくりな動きじゃ俺は殺れないぜ! クソ豚がよォ‼」
ヘイト――――怒りゲージが相当溜まったようだ。モーションパターンが変化したな。荒々しい獣らしい動き。
「単調だなぁ、これじゃあエ〇デのチュートリアルの方がムズイぞ!」
オークよ、お前は俺の糧となる。
「ハーッハッハッ‼ ゲーム楽しィ‼」
行くぜ、エ〇デ長牙秘伝……――回転斬り!
「終わりじゃァ‼」
回転斬りから繋げて、インベントリに入ってる双剣のもう一方を装備。そして回転の勢いのまま――――――。
『グボァアアアアアアアアアアアア‼』
「うっし、致命確認」
臨場感凄かったなぁ。雑魚なのに中ボスぐらい緊張したよ。
「おっ」
≫スキル《ヴォーパル》、スキル《スピニング》を習得しました。
「……なるほどねぇ」
そういうことか。




