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ダラダラ高校生のVRMMOプレイ録  作者: 乙川せつ
前章

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第2話 ログイン

 謎の天才ゲームクリエイター、流川大智の所属するゲーム会社【リンクス】が開発したVRMMO、《ニューワールド・ファンタズム》。


 冒険者となり異世界を探索するというありきたりなジャンルだが、その没入感からもう一つの現実として没頭するプレイヤーも多い。


 そしてもう一人、その世界にダイブする男が。


「お~、これが《クロノス》……まさか抽選に当たるとは思ってなかった」


 自身の部屋でそのヘルメットを抱える少年、緒方玲真。

 高校二年生の一般人。生まれつきのツンツン髪でヤンキーと間違われ、喧嘩を売られるような少年である。

 先行予約は即完売だったが、すぐ後の抽選販売で《クロノス》をゲット出来たということからも運の良さもあるのだろう。


「確か、もう昨日からサービス開始してたんだよな」


(そんじゃ、試してみますか)


「ゲート・オープン」


その合言葉とともに、玲真の意識は電脳世界へと落ちていく。


 ◇◇◇


 俺は気が付くと、真っ白な空間にいた。そこは最初のアカウント作成。メールアドレス、パスワードなどを入力し、次へ。

ゲームをするときによく使うキャラクターネーム《MAO》を入力し、そのままアバター作成へと移行。


「…………結構いじれるのか」


 いつもやっていたパソコンのゲームでもそこまで外見にこだわっていたわけではないが、いざ自分がその身体で動くとなると……。


「かっこよくしよう」


 そう考えるのは当然だ。黒髪黒目は外せないし、身長も同じくらいで、ただ髪質は普通にしとこう。

 俺……というより《MAO》はかなり細い肉体となった。

 最後にジョブ設定――――――。


「……うーん。剣士も良さそうだけど、器用貧乏みたいになりそうだな……あれ?」


 一つ、気になったことがある。

 このゲームのステータスパラメータが直線なのだ。よくある五角形や六角形などではなく、一本の線。


 筋力or敏捷の選択肢しかないそのパラメータ。これはどういうことなのか?


「あっ、注意書き……」


 そこには『プレイスタイルによって隠しパラメータが成長』と書いてある。


「……なるほどなぁ」


恐らく、こういうことだろう。筋力の中に耐久や腕力、脚力がある。敏捷の中に速度、技量、頭脳がある。

 こんな具合に、敵を盾で守りながら倒したら耐久が上がり、弱点を的確に潰したら技量か頭脳が上がるのだ……と思う。


「内訳はなし……なら敏捷特化の《暗殺者アサシン》にしてみるか。筋力も普通に成長できるみたいだし」


 ただしプレイヤーキラーになるつもりはないのであしからず。


「よし、こんなものか」


 決定ボタンを押し、再度落ちていく感覚が発生する。


「…………おっ」


 自分が立っていたそこは、昨日開かれたばかりの新世界。《アースリア》だ。


「……すっげ、ホントに自分の身体みたいだ」


手をグッ、パと握ったりしても、普段感じるそれと変わらない。現在は西暦二〇四五年の夏。


 二〇年前では考えられない程に技術は進歩しているのだ。このハード、《クロノス》だって容量は二ペタぐらいはあるからな。

 ホントに凄いもんだよ、科学ってやつは。何だか感傷に浸りながらも街を探索していると、チュートリアルが始まった。『冒険者となりましょう!』。


「先ずはギルドを見つけないと……あっ、道案内あるのな」


 目線の先の道筋に一筋の光が奔る。どうやらこれを辿っていけば目的地に着くらしい。現実もこんなに便利ならいいのになぁ。

 VRと比べてARはそれほど進歩していないし、装着型なんて未だ実験段階だ。


「色んな人がいるなぁ……」


 武器屋で真剣に装備を睨む人、ネット世界でもナンパをする人、装備を固め外に行こうとしている人など多種多様だ。


 世界観が違うというか、本当に異世界って感じがするぜここは。


「あった……でも何か……思ってたのと違わねぇ⁉」


 道案内が切れていたのは間違いなくそこ。だが、そこに建っていたのはボロボロの木造建築などではなく――――――大理石で出来た神殿だった!


「えぇ……ホントにここで合ってんのか? バグじゃねぇよな……」


「何か御用でしょうか」


 神殿の職員―――NPCが話しかけてくる。普通逆な気がするが、これもAIの発達なのだ。


「ここで冒険者の登録が出来るんすか?」


「はい、可能です。ご案内しますよ」


「あ、どうも……」


 NPCに敬語って……でも礼儀は大事だよね。


 案内されたのは神殿の奥で、そこには女神の像と机があった。机の上には紙とペン。


「こちらの女神様に祈りを捧げて下さい、それで儀式は完了です」


「あ、はい……?」


 祈りって言われても……取り敢えず手を合わせとくか。


「おろ?」


 眼を開くと眼前に水色のボードが現れていた。それがこのゲームのメニュー画面。


「衣装選択と武器選択ね……じゃあこの《漆黒の羽衣》と《ボロボロのズボン》をセットして……」


 これに関しては完全に趣味だ。自分でも若干中二病だとは認識しているが、どうしてもこれだけは譲れない。

 そして最も大事な初期装備。


《傭兵の長剣》、《漆の弓》、《シルバーワイヤー》……中々パッとしないな。


「お、これ良いじゃん」


《鋼の双剣》。文字通り二刀流専用の装備。スピード特化のこのステータスじゃ手数が欲しいからな……あとで筋力もある程度まで上げとくか。


「よし、こんなもんか」


 完了。そのボタンを押すとメニューが消え、職員が話始める。


「これで完了です。貴方に女神のご加護が在らんことを」


 今のどこに登録があったのかとツッコミたかったが、野暮という奴なのでやめておこう。……この後はどうすればいいのだろうか。

 チュートリアルはこれで完了ということで、後は自由らしい。せめて戦闘までは教えてほしかったが。


「あの、自分でも受けられる依頼ってありますか?」


 冒険者はイメージ通り、市民や国からの依頼で動く下請け業者といった様子。それでも教団という大きなバックがあるらしく、不便なことはなさそうだ。


「はい。貴方はたった今登録したばかりですので、限られてはいますが……そのまえにランクについて説明しておきましょう」


 はいはい、いつものS、A、B、C、D、E、Fね……と思っていたが。


「下からB、A、T、K、EXという格付けになっております」


「…………えっ⁉」


 なんと、良くわからない順番になっていました。

 説明によればビギナー、エース、トップ、キング、エクストラ……らしい。


「キングは現在の最高ランクで一国に一人いればいいほどです。そしてエクストラは現在不在で、これは最強を冠する冒険者が獲得する称号となっております」


「な、なるほど」


「ビギナーで可能な依頼は、こちらになりますね」


 メニューで表示されたのは『オークを七体討伐せよ!』。


「…………いいねぇ」


――――――――――――ニヤリ、と微笑む。


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