第18話 最高の報酬
「助太刀します!」
「…………助かる!」
スノーホワイトさんの援護によって僅かな隙が出来た。
よし、今だ!
「俺が道を作る、スノーホワイトさんは撃ち漏らしを頼みます!」
「了解です!」
「うぉおおおおおお――――っ!!!!」
右手の剣でソニックリードを放つ。僅かな重みを感じながらも、そのまま振り切る。
弧の軌道にいた蜂たちは斬り伏せた。
『キィイ!!』
「せあっ!」
お願いした通りに彼女が守ってくれる。このまま道を作って突っ切る!
◇◇◇
「…………はぁ、はぁ、はあっ……」
「ふぅ、ふぅー……」
何とかあの場を切り抜けた俺たちは、森の外で休息を取った。
「いやー、助かりました。ありがとうございます」
「あの時みたいな口調でいいですよ。私もマオさんって呼ぶので」
「あ、そう? じゃあ……スノーホワイトさんってのも長いので、ホワイトさん。
ホワイトさんはなんであんなところにいたんだ?
レベル上げ?」
「たぶん理由は一緒だと思いますよ……コレです」
「あっ……!」
彼女がインベントリが実体化したのは、紫の花―――【ミズシノレンゲ】だった。
つまり、ホワイトさんもあの依頼を受注していたということなのだろう。
「実は私、三本しか手に入っていないんです……」
「あの依頼は四本必要だから……すまん、完全に俺のせいだな」
「いえいえ、大丈夫ですよ。最悪もう一度戻るので」
「…………あれ、待てよ?」
「どうかしました?」
俺は記憶を呼び戻し、もう一本余分に採取していたことを思い出す。
急いでオブジェクト化し、それを差し出した。
「え、これ……」
「俺、五本回収してたんだ。これはお礼だから受け取ってくれないか?」
「…………それじゃあ、ありがたく受け取っておきます」
これで依頼の条件はクリアした筈だ。
あとはあの少女の元に戻るだけ――――――。
「折角だ、一緒に行こう」
「はいっ!」
◇◇◇
「ほれ、花2セットだ」
「これでいいかな?」
「あっ、ありがとうございます!」
「これでお母さん、助けてあげろよ?」
「はい!」
走り去る少女の背中を見守り、インベントリに入った報酬を確認。
《白き心の遠い石》
「なんだこれ……ただの石?」
「私も貰ってますね……こっちは赤い石ですけど」
報酬が違うのか?
何でだろ。
「効果は……――――――ぁ?」
「どうしたんですか?」
『筋力・敏捷を十秒間だけブースト。ボーナス一・八%。使用制限:発動後24時間使用不可』
「なんだこれ……強化アイテム?
しかもこれは……かなり良いぞ! そっちはどう⁉」
「えっと……回復ですね。自分と味方に十秒間の回復バフがかかる……こっちは完全にパーティ向けです」
俺のは個人を対象とした完全ソロ用アイテム……。
なるほど、プレイヤーのデータから必要な報酬を割り出したってことか。
「これはいいな。使用回数に制限があるみたいだけど……それでも充分強ェ!」
「私もこれでクランのみんなに貢献できます!
それに今日のボス戦だって……!」
「あれっ、ボス戦今日なんだ?」
「はい……えっ、マオさん来ないんですか⁉」
「うん」
「そ、そうなんですか……―――今日、頑張って勝ちますから!」
「そっか。……楽しんできな!」
「はいっ、ゲームは精一杯!」
緊張はしてないみたいだな。
このゲームは通常の2Ⅾグラフィックとは違う臨場感がある。それ故、恐怖で動けなくなるプレイヤーも多いらしい。
でも、この人は大丈夫みたいだ。
「あっ、そうだ……マオさん、私の家に来ませんか?」
「へっ?」
「料理、ご馳走しますよ!」
俺は彼女のプレイヤーハウスへと案内され、お邪魔することになった。
リアルでも女子の家に入ったことないのに⁉
「どうぞ! 少し狭いかもしれませんが」
「いやいやいやいや」
どこが狭いんだこれ。ムッチャクチャ広いじゃないか。
え、豪邸?
しかもカルディアじゃなくて隣の《エルディム》だし。
ここって立地が良い代わりにお値段が高い筈じゃ……。
「俺も結構稼いでるはずなんだがな……」
リアルでもお金には困らないんだが、ホワイトさんの口振りからして……。
「リアルで超リッチな生活してるのかぁ」
「あっ、リビングで待っておいてください。すぐに料理持って来ますので!」
時刻は丁度正午。
確かにお腹が空いてきたな……ありがたくゴチになろう。




