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第13話 熊五郎、新しい食材で料理を作る

第13話 熊五郎、新しい食材で料理を作る


翌朝。


まだ町が静かな時間。


「……よし」


熊五郎は、魚屋の店主の家で目を覚ました。


昨日までの疲れなど、まるで残っていない。


熊五郎は台所へ向かった。


「朝飯を作るか」


鍋を用意し、魚屋の店主からもらった魚を取り出す。


野菜を切り、火を入れる。


しばらくすると、家の中に香ばしい匂いが広がった。


「……いい匂い」


実咲が眠そうな顔で起きてきた。


「おはよう……」


「おはよう」


「もう朝ご飯作ってるの?」


「ああ」


「熊五郎って、朝から元気だよね」


「飯を作るのに元気は必要だ」


「そういう意味じゃないんだけど……」


実咲が椅子に座る。


そこへ魚屋の店主も起きてきた。


「おはよう」


「おはようございます」


「もう朝飯か?」


「ああ」


熊五郎が料理を並べる。


「食え」


「いただきます」


三人で朝食を食べる。


魚屋の店主が一口食べる。


「うまいな」


「当然だ」


「朝から自信満々だな」


実咲が笑う。


「でも、本当においしい」


「そうだろう」


熊五郎は満足そうに頷いた。


朝食を終えると、熊五郎は立ち上がった。


「そろそろ食堂へ行く」


「私も行く」


「今日も掃除を頼む」


「分かってるよ」


二人が出かけようとした、そのときだった。


「おーい!」


外から声が聞こえてきた。


魚屋の店主が扉を開ける。


「おう、来たか!」


そこには、荷車を引いた男が立っていた。


荷車には、いくつもの箱が積まれている。


「これ、頼まれていた食材だ」


「肉か?」


「そうだ」


魚屋の店主が熊五郎を見る。


「昨日話していた肉だ」


熊五郎の目が輝く。


「肉……」


実咲がその顔を見て笑う。


「熊五郎、嬉しそう」


「料理の幅が広がる」


熊五郎は荷車へ近づいた。


箱を開ける。


肉が入っている。


「これなら、いろいろ作れる」


「魚だけじゃなく肉も使えるようになったな」


魚屋の店主が言う。


「野菜もあるぞ」


別の箱には、新鮮な野菜が入っていた。


「これも使ってくれ」


「助かる」


熊五郎は食材を一つずつ確認していく。


「これなら今日の料理が作れる」


実咲は呆れた。


「朝ご飯を食べたばかりなのに、もう料理のこと考えてる……」


「料理人だからな」


「それ、便利な言葉だね」


魚屋の店主が笑う。


「じゃあ、食材は食堂まで運ぶぞ」


「ああ」


熊五郎も荷物を持つ。


実咲も小さな箱を抱えた。


「重い……」


「無理するな」


「大丈夫!」


三人は食材を食堂へ運び始めた。


---


食堂に着くと、熊五郎はすぐに厨房へ向かった。


魚。


肉。


野菜。


昨日までとは比べものにならないほど、食材が揃っている。


「熊五郎」


「何だ?」


「今日は何を作るの?」


熊五郎は少し考えた。


「魚料理だけじゃない」


肉を手に取る。


「今日は肉料理も出す」


「お客さん、喜びそう!」


「ああ」


熊五郎は包丁を手に取った。


「新しい料理を作る」


実咲は店内の掃除を始めた。


熊五郎は仕込みを始める。


肉を切る。


野菜を切る。


魚を下ごしらえする。


そして――。


厨房から、次々と違う香りが漂い始めた。


「……いい匂い」


実咲が思わず手を止める。


「昼前なのにお腹空いてきた」


「味見するか?」


「する!」


「少し待て」


「やった!」


熊五郎は新しい料理を一皿作った。


実咲が一口食べる。


「……おいしい!」


「そうだろう」


「これ、今日のお客さんに出したら絶対喜ぶよ」


「そうだな」


熊五郎は満足そうに頷いた。


そして――。


店の外から、声が聞こえてきた。


「もう開いてるのか?」


「いい匂いがするぞ」


「昨日食べたけど、今日も来た!」


実咲が驚いて入口を見る。


「熊五郎……」


「何だ?」


「まだ開店時間じゃないのに、お客さん来てるよ!」


熊五郎は厨房から外を見る。


そこには、すでに何人もの人が集まり始めていた。


熊五郎は少しだけ笑った。


「なら、急いで準備するぞ」


「はい!」


新しい食材。


新しい料理。


そして――。


さらに増えていく客。


『まずは飯だ』の食堂は、少しずつ町の名物になり始めていた。

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