3.それはつまりパフェのせい
暇を持て余しすぎているしいねちゃんと刻都くん。
公園&カフェにて。
無自覚天然の域を超えているしいねちゃんは今日もほのぼの。
放課後、みんなが部活に励んでいる頃。
部活に入っていない私と刻都くんは、帰り道にある公園のブランコに乗っています。
「「……」」
おそらくふたり思っていることは同じなのでしょう。
「……暇だな」
「暇ですね……」
家に帰っても対してやることがないのも同じようで、特別なにかをするわけでもなくただブランコに座っている、この時間。
これは贅沢な時間の使い方なのか、はたまた時間を無駄にしているだけなのでしょうか……。
ちょっとだけブランコを漕いでみたり。
「それにしても、本当にやることがないですね」
「だな」
「……どうします?とりあえず公園一周でもしてみます?」
「なんでそうなる」
うーん、あまりにもやることが無さ過ぎます。皆無です、なんにもありません。
公園一周するにもこの公園は狭すぎますし。
かと言っていい歳した高校生ふたりが公園で遊ぶのもなかなか気が引けるような……。
「……今ならお前が考えてることわかるぞ」
「う」
刻都くんにはやはりバレバレなようですね……。
なぜいつもバレてしまうのでしょう?私の思考回路を読み取れる特技でも持っているのでしょうか?
そんなことは置いておいて、ふと頭に浮かんだ案を口に出してみます。
「そうですね……なら、ずっと公園に居ても暇なのは変わらないですし。せっかくですので、近くのカフェに行きませんか?新しく出来たお店がありまして、行ってみたかったんですよ」
「へぇ……まあそうだな、確かにここにいても結局やることは無いし」
「そうと決まればれっつごーです!」
「やっぱり雪解ってよくわからないよな……」
「?」
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「ここですっ」
「へえ、『フルーツポット』って言うのか」
「はい!ここのお店は名前の通りフルーツをたくさん使っていて評判になっているそうですよ」
「ふーん」
お店に入ると、なにやら可愛らしい内装です。
ギンガムチェックの飾りが垂れていたりと、なかなかおしゃれなお店なようです。
「雪解は何を頼むんだ?」
「私はメロンのパフェにします!刻都くんは?」
「いちごパフェ」
「いいですね!」
テーブルへと連れて行かれ向かい合って座り、それぞれ好きなパフェを注文すると、数分のうちにもう頼んだものが届きました。
「すごいですっ、まるで宝石みたいにきらきらしてます……!」
「だな。これぞフルーツ、って感じがする」
「「いただきます」」
パフェをスプーンですくい、
ぱくっ。
ひとくち食べてみると、クリームとメロンが絶妙に溶け合って、とてもいいバランスを作り出しています。
これは、リピート案件かもしれません……!
「ん〜、おいしい……!」
「なかなかちょうどいいフルーツとクリームのバランスを生み出してるな」
そう言った刻都くんはいつものようにクールな表情を装って……いるかのように思えましたが。
(な、なんか子犬がしっぽを振っているみたいに嬉しそうですね……?!)
きらきらと輝かせた瞳でいちごのパフェを食べる刻都くん。
もしかしなくても…甘党男子なのでしょうか?
そういうところを見ていると、やっぱり刻都くんはかっこいいというより可愛いな気がしてきます。
かっこいいことには変わりないのですが。
こんなにも可愛らしい一面を持っている刻都くんなのに、なぜ周りの人からはクールだと言われるのでしょうか?
私は反対にこんな感じのぽわぽわした刻都くんの方がよく知っている気がします。
「そうだ、良ければ私のパフェとひとくちずつ交換していただけませんか?」
「ん?まあいいけど。スプーン貰うか……」
「……え?」
「……は?」
「そこは、そのままのスプーンであーんというものではないのですか?」
「は?!」
……?私が何かやらかしてしまったのでしょうか。
刻都くんは頬を赤く染めています。
うーん、私が初めて読んだ小説には「あーん」というものが良いと書いてあったのですが……。
そんなことを考えている私の前で慌てふためいている刻都くん。
そんなに焦ることなのでしょうか……?
まあ、でもやってみれば良いことですよね。
メロンをのせたパフェをすくい、刻都くんの前へ突き出す。
「はい、あーん」
「はぁ?!雪解、本気でやるつもりなのかよ!?」
「あー、ほらほら、溶けてこぼれてしまいますよ?」
「……っ、うっ」
ぱく。
お、やっと食べてくれました。
それにしても、なぜそんなに恥ずかしそうなのでしょう?顔を手で隠しています。
「お前……それ、他の人にはやるなよ?」
「?なぜですか?」
「……とにかくやるな」
「はーい」
うーん、なぜかやるなと言われてしまいました。
まあ、でも刻都くんがやるなと言っているのですから、次からは刻都くんだけにやるようにしましょうか。
つまり刻都くんにはやっていいということですものね?
「……うん、あらぬ誤解を招いた気しかしない」
「?大丈夫ですよ、刻都くんだけにしかやらないようにしますよ?」
「まじかよ……」
次は机に突っ伏しています。
やっぱり刻都くんは思っていたよりも表情がころころと変わるようです。そんな刻都くんはやはり可愛いです。
……ん?
うーん、ちょっと不思議な気持ちです。
よくわからないのですが。
今度は手に持っているスプーンで刻都くんのパフェを少しすくい、食べてみます。
「うん、いちごも甘酸っぱくておいしいですね!……あれ、刻都くん?」
「……雪解……いいのかよそれは女子としてさ……」
ううん?ちょっと恥ずかしそうにしながらも困惑や呆れの表情が混ざってよくわからない感情になっているみたいです。
「早く食べないとおいしくなくなってしまいますよ〜?」
それにしても、いちご、おいしい。
第3話 (終)




