2.世の中は不公平だ
僕の名前は、ハル・ベル。
名前まで弱そうな、18歳だ。
茶色の髪に、薄茶色の瞳。
身長は伸びなかった。160cm。
身長を伸ばしたくて、牛の乳がいいと聞けば頑張って飲んだ。
結果、腹を下したのでやめた。
顔は普通。平均、つまり、平凡。そこは気に入っている。
目立っていいことなんて、ないからだ。
しかし、この世の中は、不公平だ。
僕は、生まれた時からそう理解している。
なぜなら、神様に忠告されたから。
僕の魂は、ほんの欠片しかないらしい。
だから、気をつけなさい、と。
……気をつけなさいと言われても。
何に?
正解は、全てに。
体は虚弱、メンタルは豆腐。近頃になって、ようやく「鈍感力」というものを身につけるに至った。
さらに運もない。もう、どうしようもない。
生まれた家も貧乏で、家族にも恵まれなかった。
まったく。
この世は不公平だ。
そんな僕は、応用力はないが記憶力はあり、勉強だけはできた。生まれる前の記憶を残されたことと、何か関係があるのかもしれない。
唯一、神様に感謝できることかもしれない。
その特技を活かして勉強を頑張り、奨学金をもらい、少しでもいい職に就けるように、とにかく頑張った。
虚弱だから運動はできない。多少、学校を休みがちにもなったが、それでも、なんとか食らいついた。
テストの点数だけは、僕を裏切らなかった。
そして、今。
僕は城の文官採用試験、その真っ只中にいる。
この会場まで来るのも、大変だった。
ちなみに、先程述べたように、僕は運にも見放されている。
本日、城に来るまでの出来事。
乗り合い馬車が事故に遭い、道に迷ったご高齢の婦人に出会う。そして、産気づいた妊婦に遭遇した時には、さすがに神を呪った。
なぜか、僕が通る道には、こんなイベントが起こる。
そんなこんなで、なんとか城に辿り着いた。
かなり早めに出発しておいて正解だった。
危機管理、やはり大事。
さて。
まずは筆記試験と小論文。
これは、それなりに自信がある。
問題は、その後。
最後の面接だ。
メンタル最弱の僕は案の定、緊張で固まった。
手は冷たい。心臓は、バクバクだ。
大丈夫。
筆記はできた。
小論文も、たぶん大丈夫。
「28番。入れ」
やたらいい声で呼ばれた。
あとは、質問に答えるだけ。
そう自分に言い聞かせながら、面接室の扉を開けた。
そして、そこで僕は、僕の運命に出会った。




