1.世界の理と忠告
球体。
欠けることのない、完璧な形。
神様の魂は、まんまるの球体。
なぜなら、神様は完璧だから。
神様が世界を創った時、人は神様を模して創られた。
ただ、魂まで神様と同じまんまるだと、神様だらけになってしまう。
困った神様は、出来上がった魂をふたつに割ることにした。
元々ひとつだった魂をふたつに分け、二人の人間とした。
元々ひとつの魂から分かれた人間は、自然と引き合ってしまう。
女も男も関係なく。年齢も関係なく。
そのため、この世界には「魂の番」という概念がある。
そして、もうひとつ。
神様が魂を割る時、綺麗にふたつに、均等に割れない。
神様は、意外と不器用なのだ。
魂は、力の源でもある。
大きく割れた魂と、小さく割れた魂。形や大きさは色々。どんな魂を持って生まれるかで、生まれた後の生命力や運などにも影響が出る。
大きく割れた魂を持つ者は強く、
小さく割れた魂を持つ者は弱くなってしまう。
いろいろな意味で。
この世の中は不公平だ。
それは、生まれる前から決まっている。
ある時。
神様が魂を割る際、うっかりくしゃみをした。
その瞬間、魂が割れた。
いまだかつてないほどの、ひどい割れ方だった。
よく見積もって、9:1。
厳しいジャッジをするなら、9.5:0.5。
ここに、いまだかつてないほど不公平な魂を持つ者が誕生した。
神様も焦った。
さすがに、これはない。
ないと思う。
ちょっとこの子、かわいそうかも。
救済策が必要かもしれない。
そう考えた神様は、少しだけ考えた。
神様の世界での記憶は、人間の世界へ持っていくことができない。でも、このかわいそうな魂には、ここでの記憶を少し残してやろう。
この、ちょっぴりのかわいそうな魂に、神様は直々に忠告をした。
そして、その記憶を残した。
君は、かなりいろいろな意味で虚弱だから、気をつけなさい。
そうして、その魂は神様の忠告を胸に、人間の世界に生まれた。
その、あんまり役に立たない忠告の記憶を持って。




