第2513話、わたくし、メイドさんの分身の術こそ、魔法世界最強のチートスキルだと断言しますの☆
──まさに今、とある異世界において、人類と魔族との、『最終決戦』が行われようとしていた。
古の言い伝えによると、先の『人魔大戦』において、やっとのことで封印させることを成し遂げた『魔王』が、もうじき復活すると言うのだ。
そのせいも有って、ここ百年ほど鳴りを潜めていた魔族や魔物たちが、突然活気づいて、人間の生存領域を侵害し始めて、それに対して人類側も、正規の軍隊を始めとして、魔術師や冒険者や傭兵等々を繰り出して、総力戦の様相を呈していたが、どうにも旗色が悪かった。
──なぜなら、『魔王の復活』とほぼ同時に、唯一対抗する力を有する、『聖女』が現れるはずだったのだが、その兆候がまったく見られなかったのだ。
人類の切り札であり『最後の希望』であった、聖女の降臨が絶望的になったことで、人類側の士気はまったく上がらず、もはや魔王の復活を待つまでも無く、魔族や魔物の大群に蹂躙されるのみかと思われた、まさにその時、
──『救世主』が、現れたのだ。
その名も、『オールワークスメイド』。
メイド業に関することなら、何でもできると言う、ある意味『万能の魔術師』であった。
……もしかしたら、『メイド業』なんかで、屈強なる魔族や魔物に対抗できるものなのか?──などと、疑問を持たれたであろうか?
だったら、心配御無用。
それと言うもの、彼女の得意技の一つに、『分身の術』が有るのだ。
何せ、貴族等の上流階級の豪邸において、すべての業務を任されている、文字通りの『オールワークスメイド』には、無数の仕事を『自分同士で分担して行う』ためにも、『分身の術』は必須だからね!
……『分身の術』などと言う、いかにもありきたりのスキルが、本当に魔族や魔物に通用するのか、不安に思っている方もおられるかも知れないが、その点はまったく問題無かった。
実は人類側の有力な勢力として、メイドさんが所属しているのとは別の国家において、『きみが死ぬまで恋○したい』と呼ばれている、少年少女たちを『使い捨ての魔導兵器』として『特攻』させる、非人道的な部隊が存在しているのだが、
そこでは、兵士の四肢が欠損しても、ペアとなっている兵士が『キスをすれば』、失われた腕や脚が『再生』すると言う、とんでもない『百合やBL設定』が取り入れられていたのだッ!
……同性のキス一つで、欠損部分を再生できるなんて、『兵器』としては非常に有効なスキルであり、この絶望的な戦況において、どんどんと少年や少女たちを使い潰していきながらも、どうにか戦線を維持できていたのだ。
──ここで、ようく考えて欲しい。
『きみが死ぬまで恋○したい』アニメ版第2話において、欠損した主人公の左腕を、同僚の少女のキスで再生させただけでも、全視聴者びっくり仰天のトンデモ展開だったのである。
……それを踏まえれば、たとえ広大なお屋敷を一気に掃除するためとはいえ、『人間を丸ごと、それも何十人も、無から生み出す』ことができるなんて、もはや『神様レベル』の、超最強チートスキルと言っても過言では無いだろうッ!!!
事実、『オールワークスメイド』が参戦してからは、魔族や魔物たちの侵攻を押しとどめることを成し遂げ、戦線が膠着状態となったのだ。
それも、そのはずである。
実は『オールワークスメイド』の個々の『分身体』こそは、『戦闘』に使えば、人間どころか魔族や魔物を大きく凌駕する、真に理想的な『生物兵器』たる、
──『不死の兵士』なのである。
なぜならこの世界と同様に、なぜだか当然のように『レプリカ』と呼ばれる分身体が存在している、『レプ○カだって、恋をする。』と言う異《別の》世界においては、人類と魔王がお互いの生存を賭けての死闘を繰り広げたりはしておらず、単なる『学園恋愛ラノベ』の世界観でありながら、
・『レプリカ』と言う分身体は、本体が生きている限りは、たとえ電車に轢かれようとも、一度は消滅してしまうものの、何度でも五体満足で復活できて、
・しかもその『消滅』と『復活』に関しては、本体の気の向くままに、何度だって繰り返すことが可能なのだ。
……これって、絶対に『戦闘向き』であり、何で『学園恋愛ラノベ』なんかで遊ばせているのか理解に苦しむところだが、とにかくこの世界の『オールワークスメイド』であれば、個々の無数の分身体を一度に繰り出せるし、もちろん個々の分身たちはレプリカ同様に自動修復スキルを有しているので、まさしく最強かつ最凶の『不死身の軍団』を実現できるのだ。
……とはいえ、こんな文字通りの超『反則技』を、どんなに万能であろうが、『一個人』が為し得るのは無理が有ると考えるのは、非常に妥当なことであろう。
特に、いくらでも無数の分身体を生み出し、しかもそれぞれに無限の自己修復スキルを付与するなんて、どんなに魔力が有ろうと事足りるはずが無いと思われた。
それほど『オールワークスメイド』なる者は、莫大な魔力を有しているのか?
……もしかして彼女こそが、『聖女』や『魔王』の生まれ変わりだったりするんじゃ無いのか?
実はまさにその通りであり、彼女こそが当代の『聖女』として、まさしく『魔王』並みの膨大な魔力を有して生を受けたのであったが、前世の『現代日本人』である頃からの、『真に理想的なメイドさんになりたい♡』と言う夢を叶えるために、『聖女』としての役目を完全に放棄して、ただひたすら『メイド道』に邁進していたのであったッ!
……だがそれでも、数えきれないほどの魔族や魔物を相手にして、自分の無数の分身体だけで拮抗状態を維持するなんて、本来ならいくら魔力が有っても足りるわけが無いだろう。
──そうなのである、実は彼女は分身体を『生み出している』のでは無く、『召喚』していたのだ!
……何なら、別にバトル物では無い『レプ○カだって、恋をする。』にしたって、原作者様がとち狂ったのか、何の脈絡も無く唐突に、「実はレプリカは、こことは別の階層──人呼んで『レプリカの国』に存在しているのだッ!」などと(メルヘンそのまんまなことを)言い出すくらいなのだから、分身スキルとは実は『召喚術』をベースにしているかも知れないのだッ!
──ここではあえて、『レプ○カだって、恋をする。』や『ヒロイン?聖女?いいえ、オールワ○クスメイドです(誇)!』では無く、『杖と剣のウィスト○ア』のスピンアウト小説である、『土○姫君』を全面的に参考にすることにしよう。
……非常にお恥ずかしい限りですが、当連載においては既にこの作品を、徹底的に検証し尽くした気になっておりましたが、今更になって根本的な勘違いをしていることに気づいたのです!
本作の作者は、『土○姫君』であるコレ○ト=ロワール嬢が、文字通り『土魔術』の使い手だから、その辺の土や石や岩を変形させて、『ゴーレム』等を構築して、それを戦闘等に使用していたと思ったのですが、まったく違ったのです!
実は彼女こそは、『異界の門を開けることができる』と言う、いわゆる『召喚術』を使用可能な、現在の魔法世界ににおいてもほとんど存在していない、『チート中のチートスキル』の持ち主だったのです!
他に作中で確認されているのは、例の『首なし』氏だけであり、『破滅○書』の連中が、多数のモンスターを使役し放題なのは、彼が希少な『召喚術士』だったからなのだ!
──更にコレ○ト嬢が凄いのが、彼女が召喚できるのは、何と作品の舞台である、『魔法世界』そのものだったのです!
つまり彼女が召喚していたのは、『岩石でできたゴーレム』とか言ったレベルでは無く、あくまでも抽象的な『魔法の世界』が召喚されて、術者の『土属性』に合わせて、『岩石でできたゴーレム』の姿を借りていたに過ぎないのです。
よって、作品の舞台である『魔法の世界』が存在している限り、彼女自身の魔力量に関係無く、無限に『ゴーレム』を召喚できるし、その個々のゴーレムだってただのゴーレムではあるわけが無く、その究極の召喚物が、『界○巨兵』と呼ばれているのも、『魔法の世界が変化したゴーレムみたいなバケモノ』だから、『界○巨兵』と呼ばれているだけなのだッ!
ここまで来れば、原作者様の大○藤ノ先生が、「実は作中で最強なのはコレ○トちゃんです☆」とおっしゃったのも、頷けようと言うものだ。
何せ作品の世界そのものを、『武器』として使用できるのだから、『至高○五杖』や『天上の侵略者』であろうと、太刀打ちできないであろう。
──それはもちろん、同レベルの『分身スキル=召喚術』を有する、『オールワークスメイド』も、同様であった。
……だが、このまま無数の不死身のメイド軍団によって、人類側が勝利するかと思われたのだが、そうは問屋が卸さなかったのだ。
突然訪れた、『最悪の事態』。
──ついに魔王が覚醒し、人類の前に、その巨大な姿を現したのだ。
いくら無数に増殖可能で自己再生能力を有するメイド軍団といえども、それを上回るスピードで、踏み潰されて焼き尽くされて消し飛ばされてしまえば、数はどんどん減るばかりであり、損傷の修復も間に合わなくなっていったのだ。
よってついに『最後の手段』に打って出る、『オールワークスメイド』嬢であった!
「──全分身体、合体! 出でよ、『界の巨メイ』!」
彼女の裂帛の怒号とともに現れたのは、雲を衝くような『巨大なメイドさん』であったのだ!
それはまさしく、この『魔法世界』そのものの具現であったッ!
『──グオオオオオオオオオオオオオ!!!』
魔族の長としてのプライドを賭けて、自分よりも一回りも大きいメイドさんへと、果敢に挑んでいく魔王様!
しかし『オールワークスメイド』は、『平穏な日常生活を損なう者を排除すること』も重要な業務の一つだったので、難なく魔王を打ち倒すのであった、めでたしめでたし♡
…………いや、元々『魔王退治スキル』自体が、『聖女』としての当然の権能だっただけの話では無いだろうか?
(※次回の解説編に続きます)




