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第2499話、わたくし、真に理想的な『分身』スキルは、『レプリカ』では無く『スペア』だと思いますの☆

「──きゃああああああああああああああああ!!!」




 心臓に向かって投擲された大振りのナイフが命中して、絶叫を挙げる年端もいかない少女。




 その瞬間、


 ──何とその場にいた、彼女そっくりの無数の少女たちが、糸の切れた操り人形であるかのようにして、地面へと崩れ落ちていったのであった。




「──おお、やったか⁉」


「今度こそ、『本体オリジナル』を、仕留めたようだ!」


「その証拠に、あいつの『複製体レプリカ』が、機能停止しやがった!」


「いや、まだ油断するな! もう四、五発ぐらい、銃弾をぶち込んでおけ!」


「ああ、こいつの分身スキルには、散々煮え湯を飲まされてきたしな」


「文字通りに『死体撃ち(オーバーキル)』になっても構わないから、念には念を入れておくか!」




 よほど恨み骨髄に徹しているのか、それとも恐怖を感じる程に脅威だったのか、十代半ばの幼い少女の死体に向かって、主に頭部を中心に面相がわからなくなるまで、大口径の拳銃の弾をぶち込んでいく、迷彩服姿の男ども。


 もうこれで大丈夫だろうと、ホッと一息ついた、


 ──まさに、その刹那であった。




「──うがッ⁉」


「──ぐはッ⁉」


「──おごッ⁉」




 いつの間に忍び寄っていたのか、あちこちに頼れ伏していたはずの、少女の『複製体レプリカ』たちが、男どもの背後からその頸動脈を、鋭いナイフでかっ切ったのであった。




「──くそっ、こいつら『本体オリジナル』を倒したから、活動停止したんじゃ無かったのか⁉」


「──ここに倒れている『本体オリジナル』は、実は『複製体レプリカ』の一つで、死んだ振りをしているだけとか?」


「──事の真偽はどうでもいいから、撃て! 撃て! 撃ちまくれ!」


「──駄目だ! 元々『魔法要素』によって創造されている『複製体レプリカ』は、いくら肉体が損傷しても、たちまちのうちに自己修復しやがる!」


「やっぱり、『本体オリジナル』を倒さないと意味が無いぞ⁉」


「ここに倒れているのが、『本体オリジナル』では無いとすると、本物はどこにいるんだ⁉」


「──探せ! 早くしないと、俺たちのほうが全滅してしまうぞ!」







「……いいえ、そこに倒れているのは間違いなく、本物オリジナルの『私』よ。──よって、今あなたたちを襲っている『私たち』は全員、不死身の魔法生物『ショゴス』によってできているのだから、いくら銃で撃ってもナイフで斬りつけても、致命傷を負うことは無く、後はただ、あなたたちを一匹残らずブチ殺してしまうだけなの」







 多数の少女たちのうち、直接戦闘に加わらずに、あたかも『司令塔』のごとく後方に控えている一体が、とてもほとんど感情と言うものを示さなかった『分身体レプリカ』とは思えない程、明瞭に語りかけてきた。




「──あいつが、『本体オリジナル』か⁉」


「──文字通り『でくの坊』に過ぎない、戦闘用の『分身体レプリカ』が、あんなに知性的にしゃべれるわけが無い!」


「──撃て! 撃ちまくれ!」


 たちまちのうちに集中砲火を浴びて、文字通り『蜂の巣』となる少女。


 しかし──


「「「──なッ⁉」」」


 驚愕のあまり瞠目する、傭兵たち。




 ──何と、あたかも動画を逆再生するかのように、少女の身体がみるみるうちに、自己修復していったのであった。




「……と、言うことは」


「おまえも『分身体レプリカ』なのか⁉」


「──だったら、『本体オリジナル』はどこにいるんだ⁉」




「どこも何も、そこに倒れているじゃ無いの? ──あなたたちに蜂の巣にされて」




 自称『ショゴスの分身体』の少女の言葉に振り向けば、確かにそこには先程同様、蜂の巣になった幼い肢体(死体)が横たわっていた。




「──それなら、おまえたち『分身体レプリカ』を統制しているのは、一体誰なんだ⁉」


「──自我がほとんど無く、『本体オリジナル』の意思のもとに行動している『分身体レプリカ』が、『本体オリジナル』無しで攻撃行動を続行しているのは、おかしいだろうが⁉」


「──むしろ、それだけはっきりと自我を持っているおまえこそが、やはり『本体オリジナル』なんじゃ無いのか⁉」




「いえいえ、私は間違いなく『分身体レプリカ』よ。──少なくとも、この『肉体』はね」




「「「はあ?」」」




「こういった『分身』スキルを戦闘に活用する場合の『お約束』として、『本体オリジナルを倒せば分身体レプリカを一網打尽にできる』ってのがパターンだよね? だったら、せっかく『不死身の肉体』が腐る程有るんだから、脆弱な『本体オリジナル』の肉体なんか捨てて、自分自身も『分身体レプリカ』になるべきとは思わない?」




「「「──ええっ⁉ そんなことができるんですかあ⁉」」」




「できるわよ、むしろ『分身体レプリカ創造』なんて言う、文字通りの『人体錬成』そのまんまの『神様レベル』のことをやってのけておいて、何で『本体オリジナル』と『分身体レプリカ』を入れ換えることができないと思うのよ?」




「「「……具体的には、どのような手順を踏むわけですか?」」」




「そりゃあ、本作の作者お得意の、『集合的無意識とのアクセス方式』に決まっているでしょ?」




「「「──結局、それかよ⁉」」」




「……いや、そもそもあんたら、私がどうやって、こんだけの数の『分身体レプリカ』を創って、更に的確に『操作』していると思っているのよ?」




「「「え」」」




「まず、集合的無意識とアクセスして、『形態情報の書き換え』スキルを発動して、周囲の大気を構成している量子を『重ね合わせ状態』にすることで、『不定形暗黒生物ショゴス=魔法要素マナ』に変化メタモルフォーゼさせて、そこに私自身の『形態情報』を集合的無意識からインストールすることで、無数の『分身体レプリカ』を創造したわけ」




「「「う、うん、この連載を読んでいると、毎度お馴染みのパターンですよね」」」




「つまり、『分身体レプリカ』を創造した時点で、『本体オリジナル』と『分身体レプリカ』は、『集合的無意識』を介して、(いわゆる『Fa○e』シリーズのマスターとサーヴァントのように)『魔術回路が繋がって』いるような状態にあるわけなので、その『パス』を通じて『本体オリジナル』が指令を出して、無数の『分身体レプリカ』を意のままに操っているの」




「「「ああ、なるほど、何かそんなものだとスルーしていた、『本体オリジナルによる分身体レプリカのコントロール』って、量子論や集合的無意識論に則れば、論理的に説明できるんだ⁉」」」







「だったらいっそのこと、集合的無意識から、『本体オリジナル』のすべての『記憶と知識』──いわゆる『人格情報』を、『分身体レプリカ』のうちの一つにインストールすれば、『本体オリジナル』がそっくりそのまま、『もう一人』出来上がるって寸法なの」







「「「──なッ⁉」」」







「形態情報のみならず人格情報も『本体オリジナル』とまったく同一なんだから、それはもう『本物の私』と言っても差し支えなく、しかもその肉体は、『変幻自在なショゴス』でできているので、どんなに損傷しようがたちまちのうちに『自己修復』できるのだから、『不死身の肉体』を手に入れることができたってわけなのよ」




「「「『本物が二人になる』なんて、そんな馬鹿な⁉」」」




「いわゆる『パソコンのデータ移行』のようなものと思ってちょうだい。普通、古いモデルから最新のモデルに移行するから、あくまでも『別のパソコン』と見なすけど、もしもまったく同じモデル間で移行した場合、ハードもOSもデータもまったく同じだとすると、そのパソコンを区別する必要なんて有るかしら?」




「「「う、うん、少なくともその時点においては、『まったく同じパソコン』と言っても、おかしくはありませんよね⁉」」」




「現在の『私』だって、そうなの。確かにこの肉体は、元々『分身体レプリカ』と言う『つくりもの』だけど、『本体オリジナル』そのまんまに創られており、しかもそこに『本体オリジナル』の記憶と知識をすべてインストールしたのだから、もはや『本人』以外の何物でも無いでしょう」




「「「そ、そうか! 『分身体レプリカ』を、今回のような戦闘のための『兵隊』とか、日常的な『下僕オールワークスメイド』とかに限らず、自分自身の『スペア』として活用するのも『アリ』なんだ!」」」







「そうなのよ、前期春アニメの総まとめとして、あんなに『分身』について詳細に検証したと言うのに、こう言う重要な使い方が有るなんて、完全に失念していたの。──このことに気がつくことができたのは、今期夏アニメにおいて早速、『分身体』を使うアニメが有ったからで、やはり何事においても自己満足すること無く、常に新しい刺激を受けて、更に精進していくべきであることを、痛感した次第でございますわ☆」

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