↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
2496/2548

第2496話、わたくし、夫婦を『企業』と見なせば『同姓』は当然だし、女性のほうが経済力が有るのなら、『女性の姓』に統一すればいいだけの話ですの☆

「──シン・ニッポンとインドラ帝国の、友好条約締結、バンザーイ!」


「──バイオガス開発計画決定、バンザーイ‼」




「「「──『インドラ太平洋共栄圏』結成、バンザーイ!!!」」」




 ここは南アジア最大の経済大国インドラ帝国の首都、ネオドリー。


 今まさに、シン・ニッポンとインドラ帝国の、政財界を代表するお歴々が一堂に会し、歴史的な懇親会が催されていた。


 中でもインドラ側の衆目を集めていたのは、今年シン・ニッポンの社交界にデビューしたばかりの、可憐なる一人の少女であった。


 すずりすず


 インドラ市場を独占する勢いで席巻している、シン・ニッポンの自動車メーカー『スズリ』の御令嬢にして、次期社長とも目されている、若き才媛である。


 そんな彼女を、この広大なるパーティ会場にひしめいている、インドラの有力者たちが、放っておくわけが無かった。


「──鈴香さん、相変わらず、お美しい!」


「ハーバード大学の論文、読みましたよ!」


「まだ十代半ばだと言うのに、大したものだ」


「実務の面においても、既に会長であられるお祖父様の補佐をやられているとか?」


「シン・ニッポンを代表する財界のトップから、直接帝王学を学べるなんて、うらやましい!」


 口々に賞賛を浴びる、いまだ年若い女の子。


 しかし彼女はにこやかな笑みを絶やすこと無く、海千山千の大国の政財界人に対して、微塵も気後れせずに、鈴の音のような涼やかな言葉を返した。




「過分なるお言葉、痛み入ります。私自身はまだまだ若輩者ゆえ、皆様のご指導ご鞭撻を賜りたく存じます。──何よりも、今このように皆様と、友誼の機会をいただけたのも、我が祖父はもちろん、我が国の元首であられる、鷹一紗耶香首相の、インドラ帝国とシン・ニッポンを股にかけた大偉業のお陰であり、私なぞはそのおこぼれに与っているだけでございます」




「──ああ、鷹一首相であられますか!」


「あちらで、我らがキャンディ首相と懇談中ですが、ホント、大したものです!」


「今回の『バイオガス協定』締結によって、両国の協力関係と経済交流が大幅に発展するのは、言うまでも無く」


「特に我が国における、農村部の困窮の解消にも繋がると言う、いいこと尽くめ」


「しかも地球環境の保全にさえ、大いに貢献できるのも、秀逸ですぞ!」


「──鈴香さんは、同じ女性として、首相のことを、どうお思いで?」




「そうですね、もはや女性であるかどうか以前に、歴史的な名政治家であられると思います。現在国内においては、例のごとく能無し野党やエセ市民団体どもから、どうでもいいことで批判を浴びて、国会運営にも支障をきたしていると言う、惨憺たる有り様でありながら、実はこうしてシン・ニッポンの経済界や国民の生活を、大幅に向上させるとともに、貴国との友好関係を確かなものにして、シン・ニッポンやインドラを始めとする、台湾やフィリピンやベトナムやマレーシアや、極東ロシアすらも含む、一大経済共栄圏を樹立すると言う、大偉業を達成なされていたなんて、心から感服する次第であります」




「──まさにそれこそが、シン・ニッポンと我がインドラ帝国を中心とした、『インドラ太平洋共栄圏ですな!」


「構成国全体における、経済的安保にして、軍事的安保でもあると言う!」


「アジア広しといえども、我らが『シン・グレートイーストエイジア共栄圏』に太刀打ちできる勢力なぞ、どこにもおりますまい!」


「しかも、シン・ニッポン、インドラ帝国共に、国家元首が女性であられる時に樹立するなんて、運命的なものを感じますなあ!」


「これを契機に、共栄圏内の諸国においては、女性の地位がますます向上するのでは?」


「その点は、現在のシン・ニッポンの財界を代表する女性の一人として、鈴香嬢はどうお考えで?」


「……『どう』、とは?」




「──例えば、貴国においてのみ、いまだに夫婦は結婚した後『同じ姓』を名乗ることを定めとしていて、多くの女性は生まれついての姓を捨てることを余儀なくされており、国連においても『女性差別的な制度』だと指摘し、抜本的是正を──つまり、『夫婦別姓』制度の導入を、勧告しております。この点に関して、貴国において最も進歩的な女性と謳われているあなた御自身は、どうお考えなのでしょうか?」




 突然、あまりにもセンシティブなことを問われて、一瞬だけ表情を消し、言葉に詰まる少女。


 だが、そんなことは目の錯覚でもあったかのようにして、微塵もよどみなく、


 ──思わぬ言葉を、言い放つ。







「……私、夫婦を始め家族とは、『企業』のようなものと思っておりますの」







「「「は?」」」







「凄くわかりやすい例を挙げれば、実は私の祖父は『入り婿』であり、結婚する前の姓は『すずり』ではございませんでした。しかし彼は、我が国を代表する自動車メーカー『スズリ』に入社してから、一心不乱に働き続け、数々の功績を挙げ、それを認められて社主の硯本家に迎え入れられたわけですけど、先程日本の夫婦の姓の決め方が『男女差別的』だと申されましたが、祖父は『硯』姓を名乗ることを強いられた際に、『女の姓なんか名乗れるか⁉』などと、怒り狂ったり、恥じ入ったりしたりしてでしょうか? ──否! 彼は愛する会社の経営者一族に迎え入れられて、その『屋号』を名乗られるようになったことを、この上なく『名誉』と思い、狂喜したことでしょう! そして『硯』を名乗り始めてからの彼は、その名誉と喜びこそを原動力として、社内においてますます業績を挙げ、社長や会長を歴任し権力を握ってからも、その地位に甘んじること無く、卓越した『先見の明』によって、貴国の市場の開拓こそが、我が社を始めとする我が国全体の経済発展の新たなる礎となることを見据えて、当時は『勝ち目の無いギャンブル』とさえ言われたインドラ市場進出を全社を挙げて敢行し、我が国と貴国の経済的発展に大いに貢献し、今や誰もが祖父こそを、『ミスタースズリ』と賞賛する次第であります」







「「「そ、それって⁉」」」







「そうです、彼は本来『硯の人間』ではありませんでした。彼と同世代の人々からすれば、あくまでも『外様』であり『婿養子』として、いわれ無き扱いを受け、辛酸をなめたことも有ったでしょう。──しかし、我が父からすれば、実の父であり、この私からすれば、実の祖父なのです。言うまでも無く、私も父も生まれながらに『硯』であり、直系の経営者一族です。そんな私たちから見て、実の父や祖父である彼は、『外様』ですか? 『婿養子』ですか? ──いいえ、違います! もはや彼こそが『スズリ』であり、我が国を代表する自動車メーカーの『顔』なのです!」







「「「──ええ、そうです! その通りでございます!!!」」」







「私が何を言いたいか、わかりますか? 夫婦を『企業』と見なせば、『夫婦同姓』こそが当たり前で、『男女差別』であるなんて、まったくの見当違いなのですよ! 構成員が同じ『屋号』のもとで、真に一体になってこそ、企業は真に発展していくのであり、経済的に発展すればする程、より多くの人々が、同じ企業の構成員となり、同じ『屋号』を名乗ろうと集まってくるのです。そんな魅力的な『屋号』を名乗るのが嫌だなんて言う愚かな社員なぞ、少なくとも『スズリ』の中にはただの一人もおりません。──夫婦だって同じです。女性のほうが経済力が有り、リーダーシップが有るのなら、我が祖父同様に、すべての男性は喜んで妻の姓を名乗り、それを名誉とすら思い、自分自身偉大なる妻の姓を名乗るにふさわしい人物になろうと努力していき、子孫たちからは、まるで生まれた時から妻の姓を名乗っていたかのように、『一族の誇り』として、永遠に讃えられることにもなるでしょう! だから、家族の一体感を醸成することにおいて、もっとも理想的な『夫婦同姓』と言う制度のもとで、女性差別的な風潮を解消したいと言うのなら、妻になる女性自身や、その御両親等の御家族が、経済的かつ権力的に、夫となる男性自身や、その一族よりも、大きく上回ればいいだけの話なのですよ。──これこそが、あらゆる意味においてもっとも正しい、『男女平等の考え方』だと思いますが、いかがでしょうか?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。