第2486話、わたくし、『土○姫君』のウ○ルは、コレ○トだけの『愛のゴーレム』になってしまったと思いますの♡
「──いやあああああああああああ! ウ○ルううううううう!!!」
大雨の魔法都市リガ○デンの、既に瓦礫の山と化した中心部にて、少女の絶叫が響き渡る。
彼女の視線の先には、無数の巨大な人型モンスターに囲まれて倒れ伏す、一人の少年の姿があった。
「──ふんっ、さすがの『魔剣《ウィ○ス》』も形無しだな」
『何せ、今回投入した「人造魔物」は、これまでの「対魔術師」では無く、「対魔剣」として特化した、「ウ○ル=セルフォルト」を倒すためだけに、天上○侵略者の遺伝子とダンジョンの深層のモンスターの遺伝子をかけ合わせて生み出した、文字通り「最強かつ最凶の生体兵器」なのだからな』
そのように親切にも状況説明してくれるのは、毎度お馴染みの『破滅○書』所属の、チンピラ男と首無し男の悪役コンビであった。
具体的に言うと、既にアニメ版においても公開された情報だが、実はウ○ルはいまだ『魔剣《ウィ○ス》』としての力を、十分に使いこなせていなかったのだ。
特に、外部の魔力をリアルタイムに剣に取り込み、『魔剣《ウィ○ス》』を発動する、いわゆる『装塡』の場合はともかく、自分が過去に体験した魔法を剣に装塡する、いわゆる『想塡』の場合は、当然自分の身の内に秘めている魔力だけが頼りとなるが、それを十分に引き出すには、今愛用している剣に埋め込まれている特殊な『魔石』の補助が必要なのであり、その繋がりを新造した人造魔物の『ジャミング魔法』で寸断されれば、一気にパワーダウンしてしまうのだ。
──しかも、である。
この『ジャミング魔法』は、その性質上、ウ○ルと集合無意識とのアクセスすらも妨害して、『魔剣《ウィ○ス》』としての各種魔法の発動それ自体を、少なからず弱体化してしまえるのだ。
まさにウ○ルを狙い撃ちにしたような『特効魔法』であって、彼が『魔剣《ウィ○ス》』としての力を十全に振るえないまま、数で押してくる『人造魔物』たちにフルボッコされてしまうのも、無理も無い話であった。
『──くくくくく、これで我々の作戦における、最大の「障壁」を除去できたぞ』
「……そっちの、『土の娘』はどうする?」
『そんな雑魚、放っておけ。──それよりも、今度こそ「塔」の「至高○五杖」どもを、一人残らず葬り去るのだ!』
「おう! 魔法世界にあぐらをかいていた権威主義者どもに、目に物見せてやろうぜ!」
そう言って余裕綽々に、その場を後にしようとした、悪漢二人組であったが──
「……くす、くすくすくす、うふ、うふふふふふ、あは、あははははははは!!!」
突然その場に鳴り響く、少女の哄笑。
何とそれは、現在絶賛絶望感に打ちひしがれているはずの、コレ○ト嬢の唇から発せられたものであった。
「な、何だ、いきなり⁉」
『とうとう、狂ったか?』
「私が雑魚ですって? 最大の障害のウ○ルを倒したですって? 後は『至高○五杖』を倒すのみですって? ちゃんちゃらおかしいわ! あなたたちがやったことは、自ら『パンドラの箱』を開けたようなものなのよ!」
「『何だと⁉』」
「──『集合的無意識』とアクセス! 『ロワール』の全魔力を解放!」
「──うおッ⁉」
『な、何だ、地震か⁉』
少女が謎の呪文を唱えるとともに、突如大地を揺るがす大振動に見舞われる、リガ○デンの中心地。
それに合わせて、無数の瓦礫や岩石や土くれに埋もれていく、コレ○トの矮躯。
そしてその後で、その場にそそり立ったのは──
「な、何だ、あの巨大な土人形は⁉」
『ま、まさか、「界○巨兵」⁉』
そうなのである、
岩石や土や砂でできた巨体に、その胸部にはにこれまでのロワールの女当主たちの魂を宿した黄水晶のコアに、その真下には自分自身も身体の大部分が岩石と一体化した、コレ○トの姿が有ったのだ。
それはまさしく、人類が『天上○侵略者』の脅威に対抗するために生み出して、五百年もの年月を重ねて完成させた、人型決戦兵器『界○巨兵』であった。
「な、なぜだ⁉ 『界○巨兵』はいまだ人類の手に負えず、厳重に封印されていたはず!」
『しかもその発動には、成人を迎えた「ロワールの女」の魔力が必要なのに! おまえはどう見ても、いまだ未熟な娘では無いか⁉』
「……あなたたちだけでは無く、私にとっても残念ながら、私の魔力はロワールきっての強大なもので、既に五年前に『界○巨兵』を覚醒させていたの。──もっともこれは、『最高機密中の最高機密』なので、あなたたちには知る由も無かったでしょうけどね」
「『最高機密』だと? 一度発動した『界○巨兵』を、どうやって抑えつけたと言うんだ⁉」
『それに、なぜこのタイミングで都合良く、「界○巨兵」を再稼働させて、おまえが自由にコントロールすることができているのだ⁉』
「それはむしろ、あなたたちのお陰なのよ♫」
「『……何だと?』」
「さっきも言ったように、成人を迎える前に『界○巨兵』を目覚めさせたのは、私の『土○姫君』としての魔力がとてつもなく膨大だったせいだけど、それを『魔剣《ウィ○ス》=魔力貯蔵庫』であるウ○ルが、自分の身の内に吸収してくれていたの。だから私の魔力(の放出)は抑えられて、『界○巨兵』も眠り続けることになったのだけど、今回あなたたちがウ○ルを無力化したために、私の身の内からあふれ出る潤沢な魔力が供給されることになって、当然のごとく『界○巨兵』が覚醒したってわけ」
「『──うッ』」
「その結果本来なら、私の『土○姫君』としての力は暴走して、『界○巨兵』を制御できずに、自らも取り込まれて『コア』の一部となるところだったけど、あれから五年間、ウ○ルに魔力を吸い取られつつも、自分自身でも魔力をコントロールできるようになっていき、今では『土○姫君』としての力を十全に行使できるようになっているので、当然『界○巨兵』も完璧にコントロールできているわけなのよ」
「『──ううッ』」
「つまりあなたたちがやったことは、自分で自分の首を絞めたようなものなの。……まあまさか、『主人公こそがヒロインの真の力を抑えつけている呪縛』だったなんてことが、外野の皆さんなんかに見抜けるわけが無かったんですけどねwww」
「『──うううッ』」
「では早速、『天上○侵略者』と『ダンジョン深層のモンスター』との、出来損ないで醜悪なる『キメラ』の殲滅をいたしましょうかねえ☆」
そう言うや否や、すぐ近くにいたクリーチャーの一体を、豪腕でもってあっさりと殴り潰す、『界○巨兵』と一体化したコレ○ト嬢。
──その後に展開したのは、一方的な『殺戮ショウ』であった。
それも、そのはずである。
『界○巨兵』こそは、来たる『最終決戦』に向けて、『天上○侵略者』の主力部隊を殲滅するために、人類の魔術と科学技術の粋を集めて生み出し、しかもその後五百年間もかけて育成してきた、文字通りの『最終決戦兵器』なのだ。
そんじょそこらの『悪の組織』がでっち上げた、『天上○侵略者』の劣化コピーごときが、相手になるはずが無かったのだ。
「く、くそっ、結局今回も、作戦失敗かよ⁉」
『……仕方ない、ここはいったん退こう!』
「ハッ、この私があんたら悪党を、みすみす逃がすとでも? ──『剣』よ」
「──はっ、『我が主』」
「『………………………………へ?』」
何とその時、悪党コンビの前途に立ちはだかったのは、瀕死の重傷で再起不能と思われていた、ウ○ル少年であったのだ。
「──どう言うことだ⁉ すべてのアクセス権は遮断されているはずだから、『魔剣《ウィ○ス》』としての『自己再生能力』も使えないはずだぞ⁉」
『そもそも先程までの激戦のために、とっくに魔力切れを起こしているはずなのにッ!』
「あら、私の話をちゃんと聞いていたのかしら? 彼はこの五年間、私の魔力を吸収し続けていたのよ? ──それって、他にも似たような『存在』がいるとは思わない? 例えば、今あなたたちの目の前にとかねw」
「『……界の、巨兵』」
「そう、ウ○ルはとっくに、身の内の『魔法要素オド』を、『土の魔法要素』に塗り替えられていたの。『土の一族の魔法要素』と言えば、当然『土』よねえ? つまり私たち『ロワール』にとっては、この大地こそが、すべての魔法の要素であり、魔法を発動するためのエネルギーであり、肉体を構成する素材であって、言うなれば『オド=マナ=ショゴス=重ね合わせ状態の量子』そのものであり、大地に足を付けて接触している限りにおいては、わざわざ『集合的無意識』にアクセスしなくても、どんな魔法でも、無限に使い放題だし、魔力も途切れることも無く、肉体がいくら損傷しようが、無限に自己再生できるってわけ」
「『それってもう、人間でも、魔術師でも、魔剣《ウィ○ス》でも無く──』」
「──まさしく、『ゴーレム』よね。言ったでしょ? 今のウ○ルは、『界○巨兵』そのものだって。つまり、『進○の巨人』で言えば、『九つ○巨人』に対する『ア○カーマン』のように、人間サイズでありながら、『界○巨兵』同等以上の、魔力と破壊力とエネルギーと自己再生能力を有しているわけなのよ」
「『何ソレ、文字通り、最強じゃん⁉』」
「その通り! つまりここがあなたたち『破滅○書』の、年貢の納め時ってわけ!」
その言葉通り、それからほとんど時間をかけずに、『人造魔物』たちは『界○巨兵』に、首なしたちはウ○ルに、殲滅させられてしまったのである。
そして今、界○巨兵を再び大地に戻して少女の姿に戻ったコレ○トは、力を使い尽くして眠りに落ちたウ○ルを、その胸に抱きしめながら、さも愛しそうに語りかける。
「……ああ、ウ○ル、私の最愛の『剣』。あなたはもう、私だけのもの。あなたはもはや、あらゆる意味において、『土○姫君』の庇護無しには生きていけないの。二人の邪魔をする者は、『破滅○書』だろうが、『天上○侵略者』だろうが、『至高○五杖』だろうが、すべてひねり潰して、二人だけの世界で生きていきましょう♡」
(※次回の解説編に続きます)




