77.あなたの隣で
アルベルト国王と、
3カ国担当国家機関職員の
との結婚。
あのあと、婚約発表や結婚式を待たず、
二人はすぐに入籍した。
——それは、アルベルト国民だけでなく、
世界中を驚かせた。
世紀の大恋愛だった。
※※
ヘレナは今、世界中の新聞記者を前にしている。
多くの記者が集まり、この世紀の大恋愛を
どう伝えようかと先ほどから質問が途切れる
ことがない。
もう…震えたりしない。不安になどならない。
この場所から逃げたいなどと思わなかった。
彼女の足元は、この日の為に
ウィルが選んだ素敵なパンプスを履いていた。
「私の意思で、殿下の隣にいる事を選びました。」
質問に胸を張って答えるヘレナ。
隣には、彼女を温かい表情で見つめる
ウィルがいた。
彼はいつだって本当の自分を愛してくれた。
精一杯の愛で包んでくれた。
会見に答えるその堂々とした一般女性に、
国民も世界も
新しいアルベルト国の姿を見た。
——半年後、二人の結婚式が行われた。
ニナは、朝から大勢の侍女達と共に支度を
手伝っていた。
「……ヘレナ様。大変お美しゅうございます」
再び二人が並ぶ日を迎えられた喜びに震え、
涙があふれていた。
式はアルベルト国最大の大聖堂で王族のみ
参列する形で執り行われた。
それは、二人に熱狂する貴族や国民からこの
大切な記念日を守るためであった。
式を終え大聖堂の大扉が開く。
眩しい日差しを受け、二人が一歩踏み出すと、
地鳴りのような人々の大歓声。
一気に開けた視界に飛び込んできたのは
大階段の下にいる、国中の貴族とこの日のために
なんとか休暇を取った国民たちの姿。
それははるか遠くまで、敷き詰められたように
続いている。
「殿下とヘレナ様よ!」
「お二人のあの幸せそうな姿!」
「ヘレナ様!拝見出来て嬉しいわ」
もうヘレナを庶民だと馬鹿にするものなど
この国には一人もいない。
聖堂前の大階段で互いに向き合った二人。
ウィルが
豪華で繊細なそのヴェールをやさしく上げると、
今までで一番美しいヘレナが見つめていた。
三年間離れていた時間も、
乗り越えてきたすべての日々も、
その微笑みで報われた。
「——愛してるよ。ヘレナ」
「私も、あなたを愛しているわ」
割れんばかりの歓声の中で
二人はその愛を誓い口づけを交わした。
一度は諦めかけた愛。
けれど、
忘れられなかった愛。
歓声は再び、どっと沸き上がる。すぐ隣の
ウィルの声ももう聞こえない程に。
「ヘレナ。今幸せ?」
歓声の中で、耳元まで近づいて問う
「ええ、とても幸せよ。」
ヘレナの笑顔は最高に美しく輝いていた。
——これからもヘレナの隣にはウィルが、
ウィルの隣には、ずっとヘレナが居るのだから——
あと、少し……
その後の二人を少し書きました
おたのしみに!




