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ヘレナとウィル〜隣国の王子と交わした約束〜  作者: シャルru


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71/79

71.三年

「ウィル。なぜ婚約者を選ばない!

 父上も母上も、ずっとお前に配慮しているのだぞ」

 

 スレイドはやや苛立ちを隠せないでいた。

 

「気持ちの整理がついたら…と申しました」 

「——三年だ。既に三年が過ぎたのだぞ」

 

 穏やかなはずの兄の剣幕を見て、

 少し言葉に詰まる。

「……それほど大切な愛を…私は失ったのです

 お体に触りますので、あまり興奮されませんよう…」

 

 ウィルの視線は、スレイドとは合わなかった。

 

「……最初から国内の貴族と婚約していれば、

 こんな事には…。ウィル、お前はそれほど健康に

 生まれて居るのに、なぜ王子として当たり前の道を

 選ばない」

 

 スレイドは、次期王の第一候補でありながら、

 縋っても祈っても

 健康にならない自分を嘆いていた。

 

 この三年の間に、イザベラとの子にも恵まれず

 夫婦の中も冷めきっていた。


 ウィルは、そんなスレイドの目をまっすぐ見た。


「兄上、私はヘレナに出会ったことを後悔など

 していない!

 そして、彼女以上に愛せる人などこの世に

 存在しない事も——!」


 しかしスレイドは、戻れない思い出にすがる

 ウィルの目を覚ませたかった。

 

「ウィル。私は候補の座から降りる。

 この国は、お前に任せるぞ。分かっているな」


 いよいよ婚約から逃げることが出来なくなっていた。

 

 

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