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ヘレナとウィル〜隣国の王子と交わした約束〜  作者: シャルru


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70/79

70.胸の奥


 アルベルトへの出張の荷物を準備をしながら、

 新聞の文字がふと目に留まる。


『アルベルト国次期王、未だ決まらず』

 気になって、新聞を手にとる。


 どうやら、次の王の指名が何度も先送り

 されているようだ。

 スレイド王子の結婚からはもう数年が過ぎている。

 国王は体力も衰え、早めの引退を見据えて 

 いたようだが…


 そしてその記事の最後にあったのは…


『——これまで遅れていた第二王子の婚約者選びは

 年内にも決まるであろう』


 チクリ。少し胸が痛んだ。


 ウィルの隣に自分以外の誰かが立つこと……。

 

 とうとうそんな日が来たのだ。

 ざわつく心に釘を刺す。


 いけない。

 急いで新聞を片付ける。


 今さら感情を乱すなんておかしいわ。

 自らその場所を離れたのだから…。


 自分の生きるべき一つの道を選んだのだから。


 ヘレナは、荷物と持参する資料に

 意識の全てを集中させる。


 明日の仕事は、アルベルトの貴族から

 ヘレナ個人に直接依頼があった重要な仕事だ。

 

 ミスは許されないわ。

 

 ヘレナは気合を入れ直して、

 翌日を迎えることにした。

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